“classic” と “classical” は日本人が間違えやすい英単語の1つです。なぜなら、日本語の「クラシック」と英語の “classic” では意味が違うからです。
そこで、今回はそんな2つの言葉の違いについて解説していきたいと思います。
結論: “classic” は名作、 “classical” は古典を表す
一方、 “classical” は古典のことを表します。
“classic” の意味
“classic” は、名詞では「名作・傑作」のことを表し、形容詞では「典型的な」という意味です。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
名詞の “classic”
名詞の “classic” は基本的には各分野での「もっとも高いランク」のことを表します。
そして、「名作・傑作」のことを表していることが多いでしょう。具体的には10年~20年単位での良い作品のことです。
なお、日本語で「クラシック」というと、音楽というイメージがありますが、英語の “classic” は音楽に限らず、いろんな作品の名作を表すことができます。例えば、文学作品や絵画などにも使うことができます。
以下の例文を見てみましょう。
- He likes classic poetry.
(彼は名作の詩が好きだ)
これは、詩というジャンルの中でも、有名なものが好きだ、という意味になりますよね。
ちなみに、野球の WBC という大会は “World Baseball Classic” の略語ですが、ここにも “classic” が使われていますよね。これは伝統的な古い大会、という意味ではありません。「主要な大会」という意味です。「名作」→「有名」→「主要」という意味の派生が起きています。
形容詞の “classic”
形容詞の “classic” のもっとも基本的な意味は「典型的な」です。近い単語としては “typical” があげられます。そして、どちらかというと “typical” のほうがよく使われる表現です。
以下に、この意味の例文をのせます。
(タロウは典型的な日本人だ)
これは、タロウという人間がとても日本人的な人だという意味ですよね。この “classic” は “typical” と入れ替えることもできます。
ちなみに、 “classic” には「名作の・傑作の」という意味もありますが、これについては名詞の “classic” の項ですでに解説しているので、詳しい説明は省きます。
そして、形容詞の “classic” には、「典型的な」という意味から派生したいろいろな意味があります。
ファッションが上品な
これは、「典型的な」→「王道の」→「(上品で)オシャレな」という発想ででてきた意味です。
例えば、物語などでも王道なストーリーのものは安定感のある面白さがありますよね。それと同じように、ファッションのうちで王道的で安定感のあるオシャレなものを表す時には “classic” を使います。
そして、王道なものは流行によって左右されません。そのため、 “fashionable” も「オシャレな」という意味で使いますが、これとは似て非なる表現です。 “fashionable” は流行を追いかけているようなオシャレさを表します。
この意味の “classic” は以下の例文のように使われます。
(彼女のドレスはとても上品だ)
すごく面白い
これは「名作・傑作の」→「最高に面白い」という発想です。スラング(※1)的に使われます。似たような表現としては “very funny” があります。
例文を1つ紹介します。
(ジョンのジョークは最高に面白かったので、全員が大笑いした)
- スラング(※1):特定の集団でのみ通用する俗語のこと。ネットスラングなど。
とても最悪な
これは「最高に面白い」という意味を皮肉として使った場合の意味です。上に書いたように、 “classic” は「すごく面白い」という意味でも使われるので、困惑する人も多いでしょう。しかし、日本語にも同じような表現があります。
それは「ヤバい」です。 “classic” のこの2つの意味はこれと似ています。「とても最悪な」の “classic” は以下の例文のように使われます。
(ジョンのジョークは最悪だったので、全員黙り込んでしまった)
この場合、ジョンはよほど趣味の悪いジョークを言ってしまったのだと考えることができます。
“classical” の意味
“classical” とは、「古典の」という意味で、これは100年単位での古い作品のことを示します。日本語で言う「クラシック」はこちらの意味です。
より厳密に言うならば、日本語の「クラシック」は名詞なので、これに当たる英語は “classical music” になります。
そして、日本では「クラシック」は音楽のジャンルというイメージが強いですが、この言葉は音楽以外の作品にも用いることができます。
ただ、 “classical” はかたい言葉なので、日常会話において “classical music” という表現以外で使われることはほぼないです。
これは以下の例文のように使われます。
(彼の趣味はクラシック音楽を聴くことです)
“classic music” は間違った表現なのか
ここまで、 “classic” と “classical” の違いについて解説してきました。そして、日本語の「クラシック」は英語で “classical music” と表現するのだとわかっていただけたと思います。
では、 “classic music” というのは間違った表現なのでしょうか。一概にそうとは言えません。
なぜなら、 “classic” には「名作の・傑作の」という意味があるからです。古典の音楽はもちろん、名作だから現在まで残っています。
しかし、これは “classical music” と比べて、指している範囲が広すぎます。例えば、好きな音楽を聞かれた時に、
I like classic music.(私は名作の音楽が好きです)
と答えたらちょっと変な人ですよね。
そのため、 “classic music” は文法的に間違っているわけではありませんが、実際に使われることはほとんどありません。
まとめ
以上、この記事では、 “classic” と “classical” の違いについて解説しました。
- classic:名作・傑作、典型的な
- classical:古典の
“classic” と “classical” は混乱しやすいですよね。しかし、こんなにも意味が違う単語なのです。なので、カタカナ語にだまされないように注意して使っていきたいですよね。