今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「情状酌量」をざっくり言うと……
読み方 | 情状酌量(じょうじょうしゃくりょう) |
---|---|
意味 | 裁判で、さまざまな事情を考慮して、刑を減刑すること |
類義語 | 酌量減軽 |
英語訳 | taking the extenuating circumstances into consideration(臨機応変な事情を考慮して) |
「情状酌量」の意味をスッキリ理解!
「情状酌量」の意味を詳しく
「情状酌量」は、裁判において、「犯罪者の同情すべき事情を汲み取って、裁判官の判断により刑を減刑すること」を表す四字熟語です。
基本的には、裁判で用いられる用語です。ですが、一般的に使う場合もあります。例えば、誰かが遅刻してきた時に、電車の遅延など、その人物が置かれていた状況を考慮し、仕方がないこととして許してあげる時などです。
「情状」は、「実際の事情」という意味を持ちます。裁判では、犯罪者の同情できる事情のことを言います。具体的には、これらのようなものが情状とされます。
- 年齢
- 経歴
- 境遇
- 犯罪に至った動機
- 犯行後にとった態度
情状によって、犯罪者がそうせざるを得なかったり、また、犯罪をしたことに対して反省の色が見られた場合、執行される刑が軽くされることがあります。この情状を汲み取って刑の軽重を考慮することを「酌量」と言います。
犯罪を犯した人に対して、「執行猶予」というものが課されることがあります。「執行猶予」とは、有罪判決が出たとしても、被告人の情状を考慮し、言い渡された期間の中で、一定の期間、刑務所の外で生活をしながら罪を償う制度です。つまり、刑務所から早く出してもらうことができるのです。
まさに、これは情状酌量された一つの例です。
ちなみに、減刑をする理由には二通りあります。それは、「法律上の減刑」と「裁判上の減刑」です。
法律上の減刑は、犯罪者の過剰防衛が認められた時や、犯罪者が自首した場合などに適用されます。
それらを控除して、犯罪者が事件を起こした時に置かれていた境遇や、犯行の動機など、哀れむべき点が認められた時に裁判上の減刑が適用されます。つまり、この状態が「情状酌量」されたものです。
裁判上の減刑は、裁判官の裁量によって決められます。したがって、「情状酌量」は「犯罪者の同情を汲み取って刑を軽くする」という意味になります。
「情状酌量」の使い方
- 裁判官は、被告人に対して情状酌量の余地があると判断した。
- 逮捕されてもなお、反省の色が見られないので、情状酌量の余地はないだろう。
- その容疑者は、情状酌量されることで、刑が軽く済んだ。
- 電車の遅延が原因で、大幅に遅刻してきた彼には、情状酌量の余地がある。
「情状酌量」は、主に「情状酌量の余地」という形で使われることが多いです。
「情状酌量」の類義語
情状酌量には以下のような類義語があります。
- 酌量減軽(しゃくりょうげんけい):刑事裁判で、裁判官が犯罪の情状をわきまえて、刑を軽くすること
「酌量減軽」も、裁判でよく用いられる用語です。
「情状酌量」の英語訳
情状酌量を英語に訳すと、次のような表現になります。
- taking the extenuating circumstances into consideration
(臨機応変な事情を考慮して) - plead extenuating circumstances
(情状酌量を求める) - mercifulness
(法に携わる人や、裁判所などが示す寛大さ)
“taking the extenuating circumstances into consideration” と “plead extenuating circumstances” に共通している “extenuating circumstances” があります。
これは、「酌量すべき情状」という意味を持ちます。ですから、 “extenuating circumstances” が入ることによって、二つの文は「情状酌量」という意味を成します。
“mercifulness” は法廷に関わる人の心の広さを表す英単語です。これは、「情状酌量」が裁判官の良心によって決められることに由来します。したがって、「情状酌量」と言い表すことができるのです。
まとめ
以上、この記事では「情状酌量」について解説しました。
読み方 | 情状酌量(じょうじょうしゃくりょう) |
---|---|
意味 | 裁判で、さまざまな事情を考慮して、刑を減刑すること |
類義語 | 酌量減軽 |
英語訳 | taking the extenuating circumstances into consideration(臨機応変な事情を考慮して) |
「情状酌量」は、主に刑事裁判の中で適用されます。犯罪者に刑を下す裁判の中で、犯罪者に寄り添い、同情を受け入れてくれる非常に優しい制度です。
ですが、それゆえに起こる問題もあります。減軽が果たして本当に必要であったのか、など「情状酌量」には論争が生まれることもあります。それでも、「情状酌量」は公平をきたさなくてはならない裁判で、非常に大切な制度です。