今回ご紹介する言葉は、ことわざの「独活(うど)の大木(たいぼく)」です。
言葉の意味や使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「独活の大木」をざっくり言うと……
読み方 | 独活(うど)の大木(たいぼく) |
---|---|
意味 | 体が大きいだけで、何の役にも立たないこと |
由来 | 植物の独活は大きくなると食材にも木材にもならないことから |
類義語 | 独活の大木柱にならぬ、独活の大木蓮木刀、大きな大根辛くなしなど |
対義語 | 山椒は小粒でもぴりりと辛い、小さくとも針は飲まれぬ |
英語訳 | Great trees are good for nothing but shade.(大きな木々は日陰以外には役に立たない。) |
このページの目次
「独活の大木」の意味をスッキリ理解!
「独活の大木」の意味を詳しく
「独活の大木」は、体が大きいだけで、何の役にも立たない人を意味することわざです。マイナスな意味合いで、人間に対して用いられます。
当たり前ですが、人間は体が大きい人から小さい人までいます。大きいものは小さいものよりも広く役に立つという意味の「大は小を兼ねる」ということわざがあるように、体が大きい人は様々な場面で得をします。
例えば、手の届かないところに手が届いたり、スポーツで有利になったりです。一応言及しておきますが、体が大きすぎて損をすることももちろんあります。ただ、体が大きい人が得をすることの方が多いという前提の上でこのことわざは成り立ちます。
このことわざは、嫌みとして使われることが多いです。しかし、体が大きいというのはあくまでもその人の外見に過ぎません。その人の性格や仕事の力量、頭の良さ、運動神経などとは直接関係ありません。
そのため、体が大きいというだけで、さらに他の何か(仕事や勉強、運動など)ができなかったら「独活の大木」と言われてしまうのは非常に理不尽です。したがって、「独活の大木」という言葉は慎重に使うべきことわざであると言えます。
「独活の大木」の使い方
- 部署にやってきた新入社員は体が大きいが、言った仕事を何もこなせない。まさに独活の大木だ。
- 彼女は、家事を手伝わない体の大きな自身の夫のことを独活の大木と呼んでいる。
- 体が大きかったが、勉強も運動もできなかった私は独活の大木と言われないよう、今まで必死に努力をしてきた。
「独活の大木」の由来
「独活の大木」ということわざの由来は、「独活」という植物の特徴です。
「独活」は日本中の山野で見られる植物で、江戸時代に栽培が始まったとされています。「独活」の茎(くき)は、地上に出る前の若芽のうちは食用になります。
しかし、大きくなると、「独活」は食用になりません。また、茎の部分が木のように長くなり、 2m ほどにまで伸びるものの、細いうえに柔らかいため、木材として使うことができません。
そんな大きく育ちながらも、食材としても木材としても使い物にならない「独活」を、体は大きいものの何の役にも立たない人間に重ねてできたことわざが「独活の大木」です。
「独活の大木」の類義語
「独活の大木」には以下のような類義語があります。
- 独活の大木柱にならぬ:体ばかり大きくて何の役にも立たないこと
- 独活の大木蓮木刀(はすぼくとう):体ばかり大きくて何の役にも立たないこと
- 大きな大根辛くなし:体の大きい人はどこかつかみどころが無いということ
- 大男総身(おおおとこそうみ)に知恵が回りかね:体ばかり大きくて役に立たない男のことを指す言葉
- 大男の殿(しんがり):体は目立つほど大きいのに、いつも遅れをとっている男を指す言葉
- 大男の見かけ倒し:体は大きいが役に立たない男のこと
- 張子(はりこ)の虎(とら):主体性が無く見かけ倒しの人のこと
- 白豆腐(しろとうふ)の拍子木(ひょうしぎ):見かけ倒しで働きの無い者
- 千人持(せんにんも)ちの蒟蒻(こんにゃく):体ばかり大きくて何の役にも立たないこと
- 長鞭馬腹(ちょうべんばふく)に及ばず:どんなに大きな力があってもそれだけでは役に立たないということ
「独活の大木」の対義語
「独活の大木」には以下のような対義語があります。
- 山椒(さんしょう)は小粒でもぴりりと辛い:体は小さくても才能が詰まっていること
- 小さくとも針(はり)は飲まれぬ:小さくても侮れないことのたとえ
「独活の大木」の英語訳
「独活の大木」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Great trees are good for nothing but shade.
(大きな木々は日陰以外には役に立たない。) - a big useless fellow
(でかくて役に立たないやつ) - a big good-for nothing fellow.
(でかくて役に立たないやつ)
まとめ
以上、この記事では「独活の大木」について解説しました。
読み方 | 独活(うど)の大木(たいぼく) |
---|---|
意味 | 体が大きいだけで、何の役にも立たないこと |
由来 | 植物の独活は大きくなると食材にも木材にもならないことから |
類義語 | 独活の大木柱にならぬ、独活の大木蓮木刀、大きな大根辛くなしなど |
対義語 | 山椒は小粒でもぴりりと辛い、小さくとも針は飲まれぬ |
英語訳 | Great trees are good for nothing but shade.(大きな木々は日陰以外には役に立たない。) |
「独活の大木」の意味や使い方などを理解することはできたでしょうか。体は大きいものの、何の役にも立たない人を指す言葉ということで、批判や悪口に使われることわざです。
体の大きさは外見に過ぎず、それでいて何かできないからと言って「独活の大木」と言われてしまうのは理不尽であるとも言えます。時に、いじめにもつながりかねない言葉でもあるので、慎重に使うべきでしょう。