今回ご紹介する言葉は、ことわざの「犬の遠吠(とおぼ)え」です。
言葉の意味や使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「犬の遠吠え」をざっくり言うと……
読み方 | 犬の遠吠(とおぼ)え |
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意味 | 臆病な人が陰で威張ったり、悪口を言ったりすること |
由来 | 弱い犬が相手と遠いところから吠える様子 |
類義語 | 負け犬の遠吠え、ごまめの歯ぎしり、尻の穴が小さいなど |
英語訳 | A waking dog afar off barks st a sleeping lion.(遠くの犬が起きて眠っているライオンに吠える。) |
このページの目次
「犬の遠吠え」の意味をスッキリ理解!
「犬の遠吠え」の意味を詳しく
「犬の遠吠え」とは、臆病な人が陰で威張ったり、悪口を言ったりすることを意味することわざです。
このことわざのポイントは、陰で威張ったり、悪口を言ったりするのは、あくまでも臆病な人や弱い人に限定されるという点です。つまり、強い人が威張ったり、陰で悪口を言ったりする場合は、「犬の遠吠え」とは言いません。
一般的に、陰で威張ったり、悪口を言うのは良くないこととされています。このことわざも、そのような価値観を前提として成り立っています。強い者の前で威張れないのに陰で威張ることや、陰で悪口を言うことは臆病な人がすることだという考え方です。
したがって、「犬の遠吠え」ということわざはマイナスな意味合いで使われることがほとんどです。他人の臆病さを馬鹿にする時や、自分の臆病さを自虐(じぎゃく)する時に使います。
よく似たことわざとして「負け犬の遠吠え」というものがあります。「負け犬の遠吠え」は「犬の遠吠え」の類義語として扱われますが、完全な同義語であるとは言えません。
「負け犬の遠吠え」は、争いに負けた人が負け惜しみを言う際に使われることが多いです。つまり、争いをすることが前提となることわざです。「臆病な人」「(争いをしたかどうか不明だが)弱い人」に対して使われることの多い「犬の遠吠え」とは使える場面が多少異なるのです。
「犬の遠吠え」の使い方
- 陰で何を言ってもそれは犬の遠吠えだ。言いたいことは直接伝えるべきだ。
- 彼はいつも居酒屋で犬の遠吠えのように上司の文句を言っている。
- 彼が言うことは犬の遠吠えに過ぎないから気にしないほうがいい。
- ただの犬の遠吠えだから放っておいてほしい。
どの例文においても、「犬の遠吠え」をしている人は臆病者であるというイメージがつきます。
➃の例文は、自分の独り言を、自分で「犬の遠吠えだ」と自虐している場面です。
「犬の遠吠え」の由来
「犬の遠吠え」ということわざの由来は、犬の習性にあります。
「遠吠え」とは、犬などの動物が声を長く伸ばして吠える行為を指します。なぜ実際の犬が「遠吠え」をするのかについては諸説あります。
しかし、弱い犬や臆病な犬が、他の犬からは遠い位置からしり込みをしながら「遠吠え」をすることが多くあります。実際に、臆病な犬ほどよく吠えるとも言われています。
そのような、臆病な犬が遠くからしり込みしながら吠える様子を、人間が陰で威張ったり陰口を言ったりする行動に当てはめたのがこのことわざです。
「犬の遠吠え」の類義語
「犬の遠吠え」には以下のような類義語があります。
- 負け犬の遠吠え:負けた者が勝った者のいないところで虚勢(きょせい)を張ること
- ごまめの歯軋(はぎし)り:実力の無いものがイライラしたり、悔しがったりすること
- 尻(けつ)の穴が小さい:度胸の無い小心者のこと
- 能無(のうな)しの口叩(くちたた)き:無能な人ほどよく喋るということ
「犬の遠吠え」の英語訳
「犬の遠吠え」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- A waking dog afar off barks at a sleeping lion.
(遠くの犬が起きて眠っているライオンに吠える。) - A barking dog seldom bites.
(吠える犬はめったに嚙み付かない。) - barking of a dog in the distance
(犬の遠吠え)
まとめ
以上、この記事では「犬の遠吠え」について解説しました。
読み方 | 犬の遠吠(とおぼ)え |
---|---|
意味 | 臆病な人が陰で威張ったり、悪口を言ったりすること |
由来 | 弱い犬が相手と遠いところから吠える様子 |
類義語 | 負け犬の遠吠え、ごまめの歯ぎしり、尻の穴が小さいなど |
英語訳 | A waking dog afar off barks st a sleeping lion.(遠くの犬が起きて眠っているライオンに吠える。) |
「犬の遠吠え」の意味や使い方など理解することはできたでしょうか。このことわざのポイントは、臆病な人、弱い人が陰で威張ったり陰口を言ったりする場合に使うということでした。決して、強い人が威張ったり陰口を言ったりする場合には使うことは無いという点には注意が必要です。
また、由来を見てみると、弱い犬が遠くから吠える様子を、臆病な人間の行動に当てはめてできたことわざということで、イメージもしやすかったのではないでしょうか。
本文でも触れた通り、「犬の遠吠え」は良い意味ではなく、悪い意味で使うことがほとんどです。発言や立ち振る舞いが「犬の遠吠えだ」と言われないように、言いたいことはきちんと面と向かって伝えられるようにしたいですね。