今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「快刀乱麻(かいとうらんま)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「快刀乱麻」をざっくり言うと……
読み方 | 快刀乱麻(かいとうらんま) |
---|---|
意味 | 複雑な問題を素早く解決すること |
由来 | 『北斉書』の「文宣帝紀」 |
類義語 | 一刀両断、一剣両断 |
英語訳 | solve a problem swiftly and skillfully(問題を素早く、そして巧みに解決する)、cut the Gordian knot(難題を解決する)など |
「快刀乱麻」の意味をスッキリ理解!
「快刀乱麻」の意味を詳しく
「快刀」とは、切れ味のいい刀のことです。また、「乱麻」は、麻(あさ)の糸が絡まっている状態を指します。
ですから、「快刀乱麻」は、絡まった糸を刀で切ることを表しています。
絡まった糸をほどくのは、大変な作業ですね。ですから、「乱麻」は複雑な問題のたとえなのです。
また、絡み合った糸は、刀で切ることで瞬時にほどくことができます。つまり、「快刀」は「問題を速やかに解決するもの」のたとえとして使われています。
これらのたとえを当てはめて「快刀乱麻」を見てみると、「難題を素早く解決する」という意味を表していることがわかります。
なお、「快刀乱麻」を「怪盗乱麻」と表記するのは誤りです。
「快刀乱麻」の使い方
一般的に、「快刀乱麻」は「〜は快刀乱麻だ」というかたちで用いられます。
また、「快刀乱麻を断つ」という表現で使われることもあります。
すでに解説したとおり、「快刀乱麻」は「刀を使って、絡まった糸を切ること」を表します。ですから、「快刀乱麻」という四字熟語を文に直すと、「快刀が乱麻を断つ」となります。この解釈から、さらに助詞の「が」が省略されて「快刀乱麻を断つ」という表現が派生したのです。
なお、「快刀乱麻を断つ」という表現を使うときには、後ろに「〜がごとく」という言葉をつけることが多いです。
以上の点を踏まえて、下記の例文を紹介します。
- 文化祭の出し物について、クラス内では3つの案が対立しており、話し合いがまったく進んでいなかった。しかし、学級委員の彼は皆の意見を整理して、1分で事態を解決した。しかも、全員が納得できるかたちで最終案が決まったのだ。彼の行動はまさに快刀乱麻だった。
- 優れたリーダーに共通しているのは、組織の問題に対して快刀乱麻を断つがごとく取り組むことだ。
- あの弁護士は、まるで快刀乱麻を断つがごとく意見を述べた。
「快刀乱麻」の由来
中国に『北斉書(ほくせいじょ)』という歴史書があります。これは、南北朝時代の北斉(ほくせい)という国についてまとめたものです。
『北斉書』には、建国者の文宣(ぶんせん)にまつわる話をまとめた「文宣帝紀(ぶんせんていき)」が収録されています。
「文宣帝紀」のなかで、文宣の幼少期に関するエピソードが書かれています。この内容が「快刀乱麻」の由来です。
子供の頃、文宣は高洋(こうよう)という名前でした。
ある日、彼は父から、複雑に絡まった糸を渡されました。そして、「この糸をほどいてみなさい」と言われます。
高洋の兄弟たちは皆、糸をほどくのに苦労しました。しかし、高洋だけは簡単に糸をほどくことができました。なぜなら、彼は刀で糸を切って、一瞬で絡まりをなくしたからです。
これを見た父は、高洋を高く評価しました。父が見込んだ通り、彼は、のちに文宣という名前で北斉を建国することになります。
このように、「快刀乱麻」は、文宣の逸話から生まれたのです。
「快刀乱麻」の類義語
「快刀乱麻」には以下のような類義語があります。
- 一刀両断(いっとうりょうだん)
- 一剣両断(いっけんりょうだん)
これらの四字熟語は、どちらも「ある物事に対して、素早く明快な処理をすること」を表します。課題をスピーディーに解決するという点が、「快刀乱麻」の意味と共通しています。
しかし、「快刀乱麻」では解決の対象が複雑な問題に限定されるのに対して、「一刀両断」と「一剣両断」は、対象に制限がありません。
したがって、解決されたものが非常に難しい課題であったことを強調したい場合には、「快刀乱麻」を使いましょう。
「快刀乱麻」の英語訳
「快刀乱麻」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- solve a problem swiftly and skillfully
(問題を素早く、そして巧みに解決する) - cut the Gordian knot
(難題を解決する) - solve a knotty problem readily
(複雑な問題をすぐに解決する)
“cut the Gordian knot” に含まれる “Gordian knot” は、日本語で「ゴルディアスの結び目」といいます。これは、ギリシャ神話から生まれた言葉です。
「ゴルディオスという王が、縄の複雑な結び目をほどいてみせた」という伝説から、「結び目」が「手に負えないような難題」のたとえになりました。
つまり、 “cut the Gordian knot” の直訳は「ゴルディアスの結び目を切る」ということになります。したがって、「難題を解決する」という意味になるのです。
まとめ
以上、この記事では「快刀乱麻」について解説しました。
読み方 | 快刀乱麻(かいとうらんま) |
---|---|
意味 | 複雑な問題を素早く解決すること |
由来 | 『北斉書』の「文宣帝紀」 |
類義語 | 一刀両断、一剣両断 |
英語訳 | solve a problem swiftly and skillfully(問題を素早く、そして巧みに解決する)、cut the Gordian knot(難題を解決する)など |
難しい問題をスピーディーに解決するためには、広い視野や豊富な経験が必要です。ときには、大胆な行動が解決に結びつくこともあります。
「快刀乱麻」を実現するのは難しいことですが、ぜひこの四字熟語を意識して生活してみましょう。