今回ご紹介する言葉は、熟語の「狼藉(ろうぜき)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「狼藉」をざっくり言うと……
読み方 | 狼藉(ろうぜき) |
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意味 | 乱雑に散らかっている様子。また、乱暴な振る舞い。 |
語源 | 狼が草を藉み荒らして寝る結果、あたりが散らかるという故事から |
類義語 | 混迷、非行、暴力など |
英語訳 | confusion, disorder, violence, outrage |
「狼藉」の意味をスッキリ理解!
「狼藉」の意味を詳しく
「狼藉」の原義は、何かが乱雑に散らかっていることです。散らかす行為は指さないため注意しましょう。この意味での「狼藉」は、以下のような四字熟語の形で使われることが多いです。
- 家内狼藉(かないろうぜき):家の中がひどく散らかっている様子
- 杯盤狼藉(はいばんろうぜき):酒宴の場で、杯や皿がひどく散らかっている様子
- 落花狼藉(らっかろうぜき):花が散ること。転じて、物がひどく散らかっている様子
3つとも、「狼藉」にかかる言葉が、「何が」あるいは「どこが」散らかっているかを表しています。
また、以上に示した「者が散らかっている様子」という意味から派生し、「狼藉」は乱暴な振る舞いという意味でも使われるようになりました。
この意味では、乱暴なことをした人を指す「狼藉者」や、同じような意味の言葉を重ねた「乱暴狼藉」といった言い回しが用例として挙げられます。
「狼藉(ろうじゃく)」とは?
「狼藉」には、「ろうぜき」の他に「ろうじゃく」という読み方があります。「ろうじゃく」は、「狼藉日(ろうじゃくにち)」という言葉の省略形です。
「狼藉日」とは、陰陽道(おんみょうどう)という呪術において、すべてのことについて不吉だとされる日のことです。
陰陽道は、古代中国における自然哲学思想にもとづき、日本でさらなる発展を遂げた呪術です。古代中国では、自然界に起こる現象は一定のルールにもといているという考え方があり、それを自然哲学思想と言いました。
古代中国の自然哲学思想の中では、陰陽五行思想(おんみょうごぎょうしそう)という考え方がありました。これは、世界が陰と陽という相対する属性から出来ていると考える思想と、世界が木・火・土・金・水の 5つの要素から成り立っているという思想が結びついて出来たものです。
5世紀から 6世紀頃、この陰陽五行思想は、自然の変化を説明する理論として日本に渡ってきました。その後、自然に関する学問や占術と組み合わさり、自然界や人間界の吉凶を占う技術としての陰陽道が誕生しました。
「狼藉日」は、陰陽道において、何をしても最悪な結果に終わる日と占われているのです。
「狼藉」の使い方
- 昨年の忘年会は大いに盛り上がり、まさに杯盤狼藉だった。
- 昔、苛立つとすぐに狼藉を働く彼に、周囲の人は困っていたものだ。
- か弱い子供への乱暴狼藉など、到底許されることではない。
①では「物が散らかっている様子」、②や③では「乱暴な振る舞い」という意味で「狼藉」が使われています。
②の「狼藉を働く」という形は、乱暴することを指す表現としてよく使われます。また、「乱暴狼藉」についても、同じように「乱暴狼藉を働く」という言い回しが用いられます。
「狼藉」の語源
「狼藉」の由来は、中国の歴史書『史記滑稽列伝(しきこっけいれつでん)』に収められている故事にあります。
『史記滑稽列伝』では、狼(おおかみ)が草を藉(ふ)み荒らして寝床にする様子から、ひどく散らかっているという意味で「狼藉」を用いています。
また、「狼藉」には「乱暴な振る舞い」という意味があると解説しましたが、その意味は「狼藉」が日本で使われるようになってから出来たものです。
「狼藉」の類義語
狼藉には以下のような類義語があります。
- 非行:不正行為や違法行為
- 乱行(らんぎょう):乱暴な振る舞いのこと
- 暴力:身体への不当な腕力
上記の 3つは、荒々しい振る舞いを指すという点で「狼藉」の類義語と言えます。ただ、「暴力」は物理的な意味に留まらず、心理的虐待などを指す表現としても使われます。
「狼藉」の英語訳
狼藉を英語に訳すと、次のような表現になります。
- confusion
(乱雑) - disorder
(乱雑、無秩序) - violence
(暴力) - outrage
(乱暴な行い) - ruffian
(狼藉者)
“confusion” と “disorder” は、物が散らかって雑然としている様を指す英語表現です。また、”violence” と “outrage” は乱暴な行為を指します。そして、狼藉を働いた人を表現する場合は “ruffian” を用いましょう。
それぞれの単語を用いた例文は、以下の通りです。
- Cups and plates are lying about in wild confusion.
(杯盤狼藉) - Things are in wild disorder.
(落花狼藉) - He did an act of violence against surrounding people.
(彼は周囲の人に狼藉を働いた。) - I committed an outrage against humanity.
(私は人道に背く行いをした。) - He is a ruffian doing violence to people without mercy.
(彼は無慈悲に人を襲う狼藉者だ。)
まとめ
以上、この記事では「狼藉」について解説しました。
読み方 | 狼藉(ろうぜき) |
---|---|
意味 | 乱雑に散らかっている様子。また、乱暴な振る舞い。 |
語源 | 狼が草を藉み荒らして寝る結果、あたりが散らかるという故事から |
類義語 | 混迷、非行、暴力など |
英語訳 | confusion, disorder, violence, outrage |
「狼藉」は主に書き言葉として使われる言葉であり、日常で使う機会は多くありません。それだけに、目にした時、瞬時に意味が分かるようにしておきたいところです。ぜひ、覚えてみてください。