今回ご紹介する言葉は、熟語の「鬼籍(きせき)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「鬼籍」をざっくり言うと……
読み方 | 鬼籍(きせき) |
---|---|
意味 | 死者の名前や死亡年月日を書き記す帳簿 |
類義語 | 閻魔帳、過去帳、鬼録など |
対義語 | 誕生、生存など |
英語訳 | death register, pass awayなど |
「鬼籍」の意味をスッキリ理解!
「鬼籍」の意味を詳しく
「鬼籍(きせき)」とは、死んだ人の姓名や死亡年月日を書き記しておく帳簿のことです。
「鬼籍に入る」の意味
「鬼籍」は名詞そのものとして使われることもありますが、「鬼籍に入(い)る」という形で用いられることが多いです。
「鬼籍に入る」は、死者を登録する籍に入る、つまり死ぬことを指します。
直接的に死を表現することを避ける際によく使われる成句です。
「入る」は「はいる」ではなく「いる」と読むので注意しましょう。
「鬼籍」の使い方
- 祖母が鬼籍に入って 7年が経った。
- 若くして鬼籍に上った彼らを思うと、無念としか言いようがない。
- 私が恩返しをしきれないうちに、彼は鬼籍の人となってしまった。
②のように「鬼籍に上る」と表現されることもあります。
どちらも、「亡くなる」という意味です。
③の「鬼籍の人」とは、「死者」を婉曲的に表した言葉です。
「鬼籍」の由来
「鬼籍」は中国から来た言葉です。
「鬼籍」を構成する漢字には以下のような意味があります。
- 鬼:死者の魂
- 籍:そこに属する人に関する公式の登録書
つまり、「鬼籍」は「死んだ人に関する情報を書き記しておく公式の登録書」だったのです。
もともと「鬼籍」は、死者の世界の王である閻魔(えんま)大王が管理しているとされており、実物を指す概念ではありませんでした。
ただ、現代では、同じく死者の姓名や死亡年月日を記帳する「過去帳」のことを「鬼籍」と呼ぶこともあります。
「鬼籍」の類義語
鬼籍には以下のような類義語があります。
- 閻魔帳(えんまちょう):死者が生前にとった行動について閻魔大王が書き記した帳面
- 過去帳(かこちょう):死者の名前や死亡年月日を記入した帳簿
- 鬼録(きろく):死者の名簿
- 点鬼簿(てんきぼ):死者の姓名などを書き記した帳簿
- 冥籍(めいせき):死者の霊が登録されている帳簿
「閻魔帳」や「冥籍」は、死者の世界が前提となっている言葉であるため、現実に存在する帳簿を指す表現としては使われません。
また、「閻魔帳」は、本来の意味から転じて、対象となる人の行動を書き記しておき、評価の基準とする帳面のことも指します。
「鬼籍に入る」の類義語
「鬼籍に入る」と同じように、死ぬことを婉曲的に表した表現は以下のとおりです。
- 泉下(せんか)の客となる
- 白玉楼中(はくぎょくろうちゅう)の人となる
- お隠れになる
- あの世に行く
- 冥土へ旅立つ
- 冥土へ行く
- 身罷る(みまかる)
- 不帰の客
- 三途の川を渡る
- 蓋棺
- 入寂する
- 身罷る
- 他界する
- 永眠する
- 往生する
- この世を去る
- 神に召される
- 御陀仏
また、人の死を直接的に表す時には「死ぬ」「亡くなる」などを用います。
「鬼籍」の対義語
「鬼籍」には以下のような対義語があります。
- 誕生(たんじょう):生まれること
- 生存(せいぞん):生きていること
「鬼籍」の英語訳
「鬼籍」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- death register
(過去帳)
また、「鬼籍に入る」、つまり人が死ぬことを表す英語訳は以下のとおりです。
- pass away
- be numbered among the dead
- join the majority
- die
- be killed
まとめ
以上、この記事では「鬼籍」について解説しました。
読み方 | 鬼籍(きせき) |
---|---|
意味 | 死者の名前や死亡年月日を書き記す帳簿 |
類義語 | 閻魔帳、過去帳、鬼録など |
対義語 | 誕生、生存など |
英語訳 | death register, pass awayなど |
「鬼籍」は、字面からは意味を覚えにくいかもしれません。
しかし、中国において「鬼」が死者を指したことを押さえておくと、確実な理解につながるでしょう。