「アフォリズム」の意味とは?英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「アフォリズム」です。

「アフォリズム」の意味や使い方、語源、類義語、「格言」との違い、有名な「アフォリズム」の例についてわかりやすく解説します。

☆「アフォリズム」をざっくり言うと……

英語表記アフォリズム(aphorism)
意味原則や一般に受入れられた真理を端的な言葉で表わしたもの
語源「定義」の意味のギリシャ語 “aphorism” から
類義語箴言、格言、教訓、警句、エピグラム
「格言」との違い表現の意外性や文章の長さによって区別する
有名な例多くのことを中途半端に知るよりは何も知らないほうがいい

「アフォリズム」とは?

アフォリズム(aphorism):原則や一般に受入れられた真理を端的な言葉で表わしたもの。格言。

「アフォリズム」の意味を詳しく

「アフォリズム」とは、物事の真実を簡潔に鋭く表現した語句のことです。

最初は理論や原理の「定義」という意味でもちいられていたカタカナ語ですが、現在では物事の真実を簡潔に鋭く表現した語句という意味で使われています。

「簡潔」で「端的」な表現であることがポイントです。そのため、長すぎる文章は「アフォリズム」には当てはまりません。

「アフォリズム」の使い方

  1. このアフォリズムは様々な場面に当てはまる。
  2. アフォリズムめいたことを適当に述べていく。
  3. そのアフォリズムは有名だが、本当の意味を知る人は少ない。
  4. 彼のアフォリズムは後世に大きな影響を与えた。
  5. アフォリズムがちりばめられた巧みな文章。

「アフォリズム」の語源

「アフォリズム」の語源はギリシア語の “aphorism” です。

もともとは「定義」という意味の単語でした。ギリシアの医学者であるヒポクラテスが最初に、「病気の診断や治療法を簡潔に述べたもの」を「アフォリズム」と呼んだことから意味が少し変化しました。

彼の言う「アフォリズム」で最も有名なのが「芸術は長く、人生は短し」という言葉です。

 

これはもともとは、もっと長い文章でした。「人生は短く、人為は長く、機会は逃げやすく、実験は危険を伴い、論証はむずかしい。医師は正しと思うことをなすだけでなく、患者や看護人や外的状況に助けられることが必要である」というのが全文です。

医者としての心持を述べた言葉ですが、これの始めの部分だけが「芸術は長く、人生は短し」という普遍的な警句へと変化しました。

それに伴って、「アフォリズム」の意味も「医療についての簡潔な言葉」から「物事の心理を簡潔に言い表した言葉」へと変化したのです。

「アフォリズム」の類義語

「アフォリズム」には以下のような類義語があります。

  • 格言:簡単に言い表した戒め(いましめ)の言葉
  • 教訓:教え諭す(さとす)言葉
  • 警句(けいく):奇抜な表現で、たくみに鋭く真理を述べた短い言葉
  • 箴言(しんげん):戒めとなる短い言葉
  • エピグラム:簡潔でウィットのある主張を伴う短い詩

「格言」との違い

「アフォリズム」は「格言」と意味が非常に似ています。「アフォリズム(格言)」と表記されていることもあるほどです。確かに、意味は非常に近いですが、細かい違いがあります。

まず、「アフォリズム」は「格言」よりも「作者の個性が強く反映されている」ことが多いです。言い回しが奇抜だったり、意表を突くような表現が使われていたりすることがあります。

また、最初にも言ったように「アフォリズム」は「短い文章である」ことがポイントですが、「格言」には文章の長さの指定がありません。

最後に、「アフォリズム」には「風刺や皮肉が含まれている」ことが多いです。風刺とは遠回しに批判するという意味です。

「格言」との違いのまとめ

  1. 個性的な言いまわしである
  2. 短いフレーズである
  3. 風刺や皮肉が含まれている

有名な「アフォリズム」の例

ここまでで「アフォリズム」の意味そのものを説明してきましたが、まだイメージがつかない人も多いと思います。

そこで、ここからは有名な「アフォリズム」とその意味などを紹介していきます。

フリードリヒ・ニーチェ

哲学者「フリードリヒ・ニーチェ」のアフォリズムを紹介します。

「人の個性は、経験によって得られるものではなく、むしろ経験しないことによって得られるものだ」

これは、様々な経験によって画一化されていく人間を皮肉ったアフォリズムです。

原文では次のように表現されています。 “Character is determined more by the lack of certain experiences than by those one has had.”

 

また、ニーチェのもっとも有名と言われている「アフォリズム」は次の言葉です。

「多くのことを中途半端に知るよりは何も知らないほうがいい。他人の見解に便乗して賢者になるくらいなら、むしろ自力だけに頼る愚者であるほうがましだ」

 

これは、1885年に発売された「ツァラトゥストラかく語りき」に出てくる一説です。この言葉には様々な意味の解釈があります。

「他者の意見を聞きかじって知ったような気になるのは、おこがましい」という解釈や「自ら考えて得た知見はより自分の力になる」という解釈があります。

また、「人の考えは人によって異なるため、表面的にだけ知ることで他人の意見にばかり惑わされて自分の意見が持てなくなる」という解釈もあります。

松下幸之助

実業家の松下幸之助さんは、「松下電器産業」つまり、現在のパナソニックを一代で作り上げた方です。そんな松下幸之助さんが残したアフォリズムが次のようなものです。

「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない」

 

「出る杭は打たれる」という有名なことわざがあります。「才能・手腕があってぬきんでている人は、人から憎まれる」「さし出たことをする者は、人から非難され、制裁を受ける」という意味です。

同調圧力の強い日本では特に共感できることわざだと思います。

このことわざに対して「才能がとびぬけてしまえば、妬んだり(ねたんだり)恨んだりする人はいなくなる」という意味で言われたのが「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない」というアフォリズムです。

まとめ

以上、この記事では「アフォリズム」について解説しました。

英語表記アフォリズム(aphorism)
意味原則や一般に受入れられた真理を端的な言葉で表わしたもの
語源「定義」の意味のギリシャ語 “aphorism” から
類義語箴言、格言、教訓、警句、エピグラム
「格言」との違い表現の意外性や文章の長さによって区別する
有名な例多くのことを中途半端に知るよりは何も知らないほうがいい

「アフォリズム」という言葉自体を日常生活の中で使う機会は少ないかもしれません。

しかし、有名な「アフォリズム」はご存知の方も多かったと思います。

この機会に、「アフォリズム」という単語自体も使いこなせるようになりましょう