今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「格物致知(かくぶつちち)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「格物致知」をざっくり言うと……
読み方 | 格物致知(かくぶつちち) |
---|---|
意味 | 物事の道理を深く理解して、自分の知識を最大限に広げること |
由来 | 『大学』の「三綱領・八条目」 |
類義語 | 格物究理など |
英語訳 | gaining a perfect knowledge of natural laws(自然の原理について完璧な知識を得る)など |
「格物致知」の意味をスッキリ理解!
「格物致知」の意味を詳しく
「格物致知」は、「格物」と「致知」の二つの熟語から成り立っています。
「格物」とは、「物事の道理や本質を極めること」です。「致知」とは、「知識や学問を極めること」を意味しています。
したがって、この四字熟語は「物事の道理や本質を追求して深く理解し、自分の知識や学問を最大限に広げること」という意味を表します。
なお、「格物致知」は、熟語の順序を反対にして「致知格物(ちちかくぶつ)」と表記することもあります。
「格物致知」の使い方
- 日々、勉強を怠らず(おこたらず)格物致知を極める。
- 格物致知を持った彼を尊敬する。
「格物致知」の由来
「格物致知」は、『大学(だいがく)』という儒教(じゅきょう)の経書から生まれた四字熟語です。
儒教は、古代中国で起こった宗教のひとつです。儒教の信仰は、当時の思想家である孔子(こうし)の思想に基づく教えがもととなっています。
『大学』は、儒教の経書のひとつです。また、『大学』には「三綱領(さんこうりょう)・八条目(はちじょうもく)」というものが収録されています。これは、儒家を教育するための原理です。
「三綱領・八条目」の中に、「致知在格物」という一節があります。これが「格物致知」の由来となっています。
なお、この「致知在格物」の解釈は、儒教の学問から派生した学派である「朱子学」と「陽明学」で異なります。
朱子学 | 陽明学 | |
---|---|---|
書き下し | 「知(ち)を致す(いたす)は、物に格る(いたる)に在り(あり)」 | 「知(ち)を致す(いたす)は、物を格す(ただす)に在り(あり)」 |
解釈 | 自分の知識を最大限増やすためには、まず、ひとつひとつの物事に合った道理を理解するべきである | 人間のもともとの知能を最大限明らかにして、天の原理を悟ることが、日常の様々な出来事の善悪を正すことである |
ただし、朱子学と陽明学の解釈の違いには、諸説あります。
すでに述べたように、「格物致知」の意味は「物事の道理を深く理解して、自分の知識を最大限に広げること」です。したがって、現在の用法は朱子学の理解に近いと言えますね。
「格物致知」の類義語
格物致知には以下のような類義語があります。
- 格物究理(かくぶつきゅうり):物事を突き詰めて、その道理を明らかにすること。
「格物究理」の「究理」は、物事の道理を明らかにするという意味を持っています。
「格物致知」の英語訳
格物致知を英語に訳すと、次のような表現になります。
- gaining a perfect knowledge of natural laws
(自然の原理について完璧な知識を得る)
まとめ
以上、この記事では「格物致知」について解説しました。
読み方 | 格物致知(かくぶつちち) |
---|---|
意味 | 物事の道理を深く理解して、自分の知識を最大限に広げること |
由来 | 『大学』の「三綱領・八条目」 |
類義語 | 格物究理など |
英語訳 | gaining a perfect knowledge of natural laws(自然の原理について完璧な知識を得る)など |
物事を深く理解しようとすると、その奥深さに気づくことができます。
すると、物事の理解が深まるだけでなく、予想もしていなかった発見に出会えることもあるでしょう。そして、学びの楽しさに気づく瞬間にもなりますね。