今回ご紹介する言葉は、ことわざの「医者の不養生(ふようじょう)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「医者の不養生」をざっくり言うと……
読み方 | 医者の不養生(ふようじょう) |
---|---|
意味 | 人には立派なことを言っておきながら、自分では実行しないこと |
由来 | 平賀源内の『風流志道軒伝』にある、「医者の不養生、坊主の不信心」という文から |
類義語 | 紺屋の白袴、易者身の上知らず、大工の掘っ立てなど |
英語訳 | Physician, heal yourself.(医師よ、自分の病気を治療しなさい。) |
このページの目次
「医者の不養生」の意味をスッキリ理解!
医者の不養生(ふようじょう):人には立派なことを言っておきながら、自分では実行しないこと
「医者の不養生」の意味を詳しく
「医者の不養生」は、人には立派なことを言っておきながら、自分では実行しないという意味のことわざです。
養生とは、衛生を保ち健康を心がけることです。また、かかってしまっている病気を直すよう心がけることも言います。つまり、不養生とは、自分の健康を気に掛けないことです。
医者は、普段から患者に対して健康に気をつけるように言います。このことわざでは、普段の業務とは裏腹に、自分自身の健康についてはついつい疎かにしてしまう、医者の様子が表現されています。
「医者の不養生」の使い方
- 病院の先生がインフルエンザになった。医者の不養生と言うけど本当にあるのね。
- 姉は自分の時間を削って、妹に勉強を教えた。すると、姉がテストで失敗した。まさに医者の不養生といった様子だ。
「医者の不養生」の由来
平賀源内の『風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)』に「医者の不養生、坊主の不信心(ふしんじん)」という言葉があります。これが元となり、ことわざとして定着したと言われています。
『風流志道軒伝』は、浅草の奥山で評判だった講釈師(こうしゃくし)、深井志道軒(ふかいしどうけん)の伝記です。講釈師は、日本伝統芸能の1つで、軍事物や歴史が書かれた書物を民衆に読み聞かせる職業です。
ちなみに、平賀源内は、江戸時代中期の天才的な発明家として知られています。政界の著名人と交流がありながら、やりたいことをやって暮らしていたため、江戸一の自由人だったとも言われています。
「医者の不養生」の類義語
「医者の不養生」には以下のような類義語があります。
- 紺屋(こうや)の白袴(しろばかま):他人のためにばかり働いて自分のことに手が回らないこと
- 易者(えきしゃ)身(み)の上知らず:他人のことはあれこれ言うことができるが、いざ自分のこととなるとわからなくなることのたとえ
- 大工の掘(ほ)っ立て:肝心な自分のことには手が回らないこと
- 髪結(かみゆ)いの乱れ髪:人のために技術を使うばかりで、自分のことを疎かにしてしまうこと
- 坊主の不信心:人には立派なことを言っていても、自分のことには手が回っていないこと
「医者の不養生」の英語訳
「医者の不養生」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Physician, heal yourself.
(医師よ、自分の病気を治療しなさい。) - A physican doesn’t watch out for his health occasionally.
(医者は往々にして自分の健康に注意を払わない。)
まとめ
以上、この記事では「医者の不養生」について解説しました。
読み方 | 医者の不養生(ふようじょう) |
---|---|
意味 | 人には立派なことを言っておきながら、自分では実行しないこと |
由来 | 平賀源内の『風流志道軒伝』にある、「医者の不養生、坊主の不信心」という文から |
類義語 | 紺屋の白袴、易者身の上知らず、大工の掘っ立てなど |
英語訳 | Physician, heal yourself.(医師よ、自分の病気を治療しなさい。) |
他人のことを大切にするのはとてもいいことですが、自分のことも気をつけたいですね。