今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「茫然自失(ぼうぜんじしつ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「茫然自失」をざっくり言うと……
読み方 | 茫然自失(ぼうぜんじしつ) |
---|---|
意味 | 呆気にとられたり、呆れ果てて我を忘れること |
由来 | 『列子』の「仲尼」より |
類義語 | 瞠目結舌など |
英語訳 | be stunned(呆然とする)など |
「茫然自失」の意味をスッキリ理解!
「茫然自失」の意味を詳しく
「茫然自失」とは、思いもよらない意外なことに遭遇して驚いたり、呆れ果てて我を忘れることを指します。
「茫然」とは、呆気にとられるさまを表しています。なお、「茫然」は「呆然」という漢字に書き換えても間違いではありません。
また、「自失」とは、我を忘れてぼんやりしている様子のことです。
つまり、「茫然自失」は、「茫然として自我を失う」と読み下すことができますね。
なお、「茫」という漢字の部首は、草冠(くさかんむり)です。さんずい(氵)ではないので、書く際には注意しましょう。
「茫然自失」の使い方
すでに述べたように、「茫然自失」は思いがけない突然の知らせや、良くない状況に遭遇した際に用いられます。
具体的には、以下のような例文になります。
- 突然の知らせに茫然自失となり、しばらく言葉が出なかった。
- 勤めている会社の不祥事に茫然自失としてしまう。
- スマートフォンを落としてしまい、茫然自失となる。
「茫然自失」の由来
中国には、「道教(どうきょう)」という固有の宗教が存在します。この宗教は、老子(ろうし)や荘子(そうし)などの思想家たちの考えを核としています。道教の経典に『列子(れっし)』と呼ばれるものがあります。
また、『列子』はいくつかの巻から成り立っています。その中の「仲尼(ちゅうじ)」という巻に収められた逸話が「茫然自失」のもととなっています。「仲尼」とは、孔子(こうし)の別名です。
この逸話は、孔子とその弟子である子貢(しこう)が中心の話です。
ある時、孔子が弟子たちに「真知真能(しんちしんのう)」という概念について説きます。しかし、子貢は、孔子のこの話を理解することができませんでした。子貢はとても真面目な性格で、孔子の話を理解することができないことに対して深く悩み、呆然としてしまいます。
そんななか、他の弟子が「孔子の話を理解した」と言ったので、子貢はさらに深く悩んでしまうのです。そして、飲んだり食べたりすることをせず、睡眠も取らずに7日間も過ごしました。
その後、その弟子が子貢を励まし、子貢も徐々に回復します。そして、遂に子貢は修行に戻ることができました。
このように、孔子の話を理解できないことに我を失うほど悩み、修行を忘れた子貢の様子が「茫然自失」の由来です。
「茫然自失」の類義語
茫然自失には以下のような類義語があります。
- 瞠目結舌(どうもくけつぜつ):とても驚き、呆れること
「瞠目結舌」は、それほどに驚いている様子を意味しているのです。
「茫然自失」の英語訳
茫然自失を英語に訳すと、次のような表現になります。
- be stunned
(呆然とする) - stupefaction
(仰天) - in a stupor
(茫然自失として)
- be stunned
“in a stupor” に含まれる “stupor” は、「麻痺(まひ)」や「ぼうっとする様子」を表す名詞です。
まとめ
以上、この記事では「茫然自失」について解説しました。
読み方 | 茫然自失(ぼうぜんじしつ) |
---|---|
意味 | 呆気にとられたり、呆れ果てて我を忘れること |
由来 | 『列子』の「仲尼」より |
類義語 | 瞠目結舌など |
英語訳 | be stunned(呆然とする)など |
誰もが一度は、茫然自失を経験したことがあるのではないでしょうか。
今後何かに驚いた時は、この言葉を思い出してましょう。