今回ご紹介する言葉は、ことわざの「両雄(りょうゆう)並(なら)び立(た)たず」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「両雄並び立たず」をざっくり言うと……
読み方 | 両雄(りょうゆう)並(なら)び立(た)たず |
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意味 | 同じ力量の英雄が二人いれば必ず争いになり、どちらかが勝ちどちらかが負けるという意味 |
由来 | 司馬遷『史記』での「項羽」と「劉邦」両雄の物語が由来 |
類義語 | 両虎相闘えば勢い倶に生きず、両高は重ぬべからず、両雄は必ず争うなど |
英語訳 | Birds of prey do not flock together.(猛禽は群をなさず。) |
このページの目次
「両雄並び立たず」の意味をスッキリ理解!
「両雄並び立たず」の意味を詳しく
「両雄並び立たず」は、同じ力量の英雄が二人いれば必ず争いになり、どちらかが勝ちどちらかが負けるという意味のことわざです。
このことわざでは、大きな権力を持ち、トップに立つことができる人が二人いる状況を「両雄」と表現しています。つまり、「両雄」は二人の英雄と解釈することができます。
多くの場合、権力を持つ人はさらに大きな権力を求めます。そのため、二人の権力者がいれば、どちらかが権力を巡って争いを仕掛けることになります。
争いをするということは、最終的にどちらかが勝ち、どちらかが負けることを意味します。そのため、二人の英雄が両立し続けるのは、非常に困難になります。
このことを表すのが、「両雄並び立たず」です。
「両雄並び立たず」の使い方
- 両雄並び立たずというし、あの二人が一緒に仕事ができるとは思えない。
- 両雄並び立たずだから、どちらかを異動させた方がいい。
「両雄並び立たず」の由来
司馬遷(しばせん)が書いた歴史書『史記(しき)』が由来です。『史記』には、「項羽(こうう)」と「劉邦(りゅうほう)」両雄の物語が書かれています。
中国秦時代の始皇帝死後、実力を持っていた「項羽」と「劉邦」が皇帝の座を得るための戦いをしました。この戦いで、劉邦が勝利し前漢の初代皇帝となり漢の高祖(こうそ)になったのです。
高祖は、先祖という意味もありますが、この場合は王朝の始祖に贈られる位を意味します。
この『史記』酈生(れきせい)に次の文があります。
臣窃かに以て過つと為す。且つ両雄は倶には立たず。
この文は、「失礼ながら、それは間違っていると考えます。両雄は並び立つことができません。」という意味です。
ちなみに、『史記』の著者である司馬遷は、中国前漢時代の歴史家でした。儒学の影響を強く受けた人としても知られています。
「両雄並び立たず」の類義語
「両雄並び立たず」には以下のような類義語があります。
- 両虎(りょうこ)相闘えば勢い倶(とも)に生きず:強いもの同士が戦えばどちらかが必ず倒れるということ
- 両高(りょうこう)は重ぬべからず:高いものの上に高いものを積み上げることはできないということ
- 両雄は必ず争う:英雄が二人いると、争いは回避できないということ
「両雄並び立たず」の英語訳
「両雄並び立たず」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Birds of prey do not flock together.
(猛禽(もうきん)は群をなさず。) - It two ride upon a horse one must sit behind.
(一頭の馬に二人の人間が乗れば、一人は後ろに乗らなくてはならない。) - He that has a wife has a master.
(女房持ちは主人持ち。)
まとめ
以上、この記事では「両雄並び立たず」について解説しました。
読み方 | 両雄(りょうゆう)並(なら)び立(た)たず |
---|---|
意味 | 同じ力量の英雄が二人いれば必ず争いになり、どちらかが勝ちどちらかが負けるという意味 |
由来 | 司馬遷『史記』での「項羽」と「劉邦」両雄の物語が由来 |
類義語 | 両虎相闘えば勢い倶に生きず、両高は重ぬべからず、両雄は必ず争うなど |
英語訳 | Birds of prey do not flock together.(猛禽は群をなさず。) |
現在も、トップになる人は基本的に一人です。今も昔も通じることわざであるといえます。