今回ご紹介する言葉は、熟語の「純粋(じゅんすい)」です。
「純粋な人」のように人に用いることもあれば、「純粋な水」のように物体にも用いる言葉です。場面に応じて上手く使えるようになりたいですね。
以下では、「純粋」の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「純粋」をざっくり言うと……
読み方 | 純粋(じゅんすい) |
---|---|
意味 | 混じりけのないさま |
語源 | 混じりけがないという意味を持つ「純」と「粋」の組み合わせ |
類義語 | 純真、無垢、純然など |
対義語 | 不純 |
英語訳 | pure, genuine |
「純粋」の意味をスッキリ理解!
「純粋」の意味を詳しく
「純粋」とは、混じりけがないさまを指します。「純粋」は、物だけでなく、精神などの形のないものに対しても用いられる言葉です。
物に対して使う場合、たとえば「純粋な水」という表現があります。これは、水以外の物質が含まれていない水のことです。また、精神的な意味で「純粋」を用いる例としては「純粋な心」という表現が挙げられます。これは、邪念などが一切ない清らかな心のことを指します。
さらに、「純粋」はひたむきに何かに取り組むさまも指します。それにのみ心がとらわれているという意味で、混じりけがないと言えます。この意味では、「純粋に学問を究めたい」という文が1例として挙げられます。ここでは、学問を究めようとする一途な心の在り方を「純粋」と表現しています。
学問的な意味での「純粋」
「純粋」には、学問的な意味での用法が2つあります。1つ目は、応用の仕方を考えずに理論のみを追及する姿勢を指す使い方です。
たとえば、「純粋数学」という表現があります。これは、得た知識を他分野に応用することを意識しない数学の分野のことを指します。反対に、他分野への応用を考えて数学を突き詰めていく学問分野は応用数学と言います。
学問的な意味で「純粋」を用いる2つ目の例は哲学的な用法です。哲学分野における「純粋」は、外的な要素を含まず、内的に完結していさまを表します。
たとえば、「純粋理性」という哲学用語があります。これは、経験から得られるものとは独立した先天的な能力のことを指します。この場合、外の環境に触れることを指す「経験」が外的な要素であり、もともと自分の中に備わっている力である「先天的な能力」が内的な要素に当たります。
「純粋培養(じゅんすいばいよう)」とは
「純粋」を用いた熟語表現として、「純粋培養」があります。主に、3つの意味があります。
1つ目の意味は、菌などを、他の種類のものを混ぜずに培養することです。こちらは、元祖の意味になります。「培養」は、菌や細胞を人工的に生育また増殖することを意味します。1種類のみを培養するため「純粋培養」と言います。
2つ目の意味は、子供を、社会に存在する悪から遠ざけながら育てることです。ここでは、悪に染まらないことを「純粋」、そして育てることを「培養」と言っています。
3つ目の意味は、新卒で入社した企業や団体で定年まで勤めることです。こちらはかなり比喩的な意味で、1つの世界を生き抜く人を「純粋に培養された」人とみなしています。
また、2つ目や3つ目の意味で「純粋培養」を用いる場合、狭い世界しか知らない世間知らずといった皮肉なニュアンスを伴う場合があります。
「純粋」の使い方
- 私は純粋な日本人である。
- 彼には人に良く思われようという打算がなく、常に純粋な気持ちで物事に取り組んでいる。
- 私が勉強好きなのは別に凄いことではなく、純粋に色々なことを知りたいだけなのだ。
①の例文では、別の国の血が混じっていないという意味で「純粋」が用いられています。②の例文では、人から良く思われようという下心が一切ない清らかな気持ちを「純粋」と表現しています。
③の例文では、色々なことを知るということに対してひたむきな私の姿勢が「純粋」と表されています。
「純粋」の語源
「純粋」は、混じりけがないという意味を持つそれぞれの漢字が合わさって出来た熟語です。
まず、「純」の成り立ちについて解説します。「純」のつくりである「屯」には、一か所に集まるという意味があります。訓読みの「屯(たむろ)する」という言葉は、大勢の人が一つの場所に集まることを指しています。
したがって、「純」とは糸が一か所に集められている状態、つまりは加工前の糸が蓄えられている状態を指しているのです。その状態にある糸は全て何も手を加えられていないことから、「純」には混じりけがないという意味が備わりました。
次に、「粋」の成り立ちについて解説します。「粋」のつくりである「卆」は「卒」という字の略字です。「卒」には、「卒業」という言葉に表れているように、何かが終わるという意味があります。
つまり、「粋」は米が完全に精米された最後の状態を指しています。そこから、「純」と同様に「粋」にも混じりけがないという意味が備わったのです。
「純粋」の類義語
純粋には以下のような類義語があります。
- 純真:心が清らかなこと
- 無垢(むく):うぶで混じりけのないこと
- 純然:混じりけがなく、また正しくそれにに違いないこと
- 生粋(きっすい):混じりけが一切ないこと
- 一途(いちず):他には目もくれず、ひたむきに取り組むこと
「純真」「無垢」「一途」は、心的な面において混じりけがないことを指す場合に多く用いられます。
「純然」は、「純然たる〇〇」という形で、ある事柄について、まさしくそのものであることを指します。たとえば、「純然たる反則行為」と言う場合、搬送行為以外の何物でもないという意味になります。
「生粋」は、「生粋の日本人」や「生粋のチャレンジャー」のように、血筋や気質について言及する際に使われます。物質的な意味では用いられません。
「純粋」の対義語
純粋には以下のような対義語があります。
- 不純:混じりけがあるさま
「不純」は、心的にも物質的にも用いる熟語です。
たとえば、「不純な動機」と言った表現があり、本来あるべき動機とは異なり、よこしまな考えがあることを意味します。また、物質的に意味では「不純な物質」などの表現があります。
「純粋」の英語訳
純粋を英語に訳すと、次のような表現になります。
- pure
(純粋な) - genuine
(純種の)
特に血筋について言及する場合は genuine を用いましょう。
それぞれを用いた例文は以下の通りです。
- I want to lose a pure heart.
(純粋な心を失いたくないものだ。) - He is a genuine American.
(彼は生粋のアメリカ人だ。)
まとめ
以上、この記事では「純粋」について解説しました。
読み方 | 純粋(じゅんすい) |
---|---|
意味 | 混じりけのないさま |
語源 | 混じりけがないという意味を持つ「純」と「粋」の組み合わせ |
類義語 | 純真、無垢、純然など |
対義語 | 不純 |
英語訳 | pure, genuine |
「純粋」は、「純」と「粋」のそれぞれの成り立ちを押さえておくと意味を理解しやすいでしょう。是非、意味や使い方等を覚えてみてくださいね。