今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「屋上架屋(おくじょうかおく)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「屋上架屋」をざっくり言うと……
読み方 | 屋上架屋(おくじょうかおく) |
---|---|
意味 | 無駄なことを繰り返すこと。独創性がないこと。 |
由来 | 中国南北朝の宋時代に書かれた、劉義慶の『世説新語』の一節より |
類義語 | 屋下架屋など |
英語訳 | adding redundant things(余計なものを加える) |
「屋上架屋」の意味をスッキリ理解!
「屋上架屋」の意味を詳しく
「屋上架屋」は、「屋根に屋を架(か)する」と書きます。
「屋」は「屋根」のことで、屋根のまた上に屋根を作ることです。屋根の上にまた屋根を作っても同じことの繰り返しで、何の意味もなく、ただ無駄なものを加えてしまうことになりますね。
ですから、「屋上架屋」の意味は「無駄なことを繰り返すこと」「独創性がないこと」なのです。
「屋上架屋」の使い方
- 今更何をしても、屋上架屋なことだろう。
- 良いアイディアが全く出ず、出たとしても屋上架屋なものばかりで、堂々巡り(どうどうめぐり)である。
- 携帯電話の新しい機能は屋上架屋なものばかりで、飽きてしまう。
- ビニール袋が破けないように袋をいくら重ねたところで、屋上架屋である。
「屋上架屋」の由来
「屋上架屋」の由来は、『世説新語(せせつしんご)』の文学篇(ぶんがくへん)の中の一節です。
『世説新語』とは、中国南北朝(なんぼくちょう)の宋(そう)の時代(420年〜479年)に、劉義慶(りゅうぎけい)によって書かれたものです。後漢(ごかん)の時代の末から東晋(とうしん)の時代までの有名人の逸話(いつわ)を集めて、まとめた小説集です。
庾中初(ゆちゅうしょ)という詩人が『揚都賦(ようとふ)』という詩を作り、親戚の庾亮(ゆりょう)に見せました。庾亮は親戚であったため、大げさにその詩を褒めました。
そこで、人々はいっせいにその詩を書き写しました。
これを見た謝太傅(しゃたいふ)という政治家が、「爾(しか)るを得ず、此は是れ屋下に屋を架するのみ。」と言いました。この言葉の意味は、「そうではない。それは屋根の下に屋根をかけたにすぎない」というものです。つまり、屋根を2つ作るのが無駄であることと同じで、詩を必要以上にほめて騒ぐのも無駄なことだということです。
この原文から「屋根の下に屋根を作る」という意味の「屋下架屋(おくかかおく)」という四字熟語が成り立ったのです。
それが派生して「屋上架屋」という四字熟語が生まれたと考えられています。
「屋上架屋」の類義語
屋上架屋には以下のような類義語があります。
- 屋下架屋(おくかかおく):無用で無駄なことをすること
「屋上架屋」の英語訳
屋上架屋を英語に訳すと、次のような表現になります。
- adding redundant things
(余計なものを加える)
まとめ
以上、この記事では「屋上架屋」について解説しました。
読み方 | 屋上架屋(おくじょうかおく) |
---|---|
意味 | 無駄なことを繰り返すこと。独創性がないこと。 |
由来 | 中国南北朝の宋時代に書かれた、劉義慶の『世説新語』の一節より |
類義語 | 屋下架屋など |
英語訳 | adding redundant things(余計なものを加える) |
生きていくなかで、同じことを繰り返して意味のない行為をしていたことに、後になって気付くことが時々あるでしょう。
しかし、その行為は、無駄なように見えても成功へのプロセスとなることがあるのです。
人は、失敗から学ぶことが大いにあります。
屋上架屋なことを繰り返した後に、やがて成功への道を開けていくことが理想でしょう。