日夜、世間を騒がせる政治問題。連日行われる審議では、様々な議論がなされ、その話題は尽きることを知りません。
さて、日本の政治において、重要な役割を担っているのが「政党」です。「政党」とは共通した政治思想を持つ人々が、理想の実現のために活動する組織のことです。
「政党」には「日本共産党」や「日本のこころを大切にする党」など様々なものがありますが、やはり「自民党」と「民進党」(あるいは「民主党」)は非常に有名です。
しかし、両者の党員が国会議事堂で言い合っている姿は見たことがあっても、それぞれの「政党」がどのような政党で何を目指しているのかは、よく知らない人が多いと思います。今回は選挙権を持つ大人ならば知っておきたい「自民党」と「民進党」の違いを解説していきます。
結論:「自民党」は企業ベース。「民進党」は人ベース
「自民党」をもっと詳しく
「自民党」とは、自由民主党の略です。1955年に自由党と日本民主党が合併し、自由民主党となりました。2009年から2012年までは「民主党」に政権を譲り渡しましたが、現在では与党として政治を主導しています。
「自民党」は参議院で121議席(2016年7月)、衆議院で284議席(2017年10月)を獲得しています。基本的には、保守的な政党であり、現在の価値観や日本の伝統などを重要視し、擁護しようとする傾向があります。
「自民党」は、国が経済に介入せず、個人の自由な意思決定に委ねることを重視しています。初めに大企業の活動を活発にして、その利益が結果として人々に分配されることを目指しています。これはビジネスが盛んに行われる一方で、格差拡大の可能性もあります。
この考え方はアベノミクスの三本の矢の一つである「金融政策」に現れています。「金融政策」は銀行の金利を下げ、企業がお金を借りやすくすることで、企業の事業を活発にさせるねらいがありました。
そのため、経営者や投資家などの資産家との繋がりが強く、「自民党」の支持基盤の一つとなっています。大企業の集まりである経団連は、2017年10月には「自民党」の政策を「内政・外交両面で高く評価できる」としました。さらに会員企業に対して自民党への献金を促しました。
大災害の際に政府の権限を強める「緊急事態条項」の条文化、重要な秘密事項を国民に知らせない「特定秘密保護法」、テレビ局に対する「電波停止命令」の可能性など、国民統制を強く行う傾向もあります。
これらの政策は、安定的な政治運営というメリットがある一方で、憲法に規定された「国民の自由」が侵害されるというリスクがあります。
有名な「自民党」出身者
- 安倍晋三
- 麻生太郎
- 佐藤栄作
- 中曽根康弘
- 小泉純一郎
「民進党」をもっと詳しく
「民主党」は、1998年に旧民主党、民政党、新党友愛、民主改革連合が合併してできました。2003年に小沢一郎を党首とする自由党が合併した後、2009年に自民党から政権を奪いました。
「民主党」は高校における授業料無償化、高速道路無償化、子ども手当などの公約を打ち出していましたが、十分な財源を確保することができませんでした。その結果として残った多額の赤字国債や東日本大震災に対する対応などで批判が集まり、2012年に再び「自民党」に政権を譲り渡しました。
その後、「民主党」は2016年3月27日に解散しました。そして、「維新の党」を吸収し、現在の「民進党」が出来上がりました。
「民主党」は、結党時から2013年まで「民主中道」を理念として掲げていました。これは、真面目に働いているけれど報われていない「生活者」「納税者」「消費者」の立場を代表しようというものでした。
現在の「民進党」は「人への投資」という言葉を掲げ、教育無償化を強く押し出していますが、これは「民主中道」の思想を継承しているといえます。
民主党は2009年の総選挙で「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げました。不要な公共事業をなくし、社会保障などの人に対してお金を使おうという意味です。これは「民主党」の「民主中道」の理念が色濃く反映されたものでした。
有名な「民進党」「民主党」出身者
- 野田佳彦
- 菅直人
- 蓮舫
まとめ
以上、この記事では、「自民党」と「民進党」の違いについて解説しました。
- 自民党:自由主義経済推進による経済活性化
- 民進党:「消費者」「労働者」の視点が第一
普段の国会中継では、与党である「自民党」の打ち出す政策についての議論はあっても、それ以外の政党の方針が明確に見えることはあまりありません。少なくとも選挙によって政党を選ぶ前には、それぞれの政党の方針を確認しておきましょう。