今回ご紹介する言葉は、ことわざの「行(い)きがけの駄賃」です。
言葉の意味・例文・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「行きがけの駄賃」をざっくり言うと……
読み方 | 行(い)きがけの駄賃 |
---|---|
意味 | ある事のついでに他の用事もすませ、利益を得ること |
由来 | 馬子が問屋へ荷物を取りに行くついでに、空の馬を使い他の荷物を届け、手間賃を得たことから |
類義語 | 朝駆けの駄賃、往に掛けの駄賃、帰りがけの駄賃など |
英語訳 | Doing something incidentally.(何かをするついでに何かをする。) |
このページの目次
「行きがけの駄賃」の意味をスッキリ理解!
「行きがけの駄賃」の意味を詳しく
「行きがけの駄賃」とは、ある事のついでに他の用事もすませ、利益を得ることを表します。
また、悪事のついでに、他の悪事を働くことのたとえとしても使用します。
「駄賃」とは、駄馬(だうま)(※1)で人や物を運ぶときの運賃のことです。
また、「行きがけ」には「道の途中」「途上」という意味があります。
よって、本来の目的を達成する過程において利益を得た場合に「行きがけの駄賃」が使われます。
本来の目的を達成することは、「行きがけの駄賃」とは言いません。
なお、金銭的な利益を得ること以外にも「行きがけの駄賃」は使われます。例えば、以下のような例文が挙げられます。
「彼は激怒して僕に殴りかかって来たが、行きがけの駄賃とばかりに僕の友人も殴って去っていった。」
このように、本来の目的のついでに他のことをするという意味であれば、あらゆる場面で使われます。
- 駄馬(だうま)(※1):荷物を背につけ運ばせる馬のこと。だば。
「行きがけの駄賃」の例文
- 行きがけの駄賃で、今日の夕飯の食材も買ってきてもらった
- 海水浴をしたあとで、行き掛けの駄賃に貝殻をたくさん拾って帰った。
「行きがけの駄賃」の由来
昔は馬子(まご)という職業の人が馬をひいて、人や荷物を運んでいました。
彼らは問屋などへ荷物を取りに行くついでに他の荷物も受け取り、空の馬を利用してそれらを運んでいました。
そして、そのことから手間賃を得ていたのです。
本来の仕事の「行きがけ」に別の仕事からも「駄賃」をもらっていたことから、「行きがけの駄賃」ということわざが生まれました。
「行きがけの駄賃」の類義語
「行きがけの駄賃」には以下のような類義語があります。
- 朝駆けの駄賃
- 往(い)に掛(が)けの駄賃
- 帰りがけの駄賃
「行きがけの駄賃」の英語訳
「行きがけの駄賃」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Doing something incidentally.
(何かをするついでに何かをする。) - Doing something on the way.
(何かをする道中で何かをする。) - Doing something while you are at it.
(何かを行う最中に何かをする。)
まとめ
以上、この記事では「行きがけの駄賃」について解説しました。
読み方 | 行(い)きがけの駄賃 |
---|---|
意味 | ある事のついでに他の用事もすませ、利益を得ること |
由来 | 馬子が問屋へ荷物を取りに行くついでに、空の馬を使い他の荷物を届け、手間賃を得たことから |
類義語 | 朝駆けの駄賃、往に掛けの駄賃、帰りがけの駄賃など |
英語訳 | Doing something incidentally.(何かをするついでに何かをする。) |
多くの人は本来の目的達成に夢中になり、「行きがけの駄賃」をもらう余裕はあまりないように思えます。
しかし、普段の行動に少し工夫を加え、効率よく生活を豊かにする「行きがけの駄賃」の考え方を取り入れることも重要ではないでしょうか。