今回ご紹介する言葉は、熟語の「宿主(しゅくしゅ)」です。
言葉の意味・使い方・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「宿主」をざっくり言うと……
読み方 | 宿主(しゅくしゅ) |
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意味 | 寄生または共生をする生物をくっつけている生物 |
対義語 | 寄生者、共生者 |
英語訳 | host(主人、やどぬし) |
「宿主」の意味をスッキリ理解!
「宿主」の意味を詳しく
ここで説明する「宿主(しゅくしゅ)」は、生物学の用語です。
「やどぬし」と読む場合は、宿の主を意味する言葉です。「やどぬし」は、ここで説明する「しゅくしゅ」とは違う意味の言葉なので注意しましょう。
「宿主」は、「寄生」や「共生」に関係する言葉です。
寄生も共生も、種が異なる生物同士の関係をさす言葉です。「寄生」は、一方が損をして、もう一方が得をしている状態です。一方「共生」は、両方が得をしている状態を主にさします。片方が得をして、もう片方は損も得もしていない状態も、共生に含めることがあります。
ここでの「損」「得」は、栄養の確保や天敵からの防御などの、生物の生存に必要なことがうまくいくかどうかを指しています。たとえば、寄生されている生物は、自分が得られるはずの栄養の一部を、寄生している生物に横取りされている状態にあります。
寄生虫や共生の相手が体にくっついている個体を「宿主」といいます。相手が自分の体内にいるか、体の表面にくっついている場合のみ「宿主」という言い方をします。宿主は、相手よりもはるかに大きい場合が多いです。
寄生されている「宿主」の例
寄生の関係では、「宿主」が損をする側である場合がほとんどです。いわゆる「寄生虫」は、宿主に不利益を起こします。寄生虫にとっての「利益」は、栄養を得て生きのびることです。
たとえば、アタマジラミはヒトの頭皮にくっついて生活します。ヒトはアタマジラミの宿主です。アタマジラミは激しいかゆみを引き起こし、ヒトの生活を邪魔します。ヒトにとって、アタマジラミは迷惑な存在です。一方でアタマジラミは栄養を得て頭皮の上で生活ができます。
このように、寄生をしている生物は、宿主を殺さない程度の「迷惑」をかけている場合がほとんどです。宿主が死んでしまえば、自分自身の生活も危うくなるからです。
しかし、中には宿主を殺してしまう寄生生物もいます。有名な例が寄生バチです。寄生バチの親は、宿主となる他の虫の幼虫に卵を産みます。ふ化した寄生バチの幼虫は、宿主を食い殺して成長します。成虫になった寄生バチは、再び他の宿主を探して卵を産みます。
共生している「宿主」の例
共生の関係にある生物で、宿主がいる代表例は、ヒトの腸内細菌でしょう。ヒトの腸の中には、たくさんの細菌が住んでいます。ヒトは腸内細菌の宿主です。
腸内細菌の中でも、いわゆる「善玉菌」は、ヒトの健康に貢献してくれています。腸内細菌は、ヒトが取り入れた栄養分の一部を得ることで生きています。
ヒトは、自分の栄養分の一部を腸内細菌に取られる代わりに、健康という大きなメリットを受けています。ヒトにとって腸内細菌は、栄養分を横取りするだけの迷惑な存在ではありません。むしろ、一緒に生活することでお互いの利益になっているといえるでしょう。
他にも、共生の関係にある生物としてはイソギンチャクとクマノミが有名ですが、こちらは宿主の例には当てはまらないため注意が必要です。
イソギンチャクは毒を出すので、他の魚がクマノミに近づくことを防いでくれます。クマノミは、イソギンチャクを食べようとする魚を追い払います。このように、イソギンチャクとクマノミはお互いを守りあっています。
しかし、この2つの生物はぴったりとくっついて生活しているわけではありません。そのため、「イソギンチャクはクマノミの宿主である」という言い方はしません。
「宿主」の使い方
- サナダムシは大きな寄生虫だが、宿主であるヒトにもたらす害は小さい。
- エキノコックスは、キツネなどの動物を宿主とする寄生虫だ。
- ウイルスは自分で繁殖できないため、生物の細胞を宿主とする。これが感染である。
上記の例文のように、「宿主」は2つの生物やウイルスの関係をさすときに使われます。
「宿主」の対義語
「宿主」の対義語は、「寄生者」「共生者」です。
「宿主」の英語訳
「宿主」を英語に訳すと、 “host” となります。「主人」「亭主」「主催者」などの意味があります。
“host” には、「やどぬし」という意味もあります。ホームステイ先の家族を「ホストファミリー」と言いますよね。
まとめ
以上、この記事では「宿主」について解説しました。
読み方 | 宿主(しゅくしゅ) |
---|---|
意味 | 寄生または共生をする生物をくっつけている生物 |
対義語 | 寄生者、共生者 |
英語訳 | host(主人、やどぬし) |
寄生虫は、重大な病気につながるおそれもあります。「宿主」と「寄生者」の関係を知って、しっかりと対策しておきたいですね。