今回ご紹介する言葉は熟語の「稀有(けう)」です。
「稀有な出来事」や「稀有な才能」といった形で修飾語として目にすることが多い熟語でしょう。きちんと意味を押さえて、使いこなせるようにしたいものです。
以下では、「稀有」の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「稀有」をざっくり言うと……
読み方 | 稀有(けう) |
---|---|
意味 | 滅多に起きない、珍しいこと・不思議なこと |
類義語 | 非凡、稀少など |
対義語 | 人並み、ありきたりなど |
英語訳 | rare(レア・滅多にない)など |
「稀有」の意味をスッキリ理解!
「稀有」の意味を詳しく
「稀有」とは、通常では起こらないような珍しいこと、またそのようなさまを指します。「きゆう」と読んでも間違いではありません。「稀」は「滅多にない、珍しい」、「有」は「存在すること」を意味しています。
「稀有」は、不思議な事柄よりも、滅多にない事柄について使われることが多いです。人の才能や物の存在価値の高さ、また発生確率が低い出来事の珍しさを表現する場合に使われます。
また、「稀有」の「稀」は常用漢字ではないため、「希有」と表す場合もあります。意味や使い方に違いはありません。
化学用語としても使われる!「稀有元素」と「稀有金属」
化学用語として、「稀有元素(きゆうげんそ/けうげんそ)」「稀有金属(きゆうきんぞく/けうきんぞく)」といった言葉があります。
「稀有元素」とは、地球上において、存在している量が少なかったり、関わる機会が少ないとされている元素のことです。研究が進むにつれて、以前は稀有元素であったものがそうではなくなる例もあります。
「稀有金属」とは、地球上において産出量が少ない金属のことを言います。「レアメタル」と表現されることも多いです。
古語としての「稀有」
現代では肯定的な意味で使われる「稀有」ですが、古語としては「とんでもない」といった否定的なニュアンスで使われていました。たておば、『徒然草(つれづれぐさ)』には以下のような記述があります。
(これはとんでもない悪さだな。)
混同されがち!「稀有」と「杞憂」の違い
稀有は「きゆう」とも読めることから、同音の熟語「杞憂(きゆう)」と混同されることがあります。両者はまったく別の意味を持つ言葉であるため注意しましょう。
「杞憂」とは、先のことをあれこれ心配してしまうことや、取り越し苦労のことです。よくある使われ方に「杞憂に終わってよかった」があります。これは、あれこれと心配したことが起こらず、一安心した様子を表します。
「稀有」の使い方
- 彼の稀有な才能は何事にも代えがたい。
- 生き別れの兄弟に出くわすという稀有に、彼女は泣いて喜んだ。
- 彼は、いわゆる飛び級で私たちのクラスに来た稀有な経歴の持ち主である。
②の例では、生き別れの兄と再会するという幸運な出来事を「稀有」と表現しています。
③では、飛び級という、多くの人が持っていない特別な経歴を「稀有」と表現しています。文としては、彼の才能よりも、出来事としての珍しさに焦点を当てています。
「稀有」の類義語
「稀有」には以下の類義語があります。
- 稀少・希少(きしょう):数が少なくて、まれなこと
- 希代(きだい):世にも珍しいさま
- 稀(まれ):滅多にないこと
- 非凡(ひぼん):普通よりもすぐれていること
「希代」は、「「希代の英雄」「希代の悪党」といった形で、肯定的にも否定的にも用いられます。
「非凡」は、出来事には用いず、他人の才能を高く評価する際に用いる表現です。
「稀有」の対義語
「稀有」には以下の対義語があります。
- 人並み:生活や能力などの水準が一般の人と同じ程度であること
- ありきたり:珍しくなく、ありふれていること
- 凡庸(ぼんよう):取り柄もなく、平凡であること
- ざら:世の中にたくさんあって珍しくないこと
「稀有」の英語訳
「稀有」を英語に訳すと以下のような表現になります。
- not common / uncommon
(一般的ではない) - rare
(レア・滅多にない) - unusual
(普通ではない)
上記4つの表現を用いた例文は以下の通りです。
- It was a not common [an uncommon] event that a rookie won the former champion.
(それは、ルーキーが全チャンピオンを倒すという、稀有な出来事であった。) - Uranium is a rare chemical element.
(ウランは希有元素である。) - As to his daily life, he is very lazy. But, as a scholar, he has an unusual ability.
(私生活はだらしないが、学者としては稀有な才能を持ち合わせていた。)
まとめ
以上、この記事では「稀有」について解説しました。
読み方 | 稀有(けう) |
---|---|
意味 | 滅多に起きない、珍しいこと・不思議なこと |
類義語 | 非凡、稀少など |
対義語 | 人並み、ありきたりなど |
英語訳 | rare(レア・滅多にない)など |
事実は小説より奇なりの言葉通り、私たちの身の周りには不思議なことや珍しいことがたくさん潜んでいます。今の生活にもう少し目を凝らすと、「稀有」なことが見つかるかもしれません。