今回ご紹介する言葉は、ことわざの「左前になる」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「左前になる」をざっくり言うと……
意味 | 商売がうまくいかず、経済状態が悪くなること |
---|---|
由来 | 左前は亡くなった人に着せる形のため、縁起が悪いことから |
類義語 | 左縄 |
英語訳 | To go downhill(衰退している) |
このページの目次
「左前になる」の意味をスッキリ理解!
「左前になる」の意味を詳しく
「左前になる」は、商売がうまくいかず、経済状態が悪くなることを意味することわざです。また、利益を生んでいた事業に勢いがなくなり、下火になるという意味もあります。
多くの場合、経済状態に対して使いますが、ものごと全般が落ち目になるという意味でも使うことができます。
例としては、「芸能界で一時は人気があった人が、いつの間にか話題にも上がらなくなった」という状況が挙げられます。
「左前になる」の使い方
- 大きなショッピングモールが、商店街の近くにオープンしたので、商店街のお店は左前になってしまった。
- 中国企業の進出により、会社の売り上げが思うように伸びず、左前になった。
- A社はひと昔前はとても大きな会社だったが、時代とともに左前になった。
- あの人は、最初はグループのリーダーのような存在として、仕切っていた。しかし、横柄な性格のため周りの人が離れて行き、今はすっかり左前になった。
①の例文は、「お店の経営が上手く行かなくなり、店が傾く」という意味で「左前になる」を使っています。
②の例文は、「会社の売り上げが伸びず、経営が上手く行っていない」という意味です。
③の例文は、「時代の流れとともに、経営が上手く行かなくなった」ということを表します。
④の例文は、「周りの人が離れて行き、現在は上手く行っていない」という意味で「左前になる」を使っています。
「左前になる」の由来
着物は本来、正面から見て、右側の部分を前にして着ます。左前とは、右側の部分ではなく、左側の部分を前に出して着ることです。
左前は、亡くなった人に着せる形で、縁起が悪いとされています。このことから、「左前になる」は、商売が上手くいかず、貧しくなるという意味になりました。
死者に左前で着物を着せる理由
なぜ、死者には左前で着物を着せるのでしょうか。
それは、生きている人と亡くなっている人を区別するためです。昔の人は、死者の世界は生者の世界と全てが逆になっていると考えました。
たとえば、この世が昼なら、あの世は夜になります。このような、この世とあの世は全て逆になっているという考えを「逆さごと」といいます。
「左前になる」の類義語
「左前になる」には以下のような類義語があります。
- 左縄:ものごとが上手く進まないこと
「左前になる」の英語訳
「左前になる」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- To go downhill
(衰退している) - To be badly off
(悪化する)
“To go downhill” は経営状態に対して使います。一方、“To be badly off” は経済状態に対して使います。
まとめ
以上、この記事では「左前になる」について解説しました。
意味 | 商売がうまくいかず、経済状態が悪くなること |
---|---|
由来 | 左前は亡くなった人に着せる形のため、縁起が悪いことから |
類義語 | 左縄 |
英語訳 | To go downhill(衰退している) |
うまく行っているときもあれば、何をしても上手く行かないときもあります。何をしてもダメというときでも、その状態がずっと続くわけではないので、過度に落ち込まないようにしたいですね。