今回ご紹介する言葉は、故事成語の「卵翼の恩(らんよくのおん)」です。
言葉の意味・例文・由来・類義語・英語訳について、わかりやすく解説します。
☆「卵翼の恩」をざっくり言うと……
読み方 | 卵翼の恩(らんよくのおん) |
---|---|
意味 | 小さい頃から子を育て上げた親の恩 |
由来 | 中国の歴史書『春秋』より |
類義語 | 顧復の恩(こふくのおん)、三枝の礼(さんしのれい) |
英語訳 | The kindness of growing by parents |
「卵翼の恩」の意味
「卵翼の恩」の意味を詳しく
「卵翼の恩」とは、親鳥が自分の体であたためて卵を孵化(ふか)させ、生まれたヒナを羽でおおって育てる様子から、親が子供を大事に育てるありがたさや、その恩を表す言葉です。
「卵翼之恩」というように、四字熟語として使われることもあります。
「卵翼の恩」の例文
「卵翼の恩」は文中では以下のように使われます。
- ここまで育ててくれた、卵翼の恩は決して忘れません。
- 卵翼の恩に報いるため、親孝行をしようと決めた。
「卵翼の恩」の由来
中国の、春秋時代の歴史書である『春秋』という本が由来になっています。
元になった一節は以下の文です。
儒教には、五つの経典があり、五経と呼ばれています。『春秋』はそのうちのひとつで、他には『易経』『書経』『礼経』『詩経』があります。
五経には、他にも故事成語の由来になった話が数多く載っています。調べてみると勉強になるかもしれません。
『春秋』には、年表に沿って魯国(ろこく)の王の没年・外交・自然災害が記録されています。
『春秋左氏伝』『春秋公羊伝』『春秋穀梁伝』の三つから成り立っています。ここから『春秋』は、『春秋三伝』と呼ばれることもあります。
「卵翼の恩」の類義語
「卵翼の恩」の類義語には以下のような言葉があります。
- 顧復の恩(こふくのおん):育ててもらった親への恩
- 三枝の礼(さんしのれい):両親に対して礼儀を尽くして感謝すること
「顧復」は、親が何度も振り返って子供の心配をすることです。親が、子供がいくつになっても気にかかっている様子が表れています。
ハトの子供は、親のとまっている枝より三本下にとまると言われています。ここから、「三枝」は親への礼儀を表しています。
後半の部分を「反哺の孝」と表現することもあります。これは、成長して大きくなったカラスは、年老いて自力でエサを取ることが難しくなった親に対し、口移しでエサを与えることを表しています。
意味は前半の「三枝の礼」と「反哺の孝」でほぼ同じです。同じ表現を繰り返すことで、親への礼儀・孝行の大切さを強調する表現です。
「卵翼の恩」の英語訳
「卵翼の恩」は英語では以下のように表されます。
- The kindness of growing by parents
(親に育てられた恩)
まとめ
以上、この記事では「卵翼の恩」について解説しました。
読み方 | 卵翼の恩(らんよくのおん) |
---|---|
意味 | 小さい頃から子を育て上げた親の恩 |
由来 | 中国の歴史書『春秋』より |
類義語 | 顧復の恩(こふくのおん)、三枝の礼(さんしのれい) |
英語訳 | The kindness of growing by parents |
親からの恩を表す言葉は、使う場面も多いと思います。日頃の感謝を込めて、両親への贈り物にこの言葉を添えて、渡してみるのもいいかもしれませんね。