例年、初詣で日本一の参拝者数を集める神社を知っていますか。正解は「明治神宮」です。名前くらいは誰でも聞いたことはあるでしょう。
しかし「神社」ではなく、「神宮」という名前のものがいくつかありますが、「神社」との違いは具体的には何なのでしょうか。また「お寺」とは何が異なるのでしょうか。
今回は、私たちの生活に身近でありながら、実はよく知らない「お寺」「神社」「神宮」の違いを解説していきます。
結論:「お寺」は仏教。「神社」と「神宮」は神道で、「神宮」は格式が高い。
「お寺」をもっと詳しく
「お寺」は仏教の宗教的な活動の中心となる場所のことです。仏教はインドから中国を経由して日本に伝わって来た外来の仏教です。多くの「お寺」には仏像が安置され、お墓があります。また、お坊さんや尼さんが管理をします。
仏教では「仏・法・僧」からなる「三宝」を非常に重要視します。このことから寺には仏像(仏)があり、仏教の教え(法)を知る管理者(僧)が必ずいます。
「お寺」には葬儀を行う「菩提寺(ぼていじ)」の他に、「修行を行う寺」や歴史的に有名な「観光寺(かんこうでら)」があります。毎年多くの修学旅行生が訪れる清水寺などは、「観光寺」にあたります。
「お寺」の参拝方法
「お寺」の設備によって、次にあげる工程の一部ができない場合があります。
- 山門前で手を合わせ、一礼する
- 敷居を踏まないようにお寺に入る
- 手水舎(ちょうずや)へ行く
- 鐘をつく
- ひしゃくで手を清める(左手→右手→口→左手→ひしゃくの順)
- お線香をあげて、一礼する
- お賽銭をやさしく入れる
- 鰐口(わにぐち、吊り下げられた大きな円形の鈴)を鳴らす
- 手を合わせたまま、一礼する
- 山門から出る時、手を合わせ、一礼する
有名な「お寺」
- 清水寺
- 金閣寺
- 鹿苑寺(ろくおんじ)
- 東寺(とうじ)
- 浅草寺(せんそうじ)
「神社」をもっと詳しく
「神社」は神道の宗教施設であり、日本古来の神を祀る場所です。神道は日本起源の宗教で、山・川・石などこの世のありとあらゆるものに宿る神を信仰します。「八百万(やおよろず)の神」という言葉は、非常に多くの神が存在することを意味しています。
「神社」では「お寺」における仏像のように、祀られている神様の姿を見ることが出来ません。管理は神主さんや巫女さんが行います。
「神社」には鳥居があります。これは神が住む神聖な領域と、人間が住む俗界との境界としての役割があります。ちなみに日本三大鳥居は厳島神社(広島県)・伊勢神宮(三重県)・春日大社(奈良県)です。
「神社」の参拝方法
- 鳥居をくぐる時に一礼
- 参道の端を歩く
- 手水舎(ちょうずや)へ行く
- ひしゃくで手を清める(左手→右手→口→左手→ひしゃくの順)
- お賽銭を入れ、鈴を鳴らす
- 二礼二拍手一礼をする
有名な「神社」
- 厳島神社(いつくしまじんじゃ)
- 伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)
- 八坂神社(やさかじんじゃ)
- 靖国神社(やすくにじんじゃ)
「神宮」をもっと詳しく
「神宮」は「神社」の中でも特に格式の高い神社です。具体的には神社に祀られている神が天皇と縁が深い場合、「神宮」と呼ばれます。例えば、三重県の「伊勢神宮」には皇室の祖先の神である天照大神(あまてらすおおみかみ)が祀られています。
また、東京にある「明治神宮」には明治天皇とその妻である昭憲皇太后(しょうけんこうたいごう)を祀られています。
「神宮」というと、厳密には「伊勢神宮」のことを指します。「伊勢神宮」とはあくまで他の神宮と区別するための通称であり、正式名称は「神宮」です。広い意味での「神宮」は「伊勢神宮」の他に全国で23社あります。
有名な「神宮」
- 伊勢神宮
- 明治神宮
- 鵜戸神宮(うどじんぐう)
- 霧島神宮(きりしまじんぐう)
- 平安神宮
まとめ
以上、この記事では、「お寺」と「神社」と「神宮」の違いについて解説しました。
- お寺:仏教。仏像が安置され、お坊さんがいる
- 神社:神道。鳥居があり、神主がいる
- 神宮:格式高く、天皇と関連のある神社
全国のお寺の数は約7万7000寺、神社の数は約8万社、一方神宮の数は24社です。これだけ見ても、神宮が非常に特別な神社であることが分かります。
自分を「無宗教」と思っている日本人は多いですが、実はこれだけ多くの宗教施設が日本にはあります。普段「お寺」と「神社」はそこまで違いを意識しない人が多いですが、この2つは参拝の仕方も異なります。初詣の際には気を付けてみてください。