今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」です。
言葉の意味・使い方・由来・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「一目瞭然」をざっくり言うと……
読み方 | 一目瞭然(いちもくりょうぜん) |
---|---|
意味 | 一回見ただけで、分かること |
由来 | 朱子学の教え |
英語訳 | obvious(明らか) |
「一目瞭然」の意味をスッキリ理解!
「一目瞭然」の意味を詳しく
「一目瞭然」は、何かの物や事を一度見ただけで、その物や事の全てがわかることを意味しています。「一目」は「いちもく」と読みます。
この四字熟語での「一目」は、片目という意味ではなく、1度見るという意味です。また、「目」は身体にある目を指しているのではなく、見るという動作を指しているのです。
続く「瞭然」は、はっきりしていて疑いを持つ必要がないことです。つまり、明らかだということです。これら2つの熟語を合わせると、1度見ただけで全て明らかになるという意味になります。
「一目瞭然」の使い方
- 魅力的なあの子に彼氏がいることは一目瞭然だ。
- 全く勉強をしていないので、結果は一目瞭然である。
- 若いときに苦労した人と、苦労していない人の人生を比べるとその差は一目瞭然だ。
「一目瞭然」は、原因となる事柄と結果となる事柄に対して用います。つまりAが起こればBに必ずなるということがはっきりと分かるときに使われます。
例えば、白いタイルの上に黒いペンキを落とせばどうなるか想像がつきます。必ず白いタイルに黒いペンキが付着します。「一目瞭然」は、そのように絶対変えられない真実や、「ほぼ100%こうなるだろう」と予想がつくものに対して使われるのです。
①の例文は、恋愛に関する例文です。魅力的な人物が恋人に恵まれるだろうという想像をするのです。そのことを「一目瞭然」と言っているのです。
②の例文は、勉強に関する例文です。もしも、勉強をしていないと、テストの結果はどうなるか想像つきます。よほど頭の良い人や勘が良い人ではない限り、悲惨な結果になることが分かります。
ここでは、原因が勉強をしていないということ、結果が悪いテストの点数ということになっていて両者の関係が明らかなので「一目瞭然」と表しているわけです。
③の例文は、人生について述べた例文です。「若いときの苦労は買ってでもしろ」という言葉があるように、若いときにした苦労にはその後の人生で大きな意味を持ちます。
苦労した人と苦労しなかった人には雲泥の差があるということを言いたいときに「一目瞭然」を使うわけです。
「一目瞭然」の由来
「一目瞭然」の由来は朱子学にあります。朱子学は中国の1100年代に生きた思想家、朱子が始めた学問です。その経典のフレーズの中に「一目瞭然」がありました。
当時、「一目瞭然」は「一目了然」と書いていました。「了」は中国語で、「〜した」という完了の意味を持っています。そのため、「見た通りである」という意味になります。このように、「一目瞭然」の意味を理解しようとするとき、「瞭」を「了」で考えると理解しやすいので、知っておくと良いでしょう。
「一目瞭然」の類義語
「一目瞭然」には以下のような類義語があります。
- 明々白々(めいめいはくはく):疑いの余地がないこと
- 複雑怪奇(ふくざつかいき) :非常に複雑で簡単に分からない様子
「明々白々」は、「明明白白」とも書きます。「明白」という漢字を2回組み合わせたものです。中国語は、同じ漢字を2回繰り返すことを好む言語です。
「明白」は「明らかであり、疑いようのないこと」という意味があります。例えば、「火は熱い」ということは疑いようのない事実ですので、「明々白々」の事実です。
「一目瞭然」と異なっている点としては、焦点を当てている部分が異なっています。「一目瞭然」は、何かを見る動作をした後に、それが何か分かるという意味です。
一方の「明々白々」は、何かを見るという動作のニュアンスがなく、ただ物や事が明らかであるというだけです。つまり、「明々白々」の方が、明らかであるという部分に焦点を絞っているのです。
「複雑怪奇」は、「複雑で分かりにくく、不思議なこと」という意味です。「怪奇」は、よく怪奇現象などに使われますが、不思議なことという意味があります。簡単には説明できない様子を表しているのです。
「複雑怪奇」は、「コンピュータの中の動線は複雑怪奇だ」というような使い方をします。非常に複雑で、簡単には理解も説明もできない様子を言っているのです。
「一目瞭然」は、原因と結果の関係がはっきりしています。しかし、「複雑怪奇」では、原因も結果も不明で何もかも簡単には分からないという様子を表しています。
「一目瞭然」の英語訳
「一目瞭然」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- obvious
(明らか)
「一目瞭然」は、英語一語で表すことができます。しかしながら、1度見るという動作のニュアンスが含まれていません。単に「明らか」という意味になります。
もしも、「一度見ただけで明らかである」というニュアンスをつけたければ、 “obvious at first glance” というようになります。最初に見た様子で明らかだというニュアンスです。
使い方としては、 “obvious lie” (明らかな嘘)など名詞を修飾して使います。 “state the obvious” といった、「当たり前のことを述べる」という意味の慣用表現もあるので、「一目瞭然」を英語で使いたいときはぜひとも覚えておきたいところです。
まとめ
以上、この記事では「一目瞭然」について解説しました。
読み方 | 一目瞭然(いちもくりょうぜん) |
---|---|
意味 | 一回見ただけで、分かること |
由来 | 朱子学の教え |
英語訳 | obvious(明らか) |
「一目瞭然」は原因と結果の関係を説明するときに役に立つ四字熟語です。誰かに説明するときに、「一目瞭然」を使うと、知的な印象にもなります。ぜひこの記事を参考にして、「一目瞭然」の意味や使い方を覚えて応用できるようになりましょう。