「憲法」と「法律」の違いとは?どちらが上位?それぞれの意味も解説

違いのギモン

安倍政権は現在「一億総活躍社会」の実現に向けて、経済政策や社会保障、子育て支援などに取り組んでいます。しかしそれ以外に、安倍政権の政治方針として頻繁にニュースに取り上げられていることがあります。それは、憲法9条の改正です。

しかし、そもそも憲法とは何なのでしょうか。法律とは異なるのでしょうか。今回は両者の違いを考えていきます。

結論:憲法は国の最高法規であり、法律の上位に位置します

憲法とは国民による国家に対するルールです。法律とは国家による国民に対するルールです。法律は最高法規である憲法を犯さないように制限されながら立法されています。

憲法


憲法とは国家権力を制限し、国民の権利・自由を守るためのルールです。現在の日本の憲法である日本国憲法は「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」の3つを原則として掲げています。

憲法は国の最高法規であり、法律の上位に位置する存在です。そのため特段の事情がない限り、憲法に反する内容の法律を規定することはできません。これは歴史的に見て、国家より弱い立場になりやすい国民を守るための構造です。

また憲法を改正するためには、各議院の三分の二以上の賛成による国会の発議と国民投票が必要です。この国民投票はまさに「国民主権」とつながっており、国民が国家権力を制限するための重要な行為となります。

法律


法律は、国家による国民に対するルールです。人々の関係を円滑にし、治安を維持し、紛争を防止するために多くの法律が定められています。

法律は基本的には、最高法規である憲法に沿った内容でなければなりません。例えば、憲法20条は「信教の自由」を定めているため、特段の事情なく「キリスト教を信じる人は処罰する」というような信教を禁止する法律を制定することはできません。

また法律の制定・改正には次のような方法があります。

  • 両議院で可決したとき
  • 衆議院で可決し、参議院で否決した場合に、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再可決したとき
  • 参議院が衆議院から法律案の送付を受け60日以内に議決しなかった場合に、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したとき

憲法に比べ、法律は改正がより簡単になっています。

まとめ

「憲法」は民のための法であり、「法律」は国のための法です。「憲法」は直接的に私たちの生活に関係することは少ないですが、「法律」に制限を加えるという点において大きな役割を果たしています。

以上、この記事では「憲法」と「法律」の違いについて解説しました。

  • 憲法:国民による国家に対するルール
  • 法律:国家による国民に対するルール

ちなみに戦時期には大日本帝国憲法という今とは別の憲法が機能していました。しかし、この憲法には「有事の際には国民の権利より天皇の命令が優先される」という内容の規定がありました。そのため、現在では「基本的人権」として保障されている権利が侵害されることもありました。

逆に言うと、憲法さえ正しく規定されていれば、国家による不合理な抑圧・圧制はなくなります。現在憲法9条の改正の是非が問題となっていますが、国家の主権者たる私たち一人一人が真剣に考える必要があるでしょう。