今回ご紹介する言葉は、ことわざの「下手の横好き(へたのよこずき)」です。
言葉の意味・使い方・例文・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「下手の横好き」をざっくり言うと……
読み方 | 下手の横好き(へたのよこずき) |
---|---|
意味 | 下手なくせに、その物事に対してやる気があり、好きなこと |
由来 | 「横好き」の「本来の枠を外れて好き」という意味から |
類義語 | 下手の馬鹿好き、下手の物好き、下手の悪好きなど |
対義語 | 好きこそ物の上手なれ、下手が却って上手、道は好む所によって安しなど |
英語訳 | Being crazy about something but being very bad at it.(そのことに夢中なのに、下手だ。) |
このページの目次
「下手の横好き」の意味をスッキリ理解!
「下手の横好き」の意味を詳しく
「下手の横好き」は、下手なくせにその物事が非常に好きであり、やる気をもって取り組むことを意味することわざです。
また、本業ではないことを好きで取り組むことも表します。
「下手の横好き」の使い方
「下手の横好き」は、「本業ではないことが好き」というニュアンスがあるので、仕事としていることが下手な場合には使用しません。例えば、歌唱力がないアイドルグループや滑舌が悪い落語家のことを「下手の横好き」というのは間違いです。
多くの場合、自分や自分の身内の趣味について、謙遜の意味を込めて使用します。その場合、「自分はやる気があるだけで、実力が伴っていない」という意味になります。
また、他人を「下手の横好き」と表現するときには、相手の能力が努力に見合っていないことを意味します。悪口になってしまうので、使用する場面・相手には注意が必要です。
「下手の横好き」の例文
- 所詮私は下手の横好きですよ。本業で作家をやっている先生には、全然かないません。
- 娘のような下手の横好きが、本当にコンテストに出ても良いのでしょうか。
- あいつは、一番練習を真面目にやってるくせに、この部活で一番下手だ。まさに、下手の横好きというやつだな。
- いくら他人から下手の横好きと言われようと、関係ない。私はやりたいからやるだけだ。
例文の➀と➁は、自分や自分の身内の能力・立場について、謙遜するような場合です。
一方例文の➂と➃は、他人に対する悪口として使用する場合です。
「下手の横好き」の由来
「下手の横好き」の「横」には、「本来の枠を外れている、無関係の立場」という意味があります。以下のことわざにも、同様の意味で使用されています。
- 横槍を入れる:関係のない人が、口を出してくること
- 横車を押す:道理に合わないことを無理に押し通すこと
「横好き」の解釈としては、2通りがあります。
1つは、「一般的には好きにならないはずのことが、好き」という意味です。
多くの人は、物事が上手であれば好きになり、下手であれば嫌いになります。「横好き」は、そのような一般的な傾向とは異なり「下手なのに好き」ということを表します。
もう1つは、「専門分野から外れているものが好き」という意味です。
多くの人は、自分の専門分野を、特に熱心に取り組みます。「横好き」は、それとは異なり、「自分の専門分野ではないにも関わらず、熱心に取り組む」ということを表します。
「下手の横好き」の類義語
「下手の横好き」には以下のような類義語があります。
- 下手の馬鹿好き:「下手の横好き」と同義
- 下手の物好き:「下手の横好き」と同義
- 下手の悪好き:「下手の横好き」と同義
「下手の横好き」の対義語
「下手の横好き」には以下のような対義語があります。
- 好きこそ物の上手なれ:好きなことは熱中するため、自然に上達するということ
- 下手が却って上手:下手な人ほど準備に時間を割き、努力するため、かえって良い結果になるということ
- 道は好む所によって安し:物事を好きになれば、上達するのは容易であるということ
「下手の横好き」の英語訳
「下手の横好き」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Being crazy about something but being very bad at it.
(そのことに夢中なのに、下手だ。) - loving something but being very bad at it.
(そのことが非常に好きだが、下手だ。) - He is always at it, and always bad at it.
(彼はいつもそれをしているが、下手だ) - dabster
(物好き)
“crazy” は、「頭がおかしい」という意味が有名ですが、「熱狂する、夢中になる」という意味もあります。
まとめ
以上、この記事では「下手の横好き」について解説しました。
読み方 | 下手の横好き(へたのよこずき) |
---|---|
意味 | 下手なくせに、その物事に対してやる気があり、好きなこと |
由来 | 「横好き」の「本来の枠を外れて好き」という意味から |
類義語 | 下手の馬鹿好き、下手の物好き、下手の悪好きなど |
対義語 | 好きこそ物の上手なれ、下手が却って上手、道は好む所によって安しなど |
英語訳 | Being crazy about something but being very bad at it.(そのことに夢中なのに、下手だ。) |
成長するスピードは人それぞれです。「下手の横好き」であっても、長く続けていれば、相応の実力を身につけることができます。
他人から何を言われようと、自分がやりたいと思ったことに取り組めるのが一番でしょう。