今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「単刀直入(たんとうちょくにゅう)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「単刀直入」をざっくり言うと……
読み方 | 単刀直入(たんとうちょくにゅう) |
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意味 | 回りくどい言い方をせず、はっきりと言うこと |
類義語 | 公明正大など |
英語訳 | To be honest with you (正直に言うと) |
「単刀直入」の意味をスッキリ理解!
「単刀直入」の意味を詳しく
「単刀直入」は、人と話をしていて、遠回しではなく直接要点をについてはっきりと口にすることです。前半部の「単刀」には「1回刀を振ることと」「1人で刀を振ること」という意味があります。
この四字熟語では、前者の「刀を1回振ること」という意味で使われています。そして、後半部分の「直入」は「直接入る」という意味になります。つまり無駄な回り道をすることなく、目的地へ向かってスムーズに入ることを意味しています。
これらの「単刀」と「直入」という言葉が合わさって、刀を一回振り下ろし、狙った場所を斬り込むという意味になります。刀を自分の思っていることや伝えたいことに変換して考えると、現代の「自分の思ってることや伝えたいことを1回で、回りくどい言い方をせずに相手に直接伝える」という意味になります。
「単刀直入」の使い方
- 彼女に向かって、単刀直入にプロポーズをする。
- 商談では、単刀直入に重要な取引の要求について述べた。
- 首脳会談で、単刀直入に相手国に対して要件を突きつけた。
①の例文は、恋愛に関する例文です。日常生活で、「単刀直入」に思っていることを真っ直ぐに伝えなければならない場面のひとつに恋愛があります。
好きだということを態度で示すこともできますが、それは暗黙の了解であり相手も100%好かれているということが理解できません。
お互いが話さなくても好きだと分かりあえる関係ではない限り、好きだと認識し合うことは難しいです。やはり、言葉を使って好きだと伝えることが、自分の気持ちを伝える方法です。
さらに言えば、「単刀直入」に好きだと伝えることが1番大切なのです。
しかし、好きであるということを言葉で伝えるときに、明確に伝えなければ「単刀直入」に好きだと伝えることにはなりません。
たとえば、「君のことが気になっている」や「かわいいよね」というフレーズは、好きだという雰囲気は伝わりますが、100%伝わっているとは考え難いです。
これらのフレーズはやや遠回りして行為を表現しすぎです。好きだとストレートに言うことが、「単刀直入」の表現なのです。
そして、この例文のようにプロポーズのことになると、状況はまた変わってきます。結婚するということは、その人に残りの人生を捧げるということでもあります。
そのため、伝えることの重要度や重さが大きくなります。そのぶん、より一層「単刀直入」に言うことが大切なのです。
②は、ビジネスの商談に関する例文です。ビジネスの商談の場面では、駆け引きや交渉が非常に重要です。駆け引きや交渉が重要な世界では、自分の利益を明確にして、相手に妥協させることが目的です。
つまり、自分が何をどれだけ欲しくて、何をどれだけ相手に譲ることができるのかを明確に提示することが必要なのです。例えば、ある資源を売買する交渉をしていたとします。
ある資源1リットルを1000円で、相手が売ろうとしている場合です。自分としては、1リットル500円で買いたいと言うときには、この要求を「単刀直入」に明確に伝えるべきです。
たとえ、500円で購入することができなかったとしても、1000円で購入することは回避できるでしょう。両方の要求の半分、つまり、750円が双方の妥結点となるからです。
このように値段交渉を成功させるためには自分の要求を「単刀直入」に明確に言う必要があります。
また、ビジネスマンの商談ではなくても、若い人たちに人気なフリーマーケットアプリでも値段交渉の際には、「単刀直入」に要求を述べることによって、値段交渉が成立しやすいので覚えておくと役に立ちます。
③の例文は、ニュースに頻出な例文です。G7と呼ばれる、先進国の首脳が集まる会談があります。そこで、各国の首脳が顔を合わせて会談することになるのですが、国の間で多くの問題を抱えているため交渉が多発します。
どの首脳も相手国に対して「単刀直入」に利益を明確に示して、譲る部分と譲らない部分をはっきりと提言します。例えばアメリカのトランプ大統領は、欧州連合に対して鉄やアルミニウムの輸入関税の適応を発表しました。
これに対して、EU諸国がそれは自国の利益にならないために譲れないと「単刀直入」に公の場で宣言しました。このように、「単刀直入」に交渉が行われることが多くあるのです。
また、国際政治の場合、大統領や総理大臣が「単刀直入」に自国の利益を宣言することで、自国の国民が弱気ではなくしっかりとしたリーダーなのだと認識します。そのため、大統領や総理大臣にとって「単刀直入」に宣言をすることは、時刻の国民から人気を取ることにもなるのです。
「単刀直入」の類義語
「単刀直入」には以下のような類義語があります。
- 公明正大:正直で真面目なこと
「公明」は真面目だという意味です。公平であり、誰にでも隔たりがなく、私欲がないという意味です。また、「正大」は堂々としていることです。
ただ堂々としているだけではなく、態度や行動も魅力的に見えるほど、しっかりとしていて同等としているという意味です。つまり、性格面でも魅力的であり、なおかつ行動もしっかりとした行動が取れる人こそ「公明正大」なのです。
「単刀直入」は気持ちを真っ直ぐ伝えるという意味が強いですが、伝える際に嘘をつかず真っ直ぐと伝えるという部分では、「公明正大」の「裏と表がなく真面目である」という意味と共通しています。
「単刀直入」の英語訳
「単刀直入」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- To be honest with you
(正直に言うと)
「単刀直入」を英訳しても、刀に当たる単語はありません。直訳すると「あなたに対して正直になる」というようになります。つまり、相手に対して嘘をつかないようにするということです。
回りくどい言い方を避けることです。実際の会話では、 “with you” は省略して、 “To be honest” だけ使われることも多いです。その場合は、建前を言った後に自分の本音を述べるつなぎのフレーズとして使われます。
また、英語自体が「単刀直入」の言語なのも意識しておくと良いでしょう。英語では、返答をするときには回りくどい言い方をせず、「単刀直入」に賛成か反対なのか立場を明らかにして答えるわけです。
この点は、議論を常にすることを意識してきた欧米文化と議論を好まない日本文化の違いです。
まとめ
以上、この記事では「単刀直入」について解説しました。
読み方 | 単刀直入(たんとうちょくにゅう) |
---|---|
意味 | 回りくどい言い方をせず、はっきりと言うこと |
類義語 | 公明正大など |
英語訳 | To be honest with you (正直に言うと) |
「単刀直入」は、日常でよく使う表現です。特に多くの人が経験する恋愛の場面などでは、真っ直ぐに伝えなければならない場面も多く、「単刀直入」に伝える必要がある場面がよくあります。
ストレートな表現をすることが苦手な日本人ですが、「単刀直入」に思いを伝えなければならない時もあります。回りくどい表現や比喩表現は、日本語の美徳としても考えられますが、真っ直ぐに思いを伝えることも重要です。
ぜひ、この記事で「単刀直入」の意味や使い方を理解して、使いこなせるようになりましょう。