バレエの靴といえば、あなたは何を思い浮かべますか。多くの人が「トウシューズ」を連想するでしょう。
しかし、バレエの練習では「バレエシューズ」も欠かせないアイテムなのです。
それでは、両者にはどのような区別があるのでしょうか。この記事では、「トウシューズ」と「バレエシューズ」の相違点について解説します。
バレエシューズ
「バレエシューズ」は、布または革でできています。このため、履き心地が柔らかく、素足のような感覚で踊ることができます。
また、つま先が丸みを帯びていることも特徴です。
「バレエシューズ」のカラーバリエーションは様々です。ピンク、黒、白などがあります。
トウシューズ
「トウシューズ」は、サーモンピンク色のサテン生地から作られています。
つま先部分は糊で固められており、中敷きの下には板や革が入っています。ですから、「トウシューズ」は履き心地が固いのです。
足先が固いため、「トウシューズ」を履くと、つま先で立つことができます。この所作を「ポワント」といいます。このため、「トウシューズ」は「ポワント」とも呼ばれます。
「トウシューズ」には長いリボンがついていることも特徴です。リボンは足首でクロスさせます。
「バレエシューズ」と「トウシューズ」の使い分け例
「バレエシューズ」の使い方
「バレエシューズ」は、バレエを習い始めたばかりの人が履くものです。
「バレエシューズ」が初心者向けである理由は、バレエ歴が浅い段階では筋力が不十分で、つま先立ち用の「トウシューズ」を使うことができないからです。
つま先で立つには、ふくらはぎの筋肉が鍛えられていることが求められます。
トレーニング不足のままつま先立ちをしようとすると、肉離れなどを起こす危険性があります。
ですから、バレエを初めて間もないうちは、怪我防止のために、つま先部分が柔らかい「バレエシューズ」で踊るのです。
また、子どもは特に、「バレエシューズ」を履く必要があります。
子どもの足のサイズは、成長とともにどんどん大きくなりますね。サイズが変わりやすい子どもの足を固く締め付けると、足を痛める危険性があります。
だから子どもは、つま先部分が丸く、締め付けのない「バレエシューズ」を履くことが望ましいのです。
「トウシューズ」の使い方
「トウシューズ」は、バレエ経験をある程度重ねた人が履くものです。
「トウシューズ」はつま先で立つための構造をしています。
すでに述べたように、つま先立ちをするためには筋力が必要です。十分にトレーニングを積んだ人は、つま先立ち用の「トウシューズ」を使いこなすことができます。
つまり、バレエを習う人は、以下のように「バレエシューズ」と「トウシューズ」を使い分けているのです。
- はじめのころ:「バレエシューズ」で経験を積んだり、足のサイズの成長を自然に促したりする
- 上達したら:「トウシューズ」でつま先立ちの所作を行うようになる
なお、「トウシューズ」を履き始めるタイミングは、生徒ひとりひとりの状況を見て、バレエ教室の先生が判断します。個人差はあるものの、「バレエシューズ」を卒業して「トウシューズ」を使うようになるまでには1年半以上かかると言われています。
まとめ
以上、この記事では、「バレエシューズ」と「トウシューズ」の意味の違いと使い方について解説しました。最後に、両者の違いをおさらいしましょう。
- バレエシューズ:柔らかい材質→初心者・子ども向け
- トウシューズ:固い材質→上級者向け
「バレエシューズ」も「トウシューズ」も、バレエのスキルアップにおいて重要な道具です。両者を適切な場面で使うことが大切ですね。
◉参考文献:伊藤彩子(2003)『バレエのはじめ』WAVE出版.