預金口座は給与を受け取るためにも、公共料金などの支払いのためにも、お金を安全に預けておくためにも、必ずと言っていいほど必要になるものですよね。
アルバイトをしている高校生や大学生でも持っている人は多いのではないでしょうか。
皆さんが銀行の口座を作る際、預金口座を二つの種類から選択することになります。「普通預金」口座と「当座(とうざ)預金」口座です。
ほとんどの方が基本的には「普通預金」を選択することになります。それでは、「当座預金」とは何なのでしょうか。また、「普通預金」との違いは何なのでしょうか。
この記事では、「普通預金」と「当座預金」8つの違いについて解説していきます。
☆「普通預金」「当座預金」の違いをざっくり言うと……
普通預金 | 当座預金 | |
---|---|---|
対象 | 個人も法人も | 法人と一部の個人事業主 |
利息の有無 | あり | 無し |
使用目的 | 給与受け取り、決済 | 手形、小切手の支払い |
銀行破綻時の保証 | 1000万円まで | 全額 |
入出金の自由さ | 自由 | 自由ではない |
口座番号、預金種別コード | 様々 | 8で始まる7桁の番号 |
出金の限度額 | 限度あり | 限度無し |
出金の手数料の有無 | あり | なし |
このページの目次
【1】対象の違い
普通預金の対象
この記事を読んでいるほとんどの人が利用している「普通預金」は、個人や法人問わず、誰でも身分証明書と印鑑さえあれば開設することができます。
基本的に、給与の受け取りは「普通預金」で行うことがほとんどであり、アルバイトなどで口座を作ることが必要となった際は「普通預金」口座を開設しましょう。
当座預金の対象
「当座預金」は基本的には商用目的の口座です。商用目的であるということから推測されるように、開設できるのは法人や一部の個人事業主(法人を設立せず個人で事業を行う人)です。
「一部」の個人事業主と書いたのは、「当座預金」の開設には非常に厳しい審査があり、その審査を通過できる個人事業主は非常に少ないと言われています。「当座預金」の開設は、ある程度の信用のある法人、個人事業主でないと難しいものとされます。
したがって、「当座預金」は法人向けの預金口座と考えてよいでしょう。
【2】利息の有無の違い
「普通預金」の利息の有無
「普通預金」の場合、お金を預けておくと非常に少ないですが、預金に対して利息が付きます。そのため、手元に置いておくよりも銀行に預けておく方が利息も付き、メリットがあると言えます。
しかし、他の金融商品と比べても利息はかなり低いため、貯蓄を目的とするのであれば利息の高い「定期預金」等を使用する方がよいでしょう。
「当座預金」の利息の有無
「当座預金」の場合、臨時金利調整法という法律により、利息を付けることを禁止されています。
そのため、「当座預金」にお金を預けておいても無利息であるため、お金が増えることはありません。
【3】使用目的の違い
「普通預金」の使用目的
「普通預金」は、一般の個人が給与の受け取りや公共料金、クレジットカードなどの決済に使用されます。
「当座預金」の使用目的
「当座預金」は法人や個人事業主が、手形(てがた)や小切手(こぎって)の支払いを行うための口座です。
手形や小切手とは、お金の代わりとなるもので、指定された用紙に必要事項(金額等)を記入し、取引先などの相手に渡します。その手形や小切手を銀行に持っていくことで、現金として受け取ることができます。
小切手の場合は直後に現金化することができますが、手形の場合は指定された期日後に現金化されることになります。
企業間の取引額は多額になることがほとんどですが、手形や小切手で決済ができるということにより、多額の現金を用意せずして済むことができます。現金ではないので盗難の危険もなく、防犯という観点でもメリットがあります。
そういった点からも、企業や個人事業主は「当座預金」を使用するメリットの大きさが見てとれると思います。
【4】銀行が破綻(はたん)した際の保証の違い
「普通預金」の保証
「普通預金」にお金を預けて、その銀行が仮に破綻した際には、「ペイオフ」という制度により、保証されるのは1000万円までの払い戻しです。
基本的にはどの銀行も預金保険制度に加盟しており、その銀行が破綻したとしても、「預金保険機構」という機関から、「ペイオフ」という制度により1000万円の保険金が支払われるという仕組みです。
「当座預金」の保証の違い
「当座預金」にお金を預けて、その銀行が破綻した場合、預金保険法という法律が定める「決済用預金」に該当し、全額が保証されます。
マイナス金利政策の影響や、人員削減といった、銀行の経営状態の悪化がささやかれる今、銀行の経営破綻は現実味を帯びている問題です。
そういった意味でも、銀行が破綻しても全額が保証される「当座預金」は安全であるといえます。
【5】入出金の自由さの違い
「普通預金」の入出金の自由さ
「普通預金」の場合、キャッシュカードが発行され、街中に設置されている ATM を利用することができます。そういった意味でも普通預金は入出金が自由にできると言うことができます。
「当座預金」の入出金の自由さ
「当座預金」の場合、企業間の取引はもちろん、入出金は ATM では行えません。当座預金を使用する企業の取引や入出金は多額で、企業の経理などのも関わってくるので、非常に慎重に行われる必要性があるからです。
【6】口座番号、預金種別コードの違い
「普通預金」と「当座預金」では、口座番号や預金種別コードにも違いがあります。一般的に、銀行の口座番号は6桁か7桁です。
「当座預金」の場合、8で始まる7桁の口座番号であることがほとんどです。
また、預金種別コードという、銀行の支店ごとに振り分けられている支店番号と口座番号の間の数字が、【1】が普通預金、【2】が当座預金です。ゆうちょ銀行の場合、【8】が普通預金、【9】が当座預金となるので注意が必要です。
【7】出金の限度額の違い
「普通預金」の出金の限度額
「普通預金」の場合、引き出すことができる金額の上限が一般的には定められています。
限度額は個人によって調整が可能ですが、法人であったとしても1日に1000万円が限度額と定められており、多額の取引を行う法人からすると不便です。
「当座預金」の出金の限度額の違い
「当座預金」の場合、1日当たりに引き出すことができる金額に限度額がありません。
そのため、多額の取引を行う法人にとって、「当座預金」は非常に使い勝手の良い口座と言うことができます。
【8】出金の手数料の有無の違い
「普通預金」の出金の手数料の有無
「普通預金」口座からお金を引き出す際、 ATM や窓口問わず、手数料がかかるのが一般的です。
どの銀行も平日の昼間などは手数料を無料としたり、月何回と定めて手数料を無料としたりはしていますが、口座を開設した以外の銀行の ATM を利用する際、時間外の場合は手数料が掛かってしまうことがほとんどです。
手数料は1回の引き出しでは数百円ですが、年間的にみると非常に大きな額となってしまいます。
「当座預金」の出金の手数料
「当座預金」口座からお金を引き出す際は、 ATM が使えないなどのデメリットがありますが、手数料が一切かからないというメリットがあります。
まとめ
以上、この記事では、「普通預金」と「当座預金」の8つの違いについて解説しました。
普通預金 | 当座預金 | |
---|---|---|
対象 | 個人も法人も | 法人と一部の個人事業主 |
利息の有無 | あり | 無し |
使用目的 | 給与受け取り、決済 | 手形、小切手の支払い |
銀行破綻時の保証 | 1000万円まで | 全額 |
入出金の自由さ | 自由 | 自由ではない |
口座番号、預金種別コード | 様々 | 8で始まる7桁の番号 |
出金の限度額 | 限度あり | 限度無し |
出金の手数料の有無 | あり | なし |
普通預金と当座預金ではこのように大きな違いがありますが、それぞれのメリット、デメリットで上手に使い分けることが重要です。
一般的には個人の場合は「普通預金」、法人の場合には「当座預金」を開設するのが無難です。