今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「一字千金(いちじせんきん)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「一字千金」をざっくり言うと……
読み方 | 一字千金(いちじせんきん) |
---|---|
意味 | 文字や文章を上手に書いたり、素晴らしい言葉を発したりすること |
由来 | 『史記』の「呂不韋伝」のエピソードから |
類義語 | 一言千金、一字百金、一字連城 |
英語訳 | word of great value(素晴らしい価値をもった言葉) |
「一字千金」の意味をスッキリ理解!
「一字千金」の意味を詳しく
「一字」はひとつの文字のことです。しかし、「一字千金」という四字熟語は文字だけではなく、文章や口頭での言葉に対しても使われます。
また、「千金」は多額のお金を表します。
したがって、「一字」と「千金」を組み合わせると、「大金の価値があるほど、文字・文章・言葉が優れている」という意味になるのです。
「一字千金」の使い方
「一字千金」は、他の人の文字や文章、言葉を褒めるときに使います。自分の書いたものや発言のことを「一獲千金」と表現することはまず有り得ないので、気をつけましょう。
この点を踏まえて、以下の例文を紹介します。
- あの書道家が書いた大河ドラマの題字は、一字千金だ。
- 私の弟の文字は一字千金だ。毎年書き初めコンクールで入賞しているほどの腕前である。
- この小説は一字千金だから、君にもぜひ読んでほしい。
- 友人の作文は一字千金だ。先生からも褒められていた。
- 10年ぶりに会った恩師からかけてもらった言葉は、一獲千金の重みがあった。
上記の例文から、プロであれ、子どもであれ、字や文を上手に書く全ての人に対して「一獲千金」という言葉を使うことができることがわかります。
また、発言を「一字千金」と表す際には、5番目の例文のように、目上の人からの言葉に対して使うことが多いのです。また、その場合は、言葉をもらったことの敬意を示すために「一獲千金の重み」と表現するのが一般的です。
「一字千金」の由来
中国最古の歴史書に『史記(しき)』というものがあります。このなかに、「呂不韋伝(りょふいでん)」というエピソードが収録されています。
中国の秦(しん)の時代に、呂不韋(りょふい)という政治家がいました。呂不韋は、『呂氏春秋(りょふいしゅんじゅう)』という自然科学に関する書物を書きました。完成後、彼はこの書物を一般公開します。
そして、「この文章の内容をたった1文字でも指摘できる者がいれば、その人物に千金の賞金を与える」と宣言しました。
つまり、呂不韋は『呂不韋春秋』の質に自信があり、「文句をつける余地がないほどに優れた書物である」という思いをもっていたために、このような挑発的な発言をしたのです。
このエピソードから、「優れた文章や文字には大金の価値がある」という意味に派生して、「一字千金」という四字熟語が生まれたとされています。
「一字千金」の類義語
「一字千金」には以下のような類義語があります。
- 一言千金(いちげんせんきん)
- 一字百金(いちじひゃっきん)
- 一字連城(いちじれんじょう)
3つとも、「一字千金」と同じく「文字や文章を上手に書いたり、素晴らしい言葉を発したりすること」という意味をもっています。
「一字千金」の英語訳
「一字千金」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- word of great value
(素晴らしい価値をもった言葉)
この表現は、文字・文章・発言の3つ全てに対して使うことができます。ですから、「文字や文章を上手に書いたり、素晴らしい言葉を発したりすること」という「一字千金」の意味を正しく訳しているといえますね。
まとめ
以上、この記事では「一字千金」について解説しました。
読み方 | 一字千金(いちじせんきん) |
---|---|
意味 | 文字や文章を上手に書いたり、素晴らしい言葉を発したりすること |
由来 | 『史記』の「呂不韋伝」のエピソードから |
類義語 | 一言千金、一字百金、一字連城 |
英語訳 | word of great value(素晴らしい価値をもった言葉) |
綺麗な文字を書いたり、質の高い文章を書いたり、相手の心に残る言葉を言ったりするのは素晴らしいことです。
周囲の人から「一字千金」を褒められるような人物になりたいですね。そのためには、丁寧に書く習慣を身につけ、周囲の人に思いやりをもつ必要があるでしょう。