今回ご紹介する言葉は、ことわざの「早起きは三文の徳(はやおきはさんもんのとく)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「早起きは三文の徳」をざっくり言うと……
読み方 | 早起きは三文の徳(はやおきはさんもんのとく) |
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意味 | 朝早起きをするといいことがあるということ |
由来 | 中国の「宋樓鑰詩」という本に書かれていた「早起三朝當一工」という文言 |
類義語 | 朝起き千両 夜起き百両、朝の一時は晩の二時に当たる、早起き三両倹約五両など |
対義語 | 長寝は三百の損など |
英語訳 | The early bird catches the worm.(早起きの鳥は虫をつかまえる。) |
このページの目次
「早起きは三文の徳」の意味をスッキリ理解!
「早起きは三文の徳」の意味を詳しく
「早起きは三文の徳」は、朝早起きをするといいことがあるという意味のことわざです。
この場合での「徳」は、利益やもうけを表しています。
以下のような表記をされる場合がありますが、「早起きは三文の徳」という表現の方が一般的です。
- 早起きは三文の得
- 朝起きは三文の徳
三文とは、一文銭3枚のことで、「ごくわずかな」という意味です。
このため、「早起きは三文の徳」は、「早起きにとても大きなメリットがある」という意味合いよりも、「早起きをすれば、たとえ少しだとしても、いいことがある」というニュアンスのほうが強い言葉といえます。
「三文」の価値を詳しく
三文とは、一文銭3枚ぶんの価値です。さらに、一文銭は、江戸時代の代表的貨幣である「寛永通宝」の一枚ぶんを指します。
江戸時代は260年以上の長い歴史があり、一文銭の価値も移り変わってきました。このため、「三文にどの程度の価値があるのか」という点は、明確に表すことができません。
ただし、参考としては、比較的物価が安定していた中期〜後期の一文銭は今の20円~25円に換算されることが多いです。このため、三文なならざっと60円~75円といったところでしょうか。
当時、蕎麦一杯が十六文程度だったので、「三文」は腹の足しにすらならないような、はした金でした。このため、「早起きは三文の徳」の「三文」は、「わずかな」という意味になります。
早寝のメリット
ちなみに、早起きは、自律神経が整うことによる、以下のような様々なメリットがあります。
- 心にゆとりが生まれる
- 仕事へのパフォーマンスをあげることができる
- ストレス激減
- 体内時計がリセットされる
- 基礎代謝が上がる
- 免疫力が高まる
- プラス思考になる
「早起きは三文の徳」の使い方
- 早起きは三文の徳というから、休みの日でも早起きをしてみよう。
- 早起きは三文の徳という言葉に従って、朝型の生活に変えてからいいことだらけだ。
「早起きは三文の徳」の由来
「早起きは三文の徳」は中国の「宋樓鑰詩」という本に書かれていた「早起三朝當一工」という言葉が由来だと言われています。
「早起三朝當一工」は、三日間早起きすれば、一人分の仕事になるという意味です。
これが、日本に伝わる時に少し形を変えて伝わったと言われています。
なぜ三文なのかについて、有力なのは奈良説と高知説です。
奈良説
昔から、奈良では鹿は神の使いとして大切に扱われてきました。
江戸時代、仮に偶然でも家の前に鹿の死体があれば三文の罰金を払うというルールがあったため、早起きをして庭の掃除をしたことが由来であるという説です。
高知説
土佐藩の家臣が洪水対策のための工事をしていた時に、堤防の土を早く固める狙いで「早起きをして土を踏み固めたものに褒美を出す」という内容の御触れを出したことが由来であるという説です。
「早起きは三文の徳」の類義語
「早起きは三文の徳」には以下のような類義語があります。
- 朝起き千両 夜起き百両:夜遅くまで起きて仕事をするよりも、朝起きて仕事をした方が何倍も効率がいいということ
- 朝の一時は晩の二時に当たる:朝は仕事が捗(はかど)るので、なるべく早起きした方がいいということ
- 早起き三両倹約五両:金額に関係なく、早起きも倹約も利益があるということ
- 宵寝朝起き長者の基(よいねあさおきちょうじゃのもと):早く寝て早く起きることはお金持ちに繋がるということ
- 早起き三両始末五両:早起きも倹約も大きな利益になるということ
- 朝起きは三文の徳:朝早く起きると良いことがあるということ
「朝起きは三文の徳」は「早起きは三文の徳」の古い形です。
「早起きは三文の徳」の対義語
「早起きは三文の徳」には以下のような対義語があります。
- 長寝は三百の損:長い間寝てしまい、起きないのは大きな損失であるという意味
- 夜なべは十両の損:遅く寝ると大きな損であるという意味
- 早起き千両:早起きにはとても大きなメリットがあるという意味
「長寝は三百の損」「夜なべは十文の損」は、どちらも、「夜更かしは良くないことだ」という意味をもちます。
「早起きは三文の徳」が朝に関することわざであるのに対して、これらの言葉は夜に関することを指しているため、対義語になります。
なお、「長寝は三百の損」「夜なべは十文の損」は、「早起きは三文の徳」と合わせて使うことがあります。
- 早起きは三文の徳、長寝は三百の損
- 早起きは三文の徳、夜なべは十文の損
夜更かしのデメリットを表す言葉を、「早起きは三文の徳」と合わせて使うことで、「早寝・早起きの良さ」を表すことができるのです。
「早起き千両」は、「早起きには良いことがたくさんある」という意味です。
「早起きは三文の徳」は、「早起きには些細な良いことがある」という意味であるため、表現したいメリットの大きさが違うという点で、両者は対義語といえますね。
「早起きは三文の徳」の英語訳
「早起きは三文の徳」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- The early bird catches the worm.
(早起きの鳥は虫をつかまえる。) - The cow that’s first up, gets the first of the dew.
(最初に起きる牛は最初の朝露を吸う。) - Early to bed and early to rise makes a man healthy, wealthy and wise.
(早く寝て早く起きることは、人を健康・裕福・賢明にする。)
まとめ
以上、この記事では「早起きは三文の徳」について解説しました。
読み方 | 早起きは三文の徳(はやおきはさんもんのとく) |
---|---|
意味 | 朝早起きをするといいことがあるということ |
由来 | 中国の「宋樓鑰詩」という本に書かれていた「早起三朝當一工」という文言 |
類義語 | 朝起き千両 夜起き百両、朝の一時は晩の二時に当たる、早起き三両倹約五両など |
対義語 | 長寝は三百の損など |
英語訳 | The early bird catches the worm.(早起きの鳥は虫をつかまえる。) |
このことわざのように、早起きをするといいことがたくさんあると昔から言われています。
しかし、これは多くの人に当てはまるだけであって、現在は、一人一人独自のリズムを維持するのが健康に繋がると科学的に証明されています。
人それぞれ、夜型であっても朝型であってもいいということなので、自分が一番スッキリできる生活スタイルを身に付けたいですね。