今回ご紹介する言葉は、ことわざの「肉を切らせて骨を断つ」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「肉を切らせて骨を断つ」をざっくり言うと……
読み方 | 肉を切らせて骨を断つ(にくをきらせてほねをたつ) |
---|---|
意味 | 自分も傷つくことを覚悟して、それ以上の重傷を相手に負わせること |
由来 | 剣道で強敵を倒すための極意 |
類義語 | 「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」「死中に活を求める」「死中に生を求める」など |
英語訳 | Give an inch to get a mile.(マイルを得るためにインチを与える。) |
このページの目次
「肉を切らせて骨を断つ」の意味をスッキリ理解!
「肉を切らせて骨を断つ」の意味を詳しく
「肉を切らせて骨を断つ」は、自分も傷つくことを覚悟して、それ以上の重傷を相手に負わせるという意味です。命を捨てる覚悟で挑んでこそ、成功する場合もあるというたとえで、強敵に立ち向かう時の心構えとして使用します。
「肉を切らせて骨を断つ」の使い方
「肉を切らせて骨を断つ」は、以下の様に使用します。
- 時代劇で、相手にわざと皮膚を切らせて油断をさせた後、骨まで達する様なとどめを刺す場面を見た。まさに肉を切らせて骨を断つという言葉通りだ。
- 肉を切らせて骨を断つというように今は点を取らせて油断させ、後半に猛攻撃を開始する作戦だ。
- 肉を切らせて骨を断つというが、今日の相手は強いから肉でもなんでもくれてやれ。ただし、勝利だけは奪われるなよ。
①は、まさに「肉を切らせて骨を断つ」を実行している例です。
②は大きなリスクを伴いますが、成功すれば勝利を掴むことができるという場合です。
最後に③は、喝を入れるために使用している例です。
「肉を切らせて骨を断つ」の由来
「肉を切らせて骨を断つ」はもともと、剣道で強敵を倒すための極意として使う言葉です。自分の肉を切らせておいて、後で相手の骨を切るという意味から来ました。
真剣(本物の剣)の立ち合いの心得として、「皮を斬らせて肉を斬る、肉を斬らせて骨を断つ」というものがあります。中でも初太刀(しょだち)(※1)一本に全身全霊を込める薩摩示現流(じげんりゅう)(※2)は、「肉を切らせて骨を断つ剣」であると恐れられていました。
また、『水滸伝(すいこでん)』にも戦略の一つとして出てきます。水滸伝とは、中国の明朝で書かれた伝奇歴史小説の大作『四大奇書』の一つです。
もともとは「損して得取れ」という意味でした。しかし最近では武士道の「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という様な、「命がけの悲壮感」の意味を込めて使用する場合が多いです。
- 初太刀(※1):最初に切りつける一振り
- 薩摩示現流(※2):薩摩藩を中心に広まった古流剣術
「肉を切らせて骨を断つ」の類義語
「肉を切らせて骨を断つ」には以下のような類義語があります。
- 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ:命を捨てる覚悟で挑んでこそ、成功する場合もあるということ
- 死中に活を求める:絶望的な状態の中で、解決策を見出そうとすること
- 死中に活あり:絶望的な状態の中で、解決策を見出そうとすること
- 死中に生を求める:絶望的な状態の中で、解決策を見出そうとすること
「肉を切らせて骨を断つ」の英語訳
「肉を切らせて骨を断つ」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Give an inch to get a mile.
(マイルを得るために、インチを与える。)
より大きなものを得るために、小さいものを犠牲にするという意味ですね。
まとめ
以上、この記事では「肉を切らせて骨を断つ」について解説しました。
読み方 | 肉を切らせて骨を断つ(にくをきらせてほねをたつ) |
---|---|
意味 | 自分も傷つくことを覚悟して、それ以上の重傷を相手に負わせること |
由来 | 剣道で強敵を倒すための極意 |
類義語 | 「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」「死中に活を求める」「死中に生を求める」など |
英語訳 | Give an inch to get a mile.(マイルを得るためにインチを与える。) |
「肉を切らせて骨を断つ」には、このような意味や使い方があります。スポーツで強敵に当たってしまった為、チームのメンバーに喝を入れたい時などに使用してみましょう。