「爪の垢を煎じて飲む」の意味とは?使い方から類語や英語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ)」です。

言葉の意味や使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「爪の垢を煎じて飲む」をざっくり言うと……

読み方爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ)
意味優れた人を模範として、それにあやかろうとすること
由来優れた人の最も粗末な部分である爪の垢でも、煎じて飲むことであやかることができるのではないかということから
類義語顰に倣う、西施の顰に倣う、採長補短
英語訳take a lesson from …(…の教えを受ける。)

「爪の垢を煎じて飲む」の意味をスッキリ理解!

爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ):優れた人を模範として、それにあやかろうとすること

「爪の垢を煎じて飲む」の意味を詳しく


「爪の垢を煎じて飲む」とは、優れた人を模範として、それにあやかろうとすることを意味することわざです。

普段、生活をする中で、自分よりも能力の高い人、優れた人を数多く目の当たりにすると思います。そのような人を模範として、少しでも近づきたいといった意味合いがこのことわざには含まれています。

 

ただ、「爪の垢を煎じて飲む」は場面によって、様々な意味合いを持つ言葉です。

一つ目は、先ほど述べたように、自分に対して使い、そのような人に少しでも近づきたいという「願望」を表す意味です。

二つ目は、他者に対して使い、「叱咤激励(しったげきれい)」の意味を表します。優れた人のようになれるように他者を応援するイメージです。

 

三つ目は、劣っている他者に対して使い、「戒め」「攻撃」の意味を表します。その他者は、ある能力において劣っており、優れた人を見習うように戒めたり、あるいは文句を言うような感じで攻撃、注意したりするイメージです。

四つ目は、自分に対して使うものの、ゴマをする意味合いで使う用法です。目の前にいる他者を尊敬しているという印象を与え、良いイメージを持ってもらえるように使うのです。この意味合いで使う際には、実際の尊敬の意はこもっていません。

このように、「爪の垢を煎じて飲む」は、場面によってニュアンスが異なってくることわざです。

「爪の垢を煎じて飲む」の使い方

  1. 爪の垢を煎じて飲みたいと思い、志望校に通う先輩のお話を聞きに行く。
  2. 憧れの選手のプレーを、爪の垢を煎じて飲むように模範にして頑張れ。
  3. 高い営業成績を残している彼の爪の垢を煎じて飲んだらどうだ。
  4. 爪の垢を煎じて飲みたいくらい、先輩を尊敬してます。

➀は、自分に対して使い、自分の目標である学校に通う先輩に少しでも近づきたいといった意味合いです。

➁は、他者を叱咤激励する意味で使っています。憧れの選手を模範としろ、というアドバイスのニュアンスがあります。

➂は、営業成績が優れない人に対して、「攻撃」するような意味合いで使っています。

➃は、目の前にいる先輩にゴマをする意味合いで使っています。あくまでもゴマすりなので、尊敬の意はこもっていないと考えられます。

「爪の垢を煎じて飲む」の由来

「垢」とは皮膚などの上にある汚れのことです。そのため、爪の垢は、非常に粗末なものとされています。

しかし、そんな粗末なものでも、優れた人の物であれば、煎じて飲むことで効果があり、その人に近づくことができるのではないかという考えに基づき、このような意味になりました。

ちなみに「煎じる」とは、薬などを煮て、その成分を抽出することです。

 

実際には、優れた人の爪の垢を飲んでも効果は全くありません。あくまでも、「たとえ」として使われていることわざで、一般的に考えれば不衛生なことです。

由来は「爪の垢」そのものですが、あくまでも精神的なあやかりです。

「爪の垢を煎じて飲む」の類義語

「爪の垢を煎じて飲む」は以下のような類義語があります。

  • 顰に倣う(ひそみにならう):他人にならって物事をするのを謙遜していう言葉
  • 西施(せいし)の顰に倣う:「顰に倣う」と同義
  • 採長補短(さいちょうほたん):他人の短所を取り入れ、自分の短所を補うこと

「爪の垢を煎じて飲む」の英語訳

「爪の垢を煎じて飲む」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • take a lesson from …
    (…の教えを受ける。)
  • follow in the footsteps of …
    (…の足跡をたどる。)
  • take a leaf out of one’s book
    (…を見習う。)

take a leaf out of one’s book.では、 “leaf” は葉ではなく、(書物の)一枚という意味で使われています。英語では、「爪の垢」の代わりに「書物の一枚」にたとえられているのです。

まとめ

以上、この記事では「爪の垢を煎じて飲む」について解説しました。

読み方爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ)
意味優れた人を模範として、それにあやかろうとすること
由来優れた人の最も粗末な部分である爪の垢でも、煎じて飲むことであやかることができるのではないかということから
類義語顰に倣う、西施の顰に倣う、採長補短
英語訳take a lesson from …(…の教えを受ける。)

「爪の垢を煎じて飲む」の意味や使い方を理解することはできたでしょうか。

世の中には自分より優れた人間は数多くいるものです。その人に少しでも近づきたいと思ったり、優れた人を引き合いに出して他者を叱咤激励したりする際に使うことができます。

しかし、何事も結局は努力が何よりも大切なはずです。努力が大切だということは、爪の垢を煎じて飲みたいと思ったとしても、しっかりと心得ておきたいですね。