みなさんは、「太平洋戦争」と「第二次世界大戦」の違いを説明できますか?
学校の歴史の授業で習ったきりで、細かくは知らないという人も多いと思います。実際、他にも似ている様々な呼称があるため、分かりにくくなっています。
しかし、この2つの名称には、指している範囲に明確な違いがあるのです。
この記事では、「太平洋戦争」と「第二次世界大戦」の違いについて解説します。
結論:「太平洋戦争」は、「第二次世界大戦」の一部
「第二次世界大戦」とは、1939年のドイツのポーランド侵攻で始まった世界規模の戦争のことです。
「太平洋戦争」をもっと詳しく
「太平洋戦争」とは、1941年から1945年にかけて日本がアメリカ・イギリスを中心とする連合国と戦った戦争のことです。
「太平洋戦争」直前の日本は、中国との戦争、そしてアメリカの経済制裁下にありました。1941年11月26日に、中国からの日本軍撤兵などを含んだ「ハルノート」という文書をアメリカから提示されます。これを受け入れられないとした日本政府は対英米開戦を決定し、翌12月にハワイの真珠湾、マレー半島に攻撃をしました。
資源の乏しい日本は、戦争の早期決着を目指しました。東南アジアでは、イギリス支配下にあったシンガポールを、太平洋については多くの島を占領するまでに至ります。
しかし、ミッドウェー海戦を境に、工業力や資源量で劣る日本は敗戦を続けました。ついには沖縄を占領され、本土の空襲と原子爆弾の投下により、1945年8月15日に降伏を宣言しました。その後の9月2日に降伏文書にサインし、正式に太平洋戦争は日本の無条件降伏で終わりを迎えたのです。
現在では、この日本と連合国の戦争を「太平洋戦争」と呼ぶのが一般的です。しかし、戦前の日本国内ではこの戦争を「大東亜(だいとうあ)戦争」と呼んでいました。
この名称は、日本がアジアに欧米から独立した秩序を打ち立てるというスローガンである「大東亜共栄圏構想」から来ています。戦後、日本を占領・統治したGHQはこの「大東亜戦争」という呼び名を禁止し、代わりに「太平洋戦争」と呼ぶこととしため、現在もこの名称が用いられています。
ですが、「太平洋戦争」と言ってしまうと、真珠湾攻撃以前の中国との戦争への言及がなくなってしまうという指摘も起きました。そのため、近年は日中が軍事的に対立し始めた1931年の満州事変からの一連の戦争を「十五年戦争」と呼ぶこともあります。
「第二次世界大戦」をもっと詳しく
「第二次世界大戦」とは、1939年から1945年に日本・ドイツ・イタリアなどから構成された「枢軸国(すうじくこく)」とイギリスやアメリカを中心とする「連合国」が、世界の多くの国を巻き込んで戦った戦争のことです。
「第二次世界大戦」は、ドイツとの戦争であったヨーロッパ戦線と、対日本の戦争であったアジア・太平洋戦線に分けられます。「第二次世界大戦」の中の、このアジア・太平洋戦線が「太平洋戦争」の指す戦争です。
ヨーロッパにおいては、ドイツがポーランドに侵攻した1939年が「第二次世界大戦」の始まりでした。そのドイツに対して、まずイギリスが、その後にソ連、アメリカが続いて連合国として参戦しました。
一時期ヨーロッパ大陸の大部分を手に入れたドイツでしたが、最後は本国まで攻められ1945年5月8日に正式に降伏しました。
枢軸国の中で最後まで戦争を続けていたのは日本であったので、日本の降伏が「第二次世界大戦」の終わりとなりました。
まとめ
以上、この記事では、「太平洋戦争」と「第二次世界大戦」の違いについて解説しました。
- 太平洋戦争:1941年に始まった日本と連合国の戦争
- 第二次世界大戦:1939年に始まった枢軸国と連合国による世界規模の戦争
「太平洋戦争」というのは、「第二次世界大戦」の中でもアジア太平洋での連合国と日本の戦争のことであったのですね。
あまり身近な話題ではないかもしれませんが、歴史についてこのような基礎的な理解ができていると、いざという時に役立つことがあるでしょう。