今回ご紹介する言葉は、故事成語の「唇亡びて歯寒し(くちびるほろびてはさむし)」です。
「唇亡びて歯寒し」の意味、例文、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「唇亡びて歯寒し」をざっくり言うと……
読み方 | 唇亡びて歯寒し(くちびるほろびてはさむし) |
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意味 | 助け合っている者のの片方が滅びてしまうと、他方まで危うくなるというたとえ |
由来 | 宮之奇の「諺に所謂、 輔車相依り、唇亡びて歯寒しとは、其れ虞・虢のことを謂ふなり」という言葉から |
類義語 | 唇歯輔車、唇歯之国、輔車相衣 |
英語訳 | Allies ruin themselves by deserting each other (同盟国は縁を断つことでお互いに滅亡する) |
このページの目次
「唇亡びて歯寒し」の意味をスッキリ理解!
「唇亡びて歯寒し」の意味を詳しく
「唇亡びて歯寒し」とは、助け合っている者の片方が滅びてしまうと、他方まで危うくなるというたとえです。
唇がなくなると歯が外気にさらされて寒くなることから、この意味が生まれました。
そして、「互いに離れられず、助け合うような関係にあること」という意味もあります。
「唇亡びて歯寒し」の例文
- 唇亡びて歯寒しという言葉があるが、彼と私はまさにそんな関係だ。
- その国と私たちの国は唇亡びて歯寒しの関係にある。
- 唇亡びて歯寒しというように、そのふたりはお互いの欠点を補いあっている。
「唇亡びて歯寒し」の由来
「唇亡びて歯寒し」の出典は『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』の「僖公五年(きこうごねん)」という章です。
この章の中に「諺(ことわざ)に所謂(いわゆる)、 輔車(ほしゃ)相(あい)依(よ)り、唇亡びて歯寒しとは、其(そ)れ虞(ぐ)・虢(かく)のことを謂(い)ふなり」という言葉が出てきます。
この言葉は「ことわざにあるように、輔と車は互いに助け合い、唇がなくなれば歯は寒くなる」という意味を表しています。
詳しく見ていきましょう。
ある時、虞(ぐ)の国は晋(しん)に領土通過の許可を求められました。
晋の目的は虢の国を亡ぼすことでした。
そして、許可を与えようと考えている虞の王様に対して、宮之奇(きゅうしき)という人物は「諺に所謂、 輔車相依り、唇亡びて歯寒しとは、其れ虞・虢のことを謂ふなり」という言葉を使って、許可すべきではないと主張しました。
しかし、王様は彼の主張を聞き入れることはなく、結局通行許可を与えていしまいました。
その結果、晋は虢を滅ぼした帰り道に虞も滅ぼしてしまいました。
「唇亡びて歯寒し」の類義語
「唇亡びて歯寒し」には以下のような類義語があります。
- 唇歯輔車(しんしほしゃ)
- 唇歯之国(しんしのくに)
- 輔車相衣(ほしゃそうい)
「唇亡びて歯寒し」の英語訳
「唇亡びて歯寒し」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Allies ruin themselves by deserting each other.
(同盟国は縁を断つことでお互いに滅亡する)
まとめ
以上、この記事では「唇亡びて歯寒し」について解説しました。
読み方 | 唇亡びて歯寒し(くちびるほろびてはさむし) |
---|---|
意味 | 助け合っている者のの片方が滅びてしまうと、他方まで危うくなるというたとえ |
由来 | 宮之奇の「諺に所謂、 輔車相依り、唇亡びて歯寒しとは、其れ虞・虢のことを謂ふなり」という言葉から |
類義語 | 唇歯輔車、唇歯之国、輔車相衣 |
英語訳 | Allies ruin themselves by deserting each other (同盟国は縁を断つことでお互いに滅亡する) |
「唇亡びて歯寒し」という状況は意外とよくあるものです。
ピッタリな状況があったら、ぜひ「唇亡びて歯寒し」という故事成語を使っていきたいものです。