今回ご紹介する言葉は、故事成語の「病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)」です。
「病膏肓に入る」の意味、例文、由来、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「病膏肓に入る」をざっくり言うと……
読み方 | 病膏肓に入る(やまいこうこうにいる) |
---|---|
意味 | 病気がひどくなり、治療のしようがないこと |
由来 | 『春秋左氏伝』の故事から |
英語訳 | The disease becomes incurable |
「病膏肓に入る」の意味をスッキリ理解!
「病膏肓に入る」の意味を詳しく
「病膏肓に入る」とは、病気がひどくなり、治療のしようがないことです。
これが転じて、「趣味などに熱中しすぎてどうにも手がつけられなくなることのたとえ」として用いられることもあります。
そして、この場合も、ネガティブな意味で使われていることが多いでしょう。
ちなみに、「膏」とは、心臓の下の部分です。
また、「肓」とは、横隔膜の上の部分を表しています。
そして、これらの部分は薬も針も届かないので治療が困難な場所です。
このことから、病気が重くなって治療のしようがないことを表すようになったのです。
ちなみに、「膏肓」を「こうもう」と読むのは間違いなので注意が必要です。
また、「入る」は「いる」と読み、「はいる」とは読みません。
そして、「肓膏」と表記するのも間違いなので注意が必要です。
「病膏肓に入る」の例文
- 彼の祖父は末期がんであり、病膏肓に入る、の状態だ。
- 彼は趣味のカメラに全財産を投入している。病膏肓に入る、の状態だ。
- 彼は切手に関しては病膏肓に入ったコレクターである。
➋と➌の例文では「趣味などに熱中しすぎてどうにも手がつけられなくなることのたとえ」として用いられていますよね。
そして、➌の例文のように、「病膏肓に入る」は「入る」を活用させることもあります。
「病膏肓に入る」の由来
「病膏肓に入る」の出典は『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』の「成公(せいこう)十年」という章です。
詳しく見ていきましょう。
ある時、晋(しん)の国の景公(けいこう)が病気になったため、秦から名医を呼びました。
そして、景公は医者がつく前に夢を見ました。
その夢の中では、病気の精が2人の子どもとなって登場しました。
そして、子どもは「彼は良い医者だから痛めつけられるだろう。どこへ逃げ込むのがいいだろう」と言います。
すると、もうひとりの子どもは「肓の上、膏の下にいたら何もできないだろう」と言いました。
そして、2人の子どもは肓の上と膏の下に逃げ込んでしまいました。
さて、医者が到着して景公を診察すると、医者は「膏と肓の間に病気があり、薬も針も届かないため、治療のしようがありません」と言いました。
それを聞いた景公は医者を厚くもてなします。
そして、景公はまもなく亡くなってしまいました。
「病膏肓に入る」の英語訳
「病膏肓に入る」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- The disease becomes incurable.
(病気が不治になる)
まとめ
以上、この記事では「病膏肓に入る」について解説しました。
読み方 | 病膏肓に入る(やまいこうこうにいる) |
---|---|
意味 | 病気がひどくなり、治療のしようがないこと |
由来 | 『春秋左氏伝』の故事から |
英語訳 | The disease becomes incurable |
「病膏肓に入る」は病気の時でなくても使えたんですね。
熱中しすぎてどうにも手が付けられない趣味は、周りの人にとっては時に困りものですが、本人はとても楽しいのだと思います。
寝食を忘れて没頭できるような趣味を見つけたみたいものです。