今回ご紹介するのは、ことわざ「男は度胸、女は愛嬌(おとこはどきょう、おんなはあいきょう)」です。
言葉の意味や例文、由来、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「男は度胸 女は愛嬌」をざっくり言うと……
読み方 | 男は度胸、女は愛嬌(おとこはどきょう、おんなはあいきょう) |
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意味 | 男性は強く、女性は愛らしくあるべき |
由来 | 世界格言辞典にて出典 |
英語訳 | Men should be manly, and women should be feminine.(男は男らしく、女は女らしくあるべき) |
このページの目次
「男は度胸、女は愛嬌」の意味をスッキリ理解!
「男は度胸、女は愛嬌」の意味を詳しく
「男は度胸、女は愛嬌」とは、男に大切なのは物怖じしない強い姿勢で、女に大切なのは好感を持たれるような愛らしさであるという意味です。
このことわざには、日本社会に根付く男女それぞれの役割や美徳が如実(にょじつ)に現れています。
男女がそれぞれ備えるべき理想的な性質、度『胸(きょう)』と愛『嬌(きょう)』の韻を合わせて作られています。
『度胸』とは、物怖じしない強い姿勢や精神力のことを言います。
一方、『愛嬌』とは、女性らしい仕草や表情、人が好感を覚えるような振る舞いや様子を指します。
愛嬌と類似した言葉に『愛想』があります。
しかし、愛想が人に好感を与えるため故意になされる態度や言動であるのに対し、『愛嬌』はその人が生来身につけている性質を表している点で異なります。
なので、「女は愛嬌」と「女は愛想」では、全く意味が変わってきます。
「男は度胸、女は愛嬌」の例文
「男は度胸、女は愛嬌」は以下のように使われます。
- 昔はよく男は度胸、女は愛嬌と言ったが、最近は草食系男子や肉食系女子という言葉が生まれ、性別に対する社会の考え方の変化を読み取ることができる。
- あの2人は、男は度胸、女は愛嬌ということわざを具現化したようなカップルだ。
- 現代では、女性もどんどん社会進出し、男性が家事や子育てをすることも増えた。
男は度胸、女は愛嬌の時代は終わり、女性も社会で闘う度胸を、男性も周囲を支える愛嬌を必要とされつつある。
①では、昔と現在のジェンダー観の違い(男は泣いてはいけない、女は従順であるべきなど)について触れ、昔のジェンダー観をことわざに集約して表現しています。
②では、典型的な男女のカップルを表すのに、ことわざが使われています。
③では、従来の男女の性的役割(男は仕事、女は家事と育児)がことわざに込められています。
「男は度胸、女は愛嬌」の由来
「男は度胸、女は愛嬌」は、昭和29年の世界格言辞典に載っています。
江戸時代以降、産業が発展するにつれ、男女の性別分業が次第に強化されるようになりました。
市民は労働の対価によって生計を立てるようになり、その労働の担い手は男性でした。
そうなると、女性は自然と家の仕事、いわゆる掃除洗濯や子育て、炊事の役割を担うようになりました。
また、女性は家計や子どもの教育に関して決定権を持たず、非常に弱い立場にありました。
このような背景を探ると、「男は度胸、女は愛嬌」のことわざの裏に、『男性は働いて家族を養えるだけの強さを持ち、女性は夫に対し素直に従うべきである』という、当時の日本社会の考えが浮かんできます。
「男は度胸、女は愛嬌」の英語訳
「男は度胸、女は愛嬌」を英語に訳すと、以下のようになります。
- Men should be brave, women should be winsome.
(男は勇敢に、女は愛らしくあるべきである。) - Men should be manly, and women should be feminine.
(男は男らしく、女は女らしくあるべきである。)
また、 “Angle in the house” 、日本語で『家庭の天使』という言葉があります。
この言葉は女性の理想像を表したもので、ヴィクトリア朝時代のイギリスで生まれ、そこから世界に広まりました。
言葉の誕生の背景には、日本同様、産業の発展による就労体制の変化が関係しています。
ただ、日本の産業革命が1880年代に始まったのに対し、イギリスでは1760年代に、すでに産業革命は始まっていました。
そのため、社会的な男女の役割に関する言葉はイギリスのほうが先に生まれました。
まとめ
以上、今回はことわざ「男は度胸、女は愛嬌」について解説しました。
読み方 | 男は度胸、女は愛嬌(おとこはどきょう、おんなはあいきょう) |
---|---|
意味 | 男性は強く、女性は愛らしくあるべき |
由来 | 世界格言辞典にて出典 |
英語訳 | Men should be manly, and women should be feminine.(男は男らしく、女は女らしくあるべき) |
今日では、男性が主夫(しゅふ)をしたり、女性が社会に出ることは珍しくはありません。
『男は度胸、女は愛嬌なんてイマドキ古臭い』と感じる人もいるでしょう。
そもそも、『男らしい』『女らしい』『こうあるべき』という概念そのものが、時代によって変化する曖昧なものなのです。
しかし、長年植え付けられてきた価値観を変えることは、簡単ではありません。
いまだに私たち日本人の中には、『女性は料理ができるべき』『男性はより多くお金を稼ぐべき』という考えが後を引いています。
だからこそ、社会全体の変化を待つよりも、まずは自分の意識から変え、自分らしくある努力をしたいですね。