多くの人が日常的に、文字を書いたり、読んだりしていると思います。その時に、文字を間違えて書いてしまったり、間違えて書かれた文字を発見することもあるのではないでしょうか。
それらを「誤記」「誤植」「誤字」のどの単語を用いて表現するのが正しいのか、その使い分けの仕方をご存知でしょうか。同じ「誤」という漢字を用いているので、その言葉の意味の違いを知らない人も多くいると思います。
この記事では「誤記」「誤植」「誤字」の意味の違いについて解説します。
結論:どのように間違えて書かれたものか
「誤植」とは主に印刷物における文字や記号の誤りを指します。
「誤字」とは主に誤って書かれた文字や正しくない文字を指します。
「誤記」とはどんな間違い?
誤記とは、文字を入れ替えてしまったり、脱落させてしまったりすることで起きる書き誤りです。同じ意味で、「誤表記」と呼ぶこともあります。
誤って書かれた文字や書き落とした文字を「誤字脱字」と表現することができますが、これらも、誤記と呼ぶことができます。また、パソコンやスマホを用いて文章を書くときに起きる「タイプミス」も誤記と同じ意味を持ちます。
書き誤りが発生する原因は様々なので、ここでそれらを例を用いて紹介します。
見た目が酷似している文字
みなさんは「へ」と「へ」の区別がつきますか。実ははじめに書かれたものは平仮名で、次に書かれたものはカタカナです。その他にも、「ー」と「−」など見た目が酷似してる文字や記号は間違えやすい傾向にあります。
表記が複数ある言葉
同じ人間を「人」と「ヒト」と二つの単語で使い分けていることをご存知ですか。これらの違いは明確で、人間を生物として捉えている場合、「ヒト」を用いて表現します。そのため、生物学に関する著書や、論文では「ヒト」と書かれていることが多いです。
「誤植」とはどんな間違い?
誤植とは、印刷された物における文字や記号の誤りのことです。同じ意味で、「ミスプリント」と表現されることがあります。
誤植の「植」という漢字は、植物を植えるという意味のほかに、活字を版に組み込むという意味があります。版というのは、活版印刷時代に使われていた大きなハンコのようなものです。昔はその版にインクを付けて紙に押し付けることで、印刷をしていました。
この版を作るときに、間違えた文字を組み込んでしまうことから誤植という言葉が生まれました。今では、版を使うことはないので、組み間違えは起きないのですが、校正で修正されるべき箇所がそのまま印刷されてしまうことを誤植と呼びます。
誤植が起きてしまった場合、多くの出版社などの企業は間違えた情報を発信してしまったことについてお詫びや訂正を入れます。既に印刷されてしまった物に対してどのように訂正が行われるのか、いくつか紹介します。
訂正シール
印刷物が配布される前に誤植に気づくことができた場合、訂正シールを用います。訂正シールは印刷会社に依頼して作ってもらうこともできますし、自分で作ることも可能です。
正誤表
もし、誤植が複数あった場合、正誤表という物を作って、印刷物に挟みます。とても一般的な方法で、誤植があったページ数と誤植の正しい表記が載っています。この方法も、印刷物が配布される前に誤植に気づいた場合のみ、使われます。
お詫びと訂正の掲載
もし、印刷物が配布されてしまった後に重大な誤植が見つかった場合、次号の巻頭において訂正内容が掲載されます。特に、雑誌など定期発行されている物に対してこの方法が用いられます。
小説など、定期発行されていない印刷物で誤植が見つかった場合、増版時に訂正されることが多いです。
「誤字」とはどんな間違い?
誤字とは、誤って書かれた、正しくない文字です。主に、漢字を間違えてしまった場合、誤字と表現されます。
最近ではパソコンやスマホを用いて文章が書かれることが多いので、漢字の誤変換を見かけることも多いと思います。これらも、誤字と呼ぶことができます。
日本語は同音異義語が多く、その結果、誤変換も起きやすいのでよく間違えられる漢字をいくつか紹介します。
「超える」と「越える」
「超える」は一定の数量が上回ったとき、「越える」は時間や場所を過ぎたときに使われます。似たような意味で、読み方が同じなので、使い分けに気を付けてくださいね。
「作成」と「作製」
「作成」は書類や企画書などの言葉を用いる物を作るとき、「作製」は絵や彫刻などの芸術作品を作るときに使われます。よく耳にする言葉だと思うので、文字にするときは、何を作るのかに着目して使い分けをしましょう。
まとめ
この記事では、「誤記」「誤植」「誤字」の違いについて解説しました。
- 誤記:単語や文字を入れ替えたり脱落させたりことで発生する書き誤り
- 誤植:印刷物の文字の誤り
- 誤字:正しくない文字や誤った形の字
「誤記」「誤植」「誤字」の違いを理解することができたでしょうか。誰しも、今までの人生の中で、書き誤りをした経験があると思います。日頃から、書いた文章を何度か読み直すことで、見落としがちな誤字脱字を見つけることができるので、実践してみてください。