みなさんは「国債」と「地方債」の違いについてご存知でしょうか。
この2つの違いを理解することは、ニュースを読み解く上で大きな助けとなるでしょう。
この記事ではそんな、「国債」と「地方債」の違いについて解説します。
結論:「国がする借金」か「地方自治体がする借金」かの違い
「国債」についてもっと詳しく
「国債」とは国がする借金のことです。
国は、その運営の財源の大部分を税収によってまかなっています。
しかし、公共事業(国や地方公共団体といった公的な機関が行う事業)を行う場合に、税収だけでは財源が足りなくなることがあります。
その不足分を補うために国家が発効する債券(※)のことを「国庫債券」、省略して「国債」といいます。
この「国債」は銀行や証券会社や保険会社などが国から購入します。個人の投資家も銀行や証券会社を通じて「国債」を購入することができます。
「国債」を購入することで、個人や会社が国家へお金を貸しているということです。「国債」を購入した個人や会社は、利息によって利益を得ることができます。
- 債券(※):お金を借りる際に国や地方公共団体や会社が発行するもの。「何年後に返すのか」を決定してから発行される。この決定に従いお金を返済しなければならず、また、お金を借りている間は定期的にそのお金の使用料として「利息」というものを支払う必要がある。
「国債」の種類
「満期」(お金を返済しなくてはいけない期日)の違い
- 超長期国債:満期が15年、20年、30年、40年に設定されている国債。あまり一般的ではない。
- 長期国債:満期10年に設定されている国債。最も一般的。
- 中期国債:満期が2年、3年、4年、5年、6年と設定されている国債。
- 短期国債:満期が1年に以下に設定されている国債。
「利息」の扱いの違い
- 利付(りつき)国債:半年に1回あらかじめ決められた利息が支払われす国債。最も一般的。
- 変動利付国債:半年に1回、そのときの利息の基準に合わせて利息が支払われる国債。
- 割引国債:購入の際に発行価格が、債券に書かれているもともとの価格よりも低く設定されていており、利息の支払いもないという特徴をもつ国債。
- 物価連動国債:利息が物価に合わせて変化する特殊な国債。
投資としての「国債」
「国債」はすでに説明したように、国相手にお金を貸すことで、利益を得ることできる仕組みです。
お金を貸す相手が、一般の会社や個人事業主であれば、潰れてしまいお金が返ってこなくなる可能性が高いですが、「国債」の場合はお金を貸す相手が「国」という強大な存在であるためそうそう潰れることはなく、お金が返ってこなくなる可能性は比較的低いと言われています。
そのため、「国債」は安全な投資の方法として知られています。
しかし、「国債」は基本的には一度契約したら、満期まで解約することができず、どうしても解約する場合にはペナルティが課せられます。
つまり、国に貸しているぶんのお金が急遽必要になった場合には、不都合が生じてしまうということです。
「地方債」についてもっと詳しく
「地方公共団体がする借金」のことを「地方債」といいます。
仕組みとしては「国債」と全く同じで、税収だけでは足りなくなった財源を確保するために行う借金のことです。
また、「国債」や「地方債」といった「公的な機関」が発効する債券のことをまとめて「公債」といいます。
「地方債」は原則として、インフラストラクチャーの整備等の地方財政法第5条各号に掲げる場合においてのみ発行できることとなっています。
インフラストラクチャーとは、人々が生きていく上で必要不可欠な施設のことで、具体的には水道やガス、道路、学校、病院といったもののことを指します。
「国債」に比べ、「地方債」のほうが投資としてのリスクは高いと言えます。
なぜなら、地方公共団体は国よりも規模が小さく、経済状況が悪化してお金が払えなくなる可能性があるからです。
「地方債」の種類は「国債」とほとんど同一ですので、上に記した「『国債』の種類」の項をご参照ください。
まとめ
以上、この記事では、「国債」と「地方債」の違いについて解説しました。
- 国債:国がする借金。投資のリスクが低いことで知られている。
- 地方債:地方公共団体がする借金。「国債」に比べれば、投資のリスクは高い。
「国がする借金」を「国債」、「地方公共団体がする借金」を「地方債」、「国や地方公共団体といった公的な機関がする借金」を総称して「公債」と呼ぶということでした。
ちなみに、一般企業が発行する債券のことを「社債」といいます。
しっかりとその違いを理解し、日々のニュースを読み解きましょう。