今回ご紹介する言葉は、故事成語の「折檻」です。
この言葉は有名なので、よく使われていますよね。
そして、間違った使われ方をされていることが多い言葉でもあります。
もし間違った使い方をしてしまうと、常識がない人だと思われてしまうかもしれません。
そこで、「折檻」の意味、由来、例文、類義語、英訳についてわかりやすく解説します。
「折檻」の意味をスッキリ理解!
「折檻」の意味を詳しく
「折檻」とは、厳しく叱ったり、こらしめるために体罰を加えたりすることです。
また、「強くいさめること」という意味もあります。
そして、もともとは目下が目上をいさめることを指していました。
また、本来は正当な理由での忠告でした。
しかし、現在では体罰や虐待などのニュアンスが強いでしょう。
「折檻」の由来
「折檻」の出典は『漢書(かんじょ)』の「朱雲(しゅうん)伝」という章です。
そして、朱雲が皇帝を強くいさめ、皇帝が怒り、役人が朱雲を殿上から引きずり下ろした時、檻(てすり)が折れるまでつかまっていたことから、「折檻」という故事成語ができました。
詳しく見ていきましょう。
漢の成帝(せいてい)の時代、天変地異が続いていました。
そして、天変地異の原因は、当時大きい権力を持っていた外戚(がいせき)の王氏のわがままで横暴なふるまいだ、とささやかれていました。
成帝はこのことを師匠である張禹(ちょうう)に相談しました。
すると、王氏と対立するのを恐れた張禹は天変地異と王氏との関係を否定し、皇帝がきちんと政治を行えば大丈夫だとアドバイスしました。
そのため、成帝は王氏と天変地異は無関係だと考えるようになりました。
このことから、元地方官の朱雲は成帝に、張禹を斬るよう進言しました。
当然、成帝は怒り狂い、「自分より立場が上の人を悪く言うのは、死罪に値する」と言いました。
しかし、朱雲は屈しませんでした。
彼は連れ出そうとする役人たちを払いのけ、宮殿の檻(てすり)によじ登り、それを折ってしまったのです。
その後、朱雲は連れていかれてしまいましたが、左将軍の辛慶忌(しんけいき)は罰を恐れずに国のため王に意見する朱雲の姿勢に感動しました。
そして、「朱雲は国のことを思っているからこそあのような無礼をしたのです」と、自身が免職になること覚悟で、朱雲を死刑にしないように嘆願しました。
その結果、成帝も怒りが解けて朱雲を許しました。
そして、朱雲が折った檻は直さずにそのままにしました。
『漢書』とは、後漢の時代に書かれた前漢についての歴史書です。
この本は歴史の記録に重点が置かれているので、物語としての面白さは『史記』に及びません。
しかし、歴史書としての正確さはとても高いです。
「折檻」の例文
- 彼は宿題でずるをしたので、親から折檻を受けたようだ。
- 折檻を受けることを恐れ、彼は逃げ出してしまった。
- これは、親から折檻を受けてもしょうがないだろう。
「折檻」の類義語
「折檻」には以下のような類義語があります。
- こらしめ
「折檻」の英語訳
「折檻」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- punish
(こらしめる)
まとめ
以上、この記事では「折檻」について解説しました。
読み方 | 折檻(せっかん) |
---|---|
意味 | 厳しく叱ったり、こらしめるために体罰を加えたりすること |
由来 | 朱雲が王をいさめるために檻を折ったことから |
類義語 | こらしめ |
英語訳 | punish |
「折檻」を正しく使っていきたいですよね。