今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「温故知新(おんこちしん)」です。
AI(人工知能)の発明などの科学技術の発展には、過去の功績の積み重ねが不可欠です。人類はいつの時代でも、過去から学び、未来へ活かす努力をする必要があります。
しかしながら、時には、過去から学ぶということがおろそかにされることもあります。
そこで、温故知新の意味や使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「温故知新」をざっくり言うと……
読み方 | 温故知新(おんこちしん) |
---|---|
意味 | 古いものを研究して新しいことを知ること |
由来 | 先生になる資格についての孔子の言葉から派生 |
類義語 | 覧古考新、彰往察来、承前啓後など |
英語訳 | developing new ideas based on learning from the past (過去から学び、新しい考えを育むこと) |
このページの目次
「温故知新」の意味をスッキリ理解!
「温故知新」の意味を詳しく
温故知新の「温」は「大切にする」「研究する」「復習する」「たずねる」という意味があります。
そして「故」は「古いもの」という意味があります。
「知」「新」はそのままの意味で、「新しいことを知る」という意味になります。
つまり、温故知新は「昔のことを学び、大切にすることで、その中から新しい発見があり、新しいことを知ることができる」という意味です。
温故知新は、仮名をあてると、「故きを温ねて新しきを知る(ふるきをたずねてあたらしきをしる)」もしくは、「故きを温めて新しきを知る(ふるきをあたためてあたらしきをしる)」と読みます。
「温故知新」の使い方
- 歴史と伝統を重んじる、温故知新の精神で臨みます。
- 日本の経済は、温故知新の考えをもとに発展したのだろう。
- 温故知新というから、本などを読んで研究してみれば、現代の問題を解決するヒントが見つかるかもしれない。
②の例文は、日本の発展が、過去の産物を大切にしたゆえの結果だということを指しています。
③の例文は、現代の問題は過去について調べることでその解決の糸口を見つけることができるということを指しています。
「温故知新」の由来
2500年以上前(春秋時代)の中国に、孔子という思想家がいました。彼の弟子たちが、彼と彼の弟子の言葉や行いを記録した書物を「論語」と言います。
孔子は、儒教の創始者でもあります。
論語は、儒教の基本となる本である四書(「大学」「論語」「孟子」「中庸」)の1つで、512の短文が全部で20編構成されています。
温故知新は、その中の「為政(いせい)」という章の一節に由来しています。そこでは、孔子が、先生になるのにふさわしい人の資格について述べています。
「温故而知新、可以為師矣(ふるきをたずねてあたらしきをしれば、もってしとたるべし)」
自分が以前に習ったことや昔のことをしっかりと習熟して、新しいことを知ることができるならば、師(先生)となることができる、という意味です。
「温故知新」の類義語
温故知新には以下のような類義語があります。
- 覧古考新(らんここうしん):古い事柄を振り返ってみて、新しい問題について考えること
- 彰往察来(しょうおうさつらい):昔の出来事を明らかにして、先のことを予測すること
- 承前啓後(しょうぜんけいご):昔からのものを受け継いで、未来を切り開くこと
- 継往開来(けいおうかいらい):過去のものを継続・発展させながら未来を切り開くこと
- 因往推来(いんおうすいらい):過去の出来事から、将来起きそうな出来事を予測すること
- 観往知来(かんおうちらい):過去のことを充分観察して将来のことを推察すること
これらには、過去の出来事を未来に活かそうという意思が共通しています。
一方で、未来に向かって考えるのか、推測・予測するのか、実際に行動に起こすのかでわずかな違いがあります。
「温故知新」の英語訳
温故知新を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Developing new ideas based on learning from the past
(過去から学ぶことで新しい考えを育むこと) - He that would know what shall be, must consider what has been
(現在を知る者は過去を知る者である) - An attempt to discover new things by studying the past through scrutiny of the old
(昔の物事を研究し吟味して、そこから新しい知識や見解を得ること)
過去から学び、未来へ活かそうとする精神は世界共通と言えます。
「温故知新」の中国語訳
「温故知新」を中国語に訳すと、次のような表現になります。
(昔のことを学んで新しい発見を得ること)
まとめ
以上、この記事では「温故知新」について解説しました。
読み方 | 温故知新(おんこちしん) |
---|---|
意味 | 古いものを研究して新しいことを知ること |
由来 | 先生になる資格についての孔子の言葉から派生 |
類義語 | 覧古考新、彰往察来、承前啓後など |
英語訳 | developing new ideas based on learning from the past (過去から学び、新しい考えを育むこと) |
未来を見つめるだけではなく、温故知新の精神で過去の偉大な人々の功績を見なおすことで、現代を豊かに生きることができますね。