冬のスポーツといえばスキーやスノーボードがメジャーですが、近年の冬季オリンピックでは「ボブスレー」「スケルトン」「リュージュ」も注目を集め、その知名度も上がりつつあります。
しかし、まだ「ボブスレー」「スケルトン」「リュージュ」の3つの競技がどのように違うのか知っている方は少ないのではないでしょうか。
どの競技も氷で作られたコースを目にも留まらぬ速さで滑走していくもので、少し危険なイメージを持っている方も多いかもしれません。
この記事では「ボブスレー」「スケルトン」「リュージュ」の違いについて説明します。
結論:ソリの形、乗る姿勢、乗る人数が違う
「スケルトン」は、鉄製のシンプルで小さいソリにうつ伏せで一人で乗り込みます。
「リュージュ」は、小さいソリの上に一人もしくは二人で、仰向けで足を進行方向に向けて乗り込みます。
「ボブスレー」をもっと詳しく
「ボブスレー」は前方にハンドルが、後方にブレーキが装備されたソリの名前がそのまま競技の名前になったスポーツです。
二人乗りと四人乗りの種目があり、前方でハンドルを操縦するパイロットと後方でブレーキの操作をするブレーカーが息を合わせることがとても大切な団体競技です。
スタートの際には搭乗員全員でソリを一気に押し出し、素早くソリに乗り込み加速します。その後は自分たちの重さを利用し、どんどん加速していき、最高速度は時速130kmにも到達します。
体重移動がスピードを加速させていく上で重要な役割を担いますが、二人乗りは選手の体重を含めたソリの総重量が390kgまで、四人乗りは選手の体重を含めたソリの総重量が630kgまでという制約があります。
ソリの開発にはフェラーリやBMWなどの車のメーカーが参入しており、「氷上のF1」と呼ばれることもあります。
「ボブスレー」は1924年の第一回冬季オリンピック(シャモニー・モンブランオリンピック)から正式種目として行われているとても古い歴史を持つ競技です。
「スケルトン」をもっと詳しく
「スケルトン」は鉄製の小さなソリに一人でうつ伏せに乗り込み氷のコースを滑走していく競技で、ボブスレーとは違い完全に個人競技です。
「スケルトン」という言葉が骨組みや骸骨を意味するように、「スケルトン」で使われるソリはほぼ骨格だけの小さくシンプルな作りです。
ソリの重量は、男子が43kgまで、女子が35kgまでの制約があります。また、選手を含めて115kgを超える場合のソリの重量は、男子が33kg、女子が29kgまでという制限に変わります。
助走をつけてソリに乗り込み、重心移動でソリをコントロールしていきます。最高時速が130km前後まで到達する中で、うつ伏せの状態で頭から突っ込んでいく様子はとても迫力がありスリリングです。
「スケルトン」は1928年の第二回冬季オリンピック(サンモリッツオリンピック)から正式種目とされていましたが、事故が相次いだせいで一時は正式種目から除外されていました。
しかし、その後は防具の発達などから危険性が少なくなり、2002年のソルトレークオリンピックから正式種目に復活しました。
「リュージュ」をもっと詳しく
「リュージュ」は小さいソリに一人もしくは二人で仰向けに乗り込み、氷のコースを足から一気に滑走していく競技です。
仰向けで足を進行方向に向けて乗り込みますが、空気抵抗をなくすため頭を上げずに、つまりコースを一切見ずに滑っていきます。
「ボブスレー」や「スケルトン」のように重量制限はなく、ソリに一定の重りを乗せることもできます。また、「ボブスレー」や「スケルトン」は助走をつけてソリに乗り込み加速しますが、「リュージュ」はソリに乗った状態から手でかいて加速していきます。
「リュージュ」は「ボブスレー」や「スケルトン」と比べてもっともスピードがでる種目で、最高時速は150kmを超えることもあります。
また、冬季オリンピックの種目の中では唯一1000分の1秒のタイムを競うスポーツで、少しでもコースの壁をこすったりするだけで大幅にタイムが落ちてしまうとても繊細な競技です。
「リュージュ」は1964年のインスブルックオリンピックから正式種目となっています。
まとめ
以上、この記事では、「ボブスレー」「スケルトン」「リュージュ」の違いについて解説しました。
- ボブスレー:二人か四人でハンドルとブレーキのついたソリに乗り込み、滑走する競技
- スケルトン:骨格だけのシンプルなソリに一人で仰向けに乗り込み、滑走する競技
- リュージュ:ソリに一人か二人で仰向けに乗り込み、コースを一切見ずに滑走する競技
日本ではまだまだ知名度の低いこの3つの競技ですが、どれもとても迫力があり、とても面白い競技なのでぜひ注目してみてください。