「鑑みる」と「考慮する」という言葉はニュアンスが似ていて混同されてしまいがちですが、両者の意味は異なります。皆さまは、違いをご存知でしょうか。
今回は「鑑みる」と「考慮する」の違いについて解説します。
結論:違いは比較対象の有無
一方、「考慮する」とは、様々な要素を含めて物事を考えることを指します。
「鑑みる」をもっと詳しく
「鑑みる」とは、手本や先例に照らして物事を考えることを指します。比較対象を引き合いに出すという点がポイントです。英語では “in view of” と言います。
「鑑みる」は、「鑑(かがみ)」という名詞が動詞になったものです。「鑑」とは、「スポーツマンの鑑」のように、見習うべきものや手本となるものという意味の言葉です。そのため、動詞の「鑑みる」はそうした手本に照らして考えることを指すのです。
また、「鑑みる」を使う時には「~に鑑みる」が正しい表記であり、「~を鑑みる」は誤用です。これは、「鑑みる」が「~に照らして考える」ことであると覚えておくと間違いが少なくなるでしょう。
また、先例を参考にしつつも実際に考えるのは現在の問題であることから、「~に鑑みて」の形を取り、後に続く言葉で最終的な結論を示すことが多いです。
「鑑みる」の使い方の例
- 過去の失敗に鑑みて、今回は策を変えてみた。
- 他社の事例に鑑みて、この商品の価格はもう少し低くした方が良いだろう。
- 昨年のスケジュールを鑑みて、今年もこの時期には予定を入れない方が良いと判断した。
「考慮する」をもっと詳しく
「考慮する」とは、様々な要素に気を配りながら物事を考えることを指します。英語では “consider” と言います。
「考慮する」が「鑑みる」と異なる点は、比較対象が無いということです。他の事例を参考にはせず、純粋に現在抱えている問題について考えることが「考慮する」です。
また、「考慮する」は「鑑みる」と違い、「~を考慮する」という形で用います。
「考慮する」の使い方の例
- 監督の采配は、個々の選手の疲れ具合を考慮したものと言えるだろう。
- 彼の性格や技術を考慮した結果、個別に指導した方がよさそうだと考えた。
- 相手のスケジュールを考慮して面会は控えた。
まとめ
以上、この記事では、「鑑みる」と「考慮する」の違いについて解説しました。
- 鑑みる:手本や先例に照らして考えること
- 考慮する:様々な要素に気を配って物事を考えること
「鑑みる」と「考慮する」は一方を他方で置き換えて使われることもしばしばあります。ですが、比較対象があるかないかという点で両者の意味は異なるため、注意して使い分けましょう。