「承認」と「承諾」と「了承」の違いとは?ニュアンスの違いを解説

違いのギモン

日本語には似ている単語がたくさんありますよね。

そして、使いわけが必要ない場合もありますが、必要な場合もたくさんあります。

特に、ビジネスの場面で使われる言葉は使いわけることができないと、常識を疑われてしまうかもしれません。

 

例えば、「承認」と「承諾(しょうだく)」と「了承」の違いをみなさんはご存知でしょうか。

これらの言葉はビジネスの場面で出てくるので、しっかりと使いわけができるようになっておきたいですよね。

そこで、今回は「承認」と「承諾」と「了承」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:ニュアンスが違う

まず、「承認」は「そのことが正しいことであると認めること」という意味です。

次に、「承諾」は「他人の依頼や要求などをもっともと思って引き受けること」という意味になります。

そして、「了承」は「事情をくんで納得すること」という意味になります。

つまり、「承認」と「承諾」と「了承」ではニュアンスが異なるのです。

「承認」をもっと詳しく

「承認」は「そのことが正しいことであると認めること」という意味です。

何らかの権限がある立場にいる人間や組織などが、申請された物事を妥当であると判断する時に使われる表現です。

そして、公的で堅苦しい表現になります。

そのため、公的な発表やビジネスシーンなどではよく使われますが、日常会話ではあまり用いられないでしょう。

 

ちなみに、「承認」の「認」はそのまま「みとめる」という意味を表しています。

つまり、正しいことであるとして対象の事柄を認めることを表すのが「承認」なのです。

そして、個人ではなく会社などに認められたことを表すことが多いでしょう。

 

また、「承認」にはほかにも2つほど意味があります。

まず、1つめは「相手の言い分を聞き入れること」という意味です。

次に、2つめは「国家や政府などの国際法上の主体として一定の地位を認めること」という意味です。

これは、ある国家を国家であると承認するする時に用いられます。

「承認」の使われかたの例

  1. 社長はついに会社の改革案を承認した。
  2. 政府はその学校を大学として承認した。

➊では個人が承認していますが、➋では公の団体が承認していますよね。

「承諾」をもっと詳しく

「承諾」は「他人の依頼や要求などをもっともと思って引き受けること」という意味になります。

ちなみに、これは自社と他社など、社外とのやり取りで用いられることが多いでしょう。

そして、上司からの許可を得る時にも使われます。

 

また、「承諾」は法律用語としても用いられます。

そして、法律用語として用いられる時には「申し込みの意思表示と結合して契約を成立させる意思表示のこと」という意味になります。

つまり、申し込みを承諾すると、契約が成立することになるのです。

例えば、バイトに応募して(申し込み)、面接などで合格すると(承諾)、労働契約が成立してそのバイト先で働くことができますよね。

 

ちなみに、「承諾」の「諾」は「ひきうける」という意味を表しています。

承諾の使われかたの例

  1. A社は弊社とのタイアップの企画をついに承諾してくれた。
  2. 上司は私が明日、子どもの看病のために会社を休むことを承諾してくれた。

「了承」をもっと詳しく

「了承」は「事情をくんで納得すること」という意味になります。

そして、「了承」には「聞いてあげるよ」というような上から目線のニュアンスが含まれています。

そのため、目上の人が目下の人に使う表現です。

もし、目下の人が目上の人に使ってしまったら失礼にあたるでしょう。

 

ちなみに、「了承」はもともとは「諒承」と表記されていました。

そして、「諒」には「正しいこと」「もっともなこと」という意味があります。

しかし、「諒」が常用漢字にならなかったため、常用漢字の「了」が代わりに用いられるようになりました。

「了承」の使われかたの例

  1. 課長は私の育児休暇を了承してくれた。
  2. 追加工事のための追加投資をどうかご了承いただけないでしょうか。

まとめ

以上、この記事では、「承認」と「承諾」と「了承」の違いについて解説しました。

  • 承認:「そのことが正しいことであると認めること」という意味
  • 承諾:「他人の依頼や要求などをもっともと思って引き受けること」という意味
  • 了承:「事情をくんで納得すること」という意味

このように、「承認」と「承諾」と「了承」はそれぞれ使われかたが微妙に異なります。

こちんと使いわけていきたいですね。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。