近頃ニュースなどで、アルファベット3文字で表される役職を多く見かけます。
「CEO」や「COO」「CFO」など、一見どれも同じように見えてしまいますよね。ですが実は、真ん中のアルファベットに着目すると、簡単にその役割を理解することができます。
今回は、そんな「CEO」「COO」「CFO」について解説します。
結論:役割が違う
「CEO」は、最高経営責任者で、会社のトップです。
「COO」は、最高執行責任者で、日常業務など経営戦略の執行の責任者です。
「CFO」は、最高財務責任者で、会社の財務戦略の責任者です。
これらの役職を理解するため、まずアメリカの企業の経営体制について簡単に解説した後、各役職の説明をしていきます。
アメリカの経営体制
「CEO」「COO」「CFO」は、アメリカにおける会社の役職名です。
アメリカの企業の経営体制は、「取締役」と「執行役」の二層構造から成っています。
「取締役」は、英語で “Board of Directors” と呼ばれ、株主の利益を代表し、会社の経営方針を決定します。対して、「執行役」は、取締役で決定された方針を実行することが仕事です。英語では、“Management Team” といいます。
今回のテーマである「CEO」「COO」「CFO」は、「執行役」の役員という位置づけです。
このような役職は、まとめて「CxO」と呼ばれています。
真ん中の文字は “x” (エックス)で、数学で使われるように、様々な単語を入れられることを意味しています。つまり、「CxO」とは、ある分野(x)で社内最高の権限(Chief)を持つ執行役員(officer)のことを指します。
その役員が、どの分野の責任者であるのか見分けるには、この真ん中の “x” の部分に注目しましょう。
以下で解説する3種類の「CxO」の他に、「CMO」や「CTO」といった役職もあります。“M” はマーケティング、“T” はテクノロジー、つまり技術の意味です。それが分かれば、その分野の最高責任者であることが理解できます。
日本において「CxO」というポジションは、会社法などの法律では特に定められていません。しかし、海外の企業とやり取りする機会などに便利なこともあり、グローバルに活躍する日系企業であれば、ほとんどが「CEO」などの呼称を用いています。
それでは、それぞれの「CxO」が「何の分野の責任者であるのか」「日本の会社でいうとどの役職にあたるのか」について見ていきましょう。
「CEO」をもっと詳しく
“Executive” は、「経営者」を意味します。
ですので、「CEO(Chief Executive Officer)」は、日本語で「最高経営責任者」といい、経営方針や経営戦略を決定し、その責任を負う、会社のトップのことです。
日本の場合で言うと、「代表取締役」が「CEO」にあたります。近年では、「代表取締役兼CEO」という肩書きを名乗る人も増えています。
代表例としては、長くアップル社の「CEO」を務めたスティーブ・ジョブズ氏が挙げられます。また、日本のトヨタ自動車株式会社の場合は、代表取締役社長である豊田章男氏が「CEO」の肩書きを持っています。
「COO」をもっと詳しく
“Operation” には、「業務」「施工」の意味があります。
よって、「COO(Chief Operations Officer)」は、「最高執行責任者」が日本語訳で、経営戦略の執行に責任を持ち、トップである「CEO」を助ける、社内で2番目の地位を持つ役員のことです。
日本でいうと、副社長や専務といったポジションに相当します。
例えば、アップル社の現CEOのティム・クック氏は、スティーブ・ジョブズ氏が「CEO」であった時は「COO」として務めていました。
実は、この「COO」という職種は、アメリカの企業全てに存在している訳ではありません。ITによる仕事の効率化が進み、「CEO」の仕事を「COO」に分ける必要がなくなったことも一因で、アメリカ大企業の間で、「COO」を持つ企業数は減少しています。
「CFO」をもっと詳しく
“Financial” は、「財政の」「財務の」という意味です。
つまり、「CFO(Chief Financial Officer)」とは、「最高財務責任者」を意味し、その会社の予算の管理などの財務戦略に責任を持つ役職のことです。
日本でいえば、財務部長や経理部長が「CFO」と同じ役割を持ちます。
普段、ニュースなどで表に出る機会は、そこまでありません。しかし、「CEO」「COO」に次ぐポジションで、財務に限らず営業やマーケティングの知識も駆使し、経営戦略に携わる重要な役職です。
まとめ
以上、この記事では、「CEO」「COO」「CFO」について解説しました。
- CEO:企業経営の最高責任者
- COO:経営戦略執行の最高責任者
- CFO:財務戦略の最高責任者
今後、さらにグローバル化の波が押し寄せれば、日本の企業であっても、「CEO」「COO」「CFO」といった役職が、日常的に使われるようになるかもしれません。
真ん中のアルファベットの意味に注目して、その役職の役割をきちんと理解できるといいですね。