歌唱力を上げるための手段として、専門的なトレーニングを受けるというものがあります。
そこでわかりづらいのは、「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」の違いです。名前が似ているため、どちらも同じようなものに感じられますね。
しかし、両者の内容はは全く異なるのです。そこで、この記事では「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」の相違点を解説します。
結論:練習内容が異なる
- ボイストレーニング:歌や会話の正しい発声を身につける練習
- ボーカルトレーニング:歌の表現力を向上させる練習
「ボイストレーニング」を詳しく解説
「ボイストレーニング」の目的・対象者
「ボイストレーニング」は、「ボイス」という単語と、「トレーニング」という単語から成り立っています。
「ボイス」は「声」を、「トレーニング」は「練習」を意味します。したがって、「ボイストレーニング」は、「声の練習」と直訳することができます。
つまり、「ボイストレーニング」は、正しい声の出し方を習得するための練習なのです。
ですから、「ボイストレーニング」に取り組む人は、必ずしも「歌を歌う人」とは限らないのです。
たとえば、原稿を読んだりイベントの司会を務めたりする場面では、正しい発声が求められますね。ですから、アナウンサーやアナウンサー志望の人は、「ボイストレーニング」を行うことがあります。
声優や役者も、演技をするうえで声の出し方が重要であるため、「ボイストレーニング」に取り組む場合があります。このように、「ボイストレーニング」の対象となるのは、正しい発声が求められる人すべてなのです。
「ボイストレーニング」の練習内容
「ボイストレーニング」の具体的な内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 声量を上げるために、おなかから声を出す練習を行う
- のどの筋力を鍛えて、地声から裏声にスムーズに切り替えることができるようにする
- 滑舌良く話す練習をする
どの練習も、適切な発声方法を習得するためのものですね。
「ボイストレーニング」の指導者
「ボイストレーニング」を指導するのは、正しい発声方法を知っている人や、声や喉に関する知識のある人です。このような指導者をボイストレーナーといいます。
ボイストレーナーには、資格を持つ人と、資格を持たない人がいます。また、講師として音楽スクールに雇われているボイストレーナーもいれば、フリーランスとして自分の教室を運営しているボイストレーナーもいるのです。
このように、ボイストレーニングの指導には様々な形態があります。ですから、ボイストレーニングを受ける前に、「どのような先生から学びたいのか」ということを考えなくてはなりません。
なお、「ボイストレーニング」は、独学で行うこともできます。多くの動画や書籍が、自宅で行うことのできるトレーニング方法を紹介しているからです。
「ボーカルトレーニング」を詳しく解説
「ボーカルトレーニング」の目的・対象者
「ボーカルトレーニング」は、「ボーカル」という単語と「トレーニング」という単語から成り立っていますね。
「ボーカル」は「歌う人」という意味です。「トレーニング」は「練習」を指します。したがって、「ボーカルトレーニング」は、「歌う人の練習」と直訳されるのです。
つまり、「ボーカルトレーニング」は、歌の表現力やテクニックを習得することを目的としたトレーニングなのです。
すでに解説したとおり、「ボイストレーニング」の対象者には、歌い方を学ぶ人だけでなく、話し方を学ぶ人もいます。しかし、「ボーカルトレーニング」では、「歌唱の実力を上げたい」という人のみが対象となるのです。
「ボーカルトレーニング」の練習内容
「ボーカルトレーニング」の具体的な内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 歌声の抑揚のつける練習を行う
- 歌う際のリズムのとりかたを学ぶ
- アドリブを加えながら歌う方法を身に着ける
「ボーカルトレーニング」の指導者
「ボーカルトレーニング」の指導者は、ボーカルトレーナーと呼ばれます。各トレーナーはそれぞれ異なる得意分野をもつため、自身の目的に合わせてボーカルトレーナーを選ぶ必要があります。
たとえば、J-POPの楽曲の歌唱力を上達させたい場合は、声楽を専門とするボーカルトレーナーではなく、ポップミュージックを専門とするボーカルトレーナーから指導を受けましょう。
なお、「ボーカルトレーニング」も「ボイストレーニング」と同じく、動画や書籍の内容をもとに独学で行うことができます。
「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」の関係
「上手に歌えるようになりたい」と思う人は、「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」のどちらを先に行えば良いのでしょうか。
すでに解説したとおり、「ボイストレーニング」は発声方法を学ぶもので、「ボーカルトレーニング」は歌の表現力を学ぶものです。
正しい発声ができなければ、表現力のある歌声を作ることもできません。したがって、「ボイストレーニング」は歌の基礎を構築するためのものであり、「ボーカルトレーニング」は歌の発展的なスキルを得るためのものであるということができます。
つまり、「ボイストレーニング」「ボーカルトレーニング」の順で行う必要があるということです。この順序を誤ると、歌唱力を効果的に伸ばすことができませんから、注意が必要です。
まとめ
以上、この記事では、「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」の違いについて解説しました。
- ボイストレーニング:歌や会話の正しい発声を身につける練習
- ボーカルトレーニング:歌の表現力を向上させる練習
両者の特徴を知っていなければ、発声や歌唱を正しく成長させることもできません。自身の目標をよく考えたうえで、「ボイストレーニング」や「ボーカルトレーニング」に取り組みましょう。