「お気遣い」と「お心遣い」は「相手をどれほど想っているか、どう行動するか」が異なります。
似たような表現なので、意味が分からず混同してしまいませんか?
間違って使用すると失礼になる表現なので、注意しなければなりません。
そこで今回は「お気遣い」と「お心遣い」の違いをわかりやすく丁寧にご説明します。
☆「お気遣い」「お心遣い」の違いをざっくり言うと……
意味 | 行動 | |
---|---|---|
お気遣い | 相手に気を使い もてなしなどの行為をすること | マナーやマニュアルの範囲に留まる |
お心遣い | 相手に気を配り思いやって もてなしなどの行為をすること | マナーやマニュアルの範囲を超える |
「お気遣い」と「お心遣い」の違い
「お気遣い」と「お心遣い」は以下のような違いがあります。
意味 | 行動 | |
---|---|---|
お気遣い | 相手に気を使い もてなしなどの行為をすること | マナーやマニュアルの範囲に留まる |
お心遣い | 相手に気を配り思いやって もてなしなどの行為をすること | マナーやマニュアルの範囲を超える |
「お気遣い」は「相手が上手くいく、もしくは失敗しないように気を遣うこと」です。
一方で、「お心遣い」は「心から相手のことを思いやって気を配ること」です。
広辞苑には基本的には意味が同じだと書かれていますが、このように両者はニュアンスが異なります。
また、「お気遣い」に基づく行動はマナーやマニュアルの範囲内ですが、「お心遣い」に基づく行動は範囲外といった違いがあります。
「お気遣い」の意味
「お気遣い」は「相手に気を遣って、相手が上手くいく、もしくは失敗しないように何か行動を起こすこと」です。
「気遣い」に丁寧さを表す「お」を付けた表現が「お気遣い」です。
たとえば、喫煙者がホテルに泊まりに行くことを考えてみましょう。
喫煙者だということに受付の人が気づき、気を効かして喫煙ルームを案内したとします。
受付の人が気を遣って、喫煙者が残念な思いをしないように配慮した「気遣い」の一種です。
「お気遣い」の使い方
「お気遣い」は相手が自分のために気を遣って何かしてくれた時に、感謝の気持ちを表す場合に使用します。
たとえば、先ほどのホテルの例だと、喫煙者である客側がホテルの受付の人に対して「お気遣いありがとうございます」と言えます。
こうすることで、「自分に気を遣ってくれてありがとう」という感謝を表せます。
実際の例文には、以下のようなものがあります。
- わざわざ教えてくださり、お気遣いありがとうございます。
- どうぞ、お気遣いなく!
- お気遣いにとても感謝しています。
基本的に、相手の行為に対してのお礼を述べる時に使いますが、「お気遣いなく」と言えば、「過度なおもてなしは必要ないですよ」というメッセージになります。
また、親しい関係ではなくビジネスの間柄では「お心遣いありがとうございます」よりも、「お気遣いありがとうございます」をよく使います。
そして、「お気遣いありがとうございます」と言われたら、「大したことはありません」「お役に立てて光栄に存じます」と返すのがよいでしょう。
「お気使い」は間違い
「気を使う」という動詞表現はしますが、「お気使い」は間違いです。
また、動詞表現であっても、相手に対する大きな敬意を表現したい時は、贈りものという意味合いがある「遣」を使用することもあります。
「お気遣い」の類義語
「お気遣い」の類義語には以下のような表現があります。
- ご高配(こうはい)
相手の配慮を敬うこと - ご配慮
気を遣う - お計らい
物事が上手くいくよう対処すること - ご心配
関心を払うこと - ご厚情(こうじょう)
心からの深い思いやりの気持ち - お心尽くし
相手のために心を尽くす
「お気遣いありがとうございます」の類義語
「お気遣いありがとうございます」の類義語には以下のような表現があります。
- ご配慮いただきありがとうございます
相手のおもてなしに対する感謝表現 - ご厚情ありがとうございます
相手の情けや親切に対する感謝表現 - ご高配ありがとうございます
目上の人からの配慮や気遣いに対する感謝表現 - お気遣い痛み入ります
気を使っていただき恐縮です - 誠に恐れ入ります
本当にありがとうございます - 大変恐縮です
とても感謝しています
「お気遣い」の英語表現
「お気遣い」を英語で言うと、以下のような表現があります。
- considerartion
(お気遣い、思いやり) - concern
(心配する) - kindaness
(親切)
「お気遣い」は“consideration”がもっとも適切な英語訳になります。
「お気遣いありがとうございます」の英語表現
「お気遣いありがとうございます」を英語で言うと、以下のような表現があります。
- Thank you for your kindness.
(お気遣いありがとうございます) - Thank you for your consideration.
(お気遣いありがとうございます) - I really appreciate your concern.
(お気遣いありがとうございます)
単語が異なるのでニュアンスはそれぞれ異なりますが、どれも「お気遣いありがとうございます」という表現になります。
「お心遣い」の意味
「お心遣い」は「心から相手のことを思いやって気を配り、何か行動すること」です。
「心遣い」に丁寧さを表す「お」を付けた表現が「お心遣い」です。
「気遣い」が相手が相手が上手くいく、もしくは失敗しないように起こす行動なのに対して、「心遣い」は「心からの行動」です。
つまり、相手をどこまで想って行動に移すかニュアンスが異なります。
たとえば、自分のミスで飛行機を逃してしまった旅行者がいるとします。
当然ながら、航空会社はそのミスをカバーして弁償したり、違う飛行機に乗せたりする必要はありません。
しかし、臨機応変に「次の便にお乗りください」といった対応をした場合、マニュアルを超えた「心遣い」に基づく行動と言えます。
「お心遣い」の使い方
「お心遣い」は相手が自分に対して大きなおもてなしをしてくれた時、感謝を述べるために使用します。
先ほどの航空会社の例では、飛行機を逃した客が航空会社の人に対して、「お心遣いありがとうございます」と言えます。
実際の例文には、以下のようなものがあります。
- お心遣いいただき、ありがとうございます。
- 素敵なお心遣いに感謝いたします。
- お心遣い頂きまして、大変恐縮です。
そして、「お心遣いありがとうございます」と言われたら、「とんでもないことでございます」「お力になれたのであれば幸いです」と返すのがよいでしょう。
また、「お心遣いありがとうございます」は目上の人に対する表現なので、相手が同僚や目下の場合は「気遣いありがとう」などを使うようにしましょう。
同じように、ビジネスでの場面には不適切で、口語や手紙などで使うのに適しています。
ビジネスの場合は、「ご配慮ありがとうございます」などに言い換えましょう。
「お心遣い」の類義語
「お気遣い」の類義語には以下のような表現があります。
- ご配慮
気を遣う - ご配意
気配りすること - ご高配
相手の配慮を敬うこと - ご深慮
深く考えること - ご厚情
心からの深い思いやり - お取り計らい
労力に対する感謝表現 - お心尽くし
相手のために心を尽くす
「お心遣いありがとうございます」の類義語
「お心遣いありがとうございます」の類義語には以下のような表現があります。
- ご配慮いただきありがとうございます
相手のおもてなしに対する感謝表現 - ご配意ありがとうございます
相手のおもてなしに対する堅い感謝表現 - ご高配ありがとうございます
目上の人からの配慮や気遣いに対する感謝表現 - ご深慮ありがとうございます
相手が自分のことを考えたことに対する感謝表現 - ご厚情ありがとうございます
「厚いなさけ」「心からの深い思いやり」の敬語表現 - お取り計らいありがとうございます
相手の労力に対する感謝表現
「お心遣い」の英語表現
「お心遣い」を英語で言うと、以下のような表現があります。
- good thoughts.
(お心遣い) - thoughtful
(配慮すること) - kindness and cooperation.
(優しさと協力)
「お心遣いありがとうございます」の英語表現
「お心遣いありがとうございます」を英語で言うと、以下のような表現があります。
- Thank you again for your good thoughts.
(お心遣い重ねて感謝します。) - It is very thoughtful of you. Thank you.
(お心遣いに大変感謝しております。) - Thank you for your kindness and cooperation.
(温かいお心遣いとご協力に感謝いたします。)
「お気遣い」と「お心遣い」の違いのまとめ
以上、この記事では、「お気遣い」「お心遣い」の違いについて解説しました。
意味 | 行動 | |
---|---|---|
お気遣い | 相手に気を使い もてなしなどの行為をすること | マナーやマニュアルの範囲に留まる |
お心遣い | 相手に気を配り思いやって もてなしなどの行為をすること | マナーやマニュアルの範囲を超える |
「お気遣い」と「お心遣い」は似たような意味であることは間違いありません。
しかし、相手をどれほど想っているか、どう行動するかという点が異なります。
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方をマスターしましょう。