物語を読む時の楽しみに「伏線」があります。
やはり、「伏線」がきれいに回収される物語は面白いですし、もう一度読み返したくなります。
特に、推理小説は「伏線」がとてもうまく使われていることが多いですよね。
ところで、「伏線」と似た言葉として「布石」があげられます。
この2つの言葉は同じような意味を表しているようでいて、実は違いがあったんです。
そこで、今回は「布石」と「伏線」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:ニュアンスが違う
一方、「伏線」とは小説などでのちの展開に備えてそれに関連することがらをほのめかしておくことです。
つまり、「布石」と「伏線」ではニュアンスが異なるのです。
「布石」をもっと詳しく
布石とは将来のために配置しておく備えのことです。
このうち、「布」は「配置する」、「石」は「碁石(ごいし)」という意味になっています。
つまり、「布石」とはもともとは碁石を配置することだったんです。
具体的には、「布石」はもともとは囲碁用語であり、序盤戦での要所要所への石の配置のことを表していました。
これが、一般にも流用されて用いられるようになったのです。
囲碁に試合で展開を先回りして手を打つことから、将来に起こることを予想して準備しておくことを意味するようになりました。
ちなみに、「布石」は「ふせき」と呼びますが、「ぬのいし」と読むと全く関係のない建築用語になってしまうので注意が必要です。
また、「布石を打つ」という形で使われることが多いでしょう。
たまに「布石を置く」「布石を投じる」などのように使われることもありますが、このような使いかたは厳密には間違いです。
「伏線」をもっと詳しく
伏線とは小説などでのちの展開に備えてそれに関連することがらをほのめかしておくことです。
また、「あとのことがうまくいくようにそれとなく用意しておくこと」という意味でも使われますが、この使いかたはあまり見かけません。
具体的には、何かことが起こったり、事件が解決したりした時に、「あれはこのことだったのか」と後でわかるような内容が「伏線」です。
そして、伏線は発覚するまで隠れているという特徴があります。
もし「これが伏線なんだな」とわかると楽しみが半減してしまいますよね。上手な伏線というものは明らかにされるまでわからないものです。
ちなみに、「伏線」は「ふくせん」と読み、「ふせん」と読むと間違いです。
また、「伏線を敷く」「伏線を張る」などのように用いられることが多いでしょう。
そして、「伏線を引く」という表現は間違いです。
まとめ
以上、この記事では、「布石」と「伏線」の違いについて解説しました。
- 布石:将来のために配置しておく備えのこと
- 伏線:小説などでのちの展開に備えてそれに関連することがらをほのめかしておくこと
「布石」と「伏線」は似ているようでいて、違いがある言葉だったんですね。
これからは適切な場所で使っていきたいものです。