近年、電子書籍の発達により、紙の本を手に取らなくなったという人も多いのではないでしょうか。
その一方で、東京の神保町ではたくさんの古い本を売っていることで有名であるように、「古本」「古書」の人気もまだまだ根強くあります。
そこで、今回は「古本」と「古書」の違いについて詳しく解説します。
結論:「古本」は中古の本、「古書」は絶版になった本
「古書」とは、絶版になり、新品として手に入れられなくなった本のことを指します。
「古本」を深掘り
「古本」は、一般的に、過去に誰かによって購入されたことがあったり、読み古されたりした本を指します。つまり「中古本である」という意味でよく使われます。これは、新本(新品の本)の対義語です。
古本は、一般の書店でも買うことができます。しかし、通常、古本は定価より安くなります。
したがって、古本であることのポイントは以下の通りです。
- 中古本であること
- 同じ本で新品の物が一般書店で購入可能であること
- 定価より安いこと
「古本」の使い方の例
- この本は、新品で買うよりも、古本を買うほうが大きく出費を抑えられる。
- 古本を買うと、著者に印税が入らないのが問題だ。
- 私は、帰り道にいつも古本屋さんで本を買う。
一つ目の例文では、ほしい本は一般の書店でも買えるけれど、安く済ませるために古本を選んでいることがわかります。
二つ目の例文では、新品の本を買わない限り、著者には印税(本が売れた分だけ著者が受け取れるお金)が入らないことになります。もし好きな作家さんがいれば、新品を買うことがその人を応援することにつながります。
三つ目の例文では、お店の名前として「古本」を使っています。しかし、古本屋さんも、正式名称は「古書店」なので、店名だけで判断しないようにしましょう。
「古書」を深掘り
「古書」とは、絶版(再出版がされないこと)になってから時間がたっていて、新本として手に入れることが不可能な本のことを言います。特に、古文書や古地図などの歴史的な価値があるものや、ISBNコードがついていない時代に出版された本のことを指します。
ISBNとは“International Standard Book Number(国際標準図書番号)”の略で、書籍を世界共通で特定するための番号です。1981年から日本でも適用されるようになりました。
ISBNコードは、本の出版社がつけるかつけないかを自由に決められるので、現在の本にもついていない可能性があります。
また、古書は希少価値の高いものであれば、定価で売られていた時よりもなおさら値段が高いことが多いです。
したがって、古書であることのポイントは以下の通りです。
- 絶版していて、新品で手に入れることが不可能であること
- 古くて希少価値が高いもの
- 定価より高いもの
「古書」の使い方の例
- 大学の図書館では、100年前の古書を展示している。
- ○○教授の趣味は、江戸時代の古書集めだ。
- 古書店に行くと、はるか昔にタイムスリップした気分になる。
一つ目の例文では、とても古く、かつ価値のある本であることがわかります。100年も前なので、ISBNコードもついていないですね。
二つ目の例文では、一つ目と同様に、古く貴重な本を教授が集めていることがわかります。
三つ目の例文では、「古書店」という店名として述べています。注意したいのが、いわゆる「古本屋さん」の正式名称も「古書店」なので、お店の名前だけで「古本」があるのか「古書」があるのかはわかりません。中に入ってみて確かめましょう。
まとめ
以上、この記事では、「古本」と「古書」の違いについて解説しました。
- 古本:中古本で、書店で新品でも手に入り、定価より値段が安い本
- 古書:希少価値の高い本で、絶版で新品が手に入らず、定価より値段が高い本
紙の本には、目で文字を追うだけでなく、本の匂い・ページをめくる音・紙の材質など、様々な感覚が刺激される良さがあります。
さらに、「古本」や「古書」からは読み継がれてきた歴史を感じることができます。ぜひ手に取って実感してみてください。