世の中には、漢字で表記された場合とひらがなで表記された場合とで、意味が変わってしまう言葉がいくつかあります。
その例としてまずあげられるのは「切符ときっぷ」ではないでしょうか。
また、このような言葉としては「旨味」と「うま味」もあげられるでしょう。
この2つの言葉は実は同じ意味ではなかったんです。
そこで、今回は「旨味」と「うま味」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:旨味はおいしさ、うま味は基本味の1つ
一方、「うま味」は甘味、塩味、酸味、苦味と並ぶ基本味の1つで、独立した味の要素です。
つまり、「旨味」はおいしさのことですが、「うま味」は味の要素の1つなのです。
「旨味」をもっと詳しく
旨味とは広い意味でのおいしさのことです。
ちなみに、ここで言う「おいしさ」とは感覚的なおいしさを表し、味以外にも、においや食感、体調、雰囲気などのさまざまな要素に影響されます。
また、「旨味」は芸が巧みなことを表すこともあります。
ほかにも、仕事や商売などでふつうよりも利益やもうけが多く、都合がよい様を表すことがあります。
例えば、「この不動産商品には旨味がある」などのように使います。
「うま味」をもっと詳しく
うま味は甘味、塩味、酸味、苦味と並ぶ基本味の1つで、独立した味の要素です。
ちなみに、日本では経験的にコンブにはおいしさのもとになる成分が含まれていることが知られており、日常の料理で使われていました。
しかし、「うま味」が発見されるのは今から100年ほど前のことでした。
当時、コンブのおいしさのもとに関心を示していた旧東京帝国大学の池田菊苗博士がコンブの成分を分析してコンブだしからグルタミン酸の抽出に成功したのです。
博士はこの味の要素を「うま味」と名付けました。
その後、煮干しやかつお節などに「イノシン酸」と呼ばれるうま味成分が含まれていることがわかりました。
また、干しシイタケなどに含まれている「グアニル酸」などもうま味成分だと発見されました。
ちなみに、うま味には相乗効果があり、コンブにかつお節を加えてだしを取るとよりうま味が増します。
そして、グルタミン酸は他のうま味成分と一緒に使うことで単独で使うよりもうま味が強く感じられることが科学的にわかっています。
ちなみに、グルタミン酸はみそ、しょうゆなどの発酵食品やチーズや生ハムなどの原料を発酵させて作る食品にも多く含まれています。
なぜなら、発酵や熟成などの段階でたんぱく質が分解されるとグルタミン酸が増加し、うま味が増すからです。
そして、日本ではうま味の研究が盛んに行われていましたが、「うま味」の存在に対して、西欧の研究者は疑わしい目を向けていました。
しかし、2000年に舌の細胞にグルタミン酸の感知する受容体が発見されたことによって、うま味は世界から注目されるようになりました。
そして、現在では「うま味」は “umami” として世界中に広まっています。
まとめ
以上、この記事では、「旨味」と「うま味」の違いについて解説しました。
- 旨味:広い意味でのおいしさのこと
- うま味:甘味、塩味、酸味、苦味と並ぶ基本味の1つで、独立した味の要素
このように、「旨味」と「うま味」は全然異なるものです。きちんと区別して使っていきたいですね。