強い感染力を持つ「麻疹(ましん)」「風疹(ふうしん)」「水痘(すいとう)」ですが、違いを知っていますか。子供の時に感染したという人や、予防接種を受けた記憶がある人もいると思います。
これらは大変似た症状のため、判断することは簡単ではありません。
この記事では、特徴や違いを詳しく解説していきます。
☆「麻疹」「風疹」「水痘」の違いをざっくり言うと……
麻疹 | 風疹 | 水痘 | |
---|---|---|---|
潜伏期間 | 10〜12日間 | 2、3週間 | 2、3週間 |
発症期間 | 7〜10日間 | 3〜5日間 | 1週間 |
症状 | 発熱/発疹/咳・鼻水 | 発熱/発疹/リンパ節の腫れ | 発熱/発疹 |
結論:期間と症状が違う
「麻疹」「風疹」「水痘」はいずれも、発熱と全身にわたる発疹(ほっしん)が特徴の伝染病です。
これらを見分けることは難しいですが、「潜伏期間」「発症期間」「発熱と発疹以外の症状」で予測することは可能です。
麻疹 | 風疹 | 水痘 | |
---|---|---|---|
潜伏期間 | 10〜12日間 | 2〜3週間 | 2〜3週間 |
発症期間 | 7〜10日間 | 3〜5日間 | 1週間 |
症状 | 発熱/発疹/咳・鼻水 | 発熱/発疹/リンパ節の腫れ | 発熱/発疹 |
しかし、合併症を引き起こしている場合もあるため、自分で判断することは簡単ではありません。
「麻疹」をもっと詳しく
「麻疹(measles, rubeola)」とは、麻疹ウイルスによる伝染病で、くしゃみ等による飛沫感染で広がります。一般的には「はしか」と呼びます。潜伏期間は10〜12日間で、感染者の95%以上に症状が現れます。
まず38度以上の発熱と、咳や鼻水などの症状が2〜4日続きます。他人への感染力が最も強い期間です。その後一旦熱は下がり、口内に白い斑点(コプリック斑)が現れます。
そして4日目以降に再び発熱し、小さな赤い斑状の発疹が全身に広がります。この斑点は融合拡大して網目状になり、7日目で全ての症状が無くなります。ちなみに、発疹部分にウイルスは存在しません。
主に乳幼児〜幼児にかけて感染するウイルスで、その内95%以上が予防接種未接種の患者です。このことから、予防接種が感染を防ぐ為の大変有効な手段だということがわかります。また春〜夏にかけての感染が多く、数年間隔で流行しています。
治療は、麻疹に対抗するウイルスが無いため、熱や発疹を抑える対症療法を行います。また感染者の30%に、肺炎や脳炎などの合併症が現れます。最も多い合併症は、細菌の二次感染による中耳炎です。そして後遺症が残る割合は麻疹患者の20〜40%、死亡する割合は約15%です。
一度感染すると、再び感染する可能性はほとんどありません。
「風疹」をもっと詳しく
「風疹(German measles)」は風疹ウイルスによる伝染病です。一般的には「三日はしか」と呼びます。くしゃみなどによる飛沫感染と、鼻水に含まれるウイルスに直接接触することで感染します。感染者の約70%が発症し、潜伏期間は2〜3週間です。発疹の出る1〜4週間前が、他者への感染力が強い期間です。
症状は麻疹より軽いことが特徴です。38度前後の熱と軽いかゆみを伴う発疹が全身に現れます。この発疹は麻疹のように融合しないので、消えた後の色素沈着もありません。また、耳の後ろのリンパ節の腫れが特徴で、これらの症状が3〜5日間続きます。
しかし大人に感染した場合には、症状が重くなることも特徴です。発疹や発熱の期間は長くなり、ひどい関節痛を併発します。また髄(ずい)膜炎や血小板減少性紫斑病(しはんびょう)などの、重篤な合併症の危険もあります。
特に妊婦の場合、胎児の命に関わる病気(洗練性風疹症候群)を患う危険性があるため、妊娠前にワクチンを摂取することが大切です。
現在風疹ウイルスに対抗する薬も無いので、対症療法が中心です。
「水痘」をもっと詳しく
「水痘(Windpocken)」とは、水痘・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウィルスによる伝染病です。一般的には「水ぼうそう」と呼びます。飛沫感染と接触によって感染します。感染力が非常に高く、免疫を持たない兄弟は9割以上が感染します。
潜伏期間は2〜3週間ですが、感染したウイルスが少ない場合は20日経過してから発症することもあります。
症状は38度以上の発熱と、頭皮を含む痒みを伴った発疹が約1週間続きます。発疹は水泡を形成した後、かさぶたへと変化します。しかし、水痘が治った後もウイルスは神経節に住み続け、後年に帯状疱疹(Herpes Zoster)を引き起こします。
患者の多くは、9歳以下の乳幼児〜小学校低学年の小児です。また主な合併症は、ウイルス性肺炎・急性小脳失調症・水筒脳炎・血小板減少症です。
治療法はかゆみ止めなどの対症療法が中心ですが、感染後72時間以内であれば、水痘ワクチンによって60〜80%の発症を抑えることが可能です。
まとめ
以上、この記事では、「麻疹」「風疹」「水痘」の違いについて解説しました。
もう一度以下の表で確認してみましょう。
麻疹 | 風疹 | 水痘 | |
---|---|---|---|
潜伏期間 | 10〜12日間 | 2、3週間 | 2、3週間 |
発症期間 | 7〜10日間 | 3〜5日間 | 1週間 |
症状 | 発熱/発疹/咳・鼻水 | 発熱/発疹/リンパ節の腫れ | 発熱/発疹 |
「麻疹」「風疹」「水痘」にはこのような違いがあります。感染するのは子供だけだと思っていた方もいるのではないでしょうか。これらの感染を防ぐには、ワクチンの接種とマスクで予防するのが一番効果的です。
また妊娠後はワクチンの接種を受けることができないので、早めに接種の有無を確認しておくと安心ですね。