「検挙」と「逮捕」と「書類送検」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

ニュースではさまざまな事柄が扱われますが、事件が扱われることはとても多いですよね。

ニュースを見ていると、必ずと言っていいほど事件の報道を行っています。

そして、事件のニュースでは「検挙」や「逮捕」や「書類送検」などの言葉がよく使われていますよね。

 

みなさんはふだんこれらの言葉をなんとなくは理解していると思いますが、詳しいことについてはあまり知らないのではないでしょうか。

例えば、「検挙」と「逮捕」と「書類送検」の違いについて知っている人は意外と少ないと思います。

そこで、今回は「検挙」と「逮捕」と「書類送検」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:全然違うことを表している

まず、「検挙」とは捜査機関が犯罪の被疑者や違反行為などを特定することです。

次に、「逮捕」とは刑事事件で特定された被疑者の身柄を強制的に拘束することです。

そして、「書類送検」とは被疑者が逮捕されずに終わった事件の書類や証拠物などを検察官へ送ることです。

つまり、「検挙」と「逮捕」と「書類送検」は全然異なることを表しているのです。

「検挙」をもっと詳しく

検挙とは捜査機関が犯罪の被疑者や違反行為などを特定することです。

この言葉は法律用語ではありませんが、警察内部で使われることが多くあります。

そして、罪を課すのに必要な捜査、任意の取り調べ、逮捕、書類送検などを全て含んで言う言葉です。

 

また、罪を犯したと疑われた時に使われることもあります。

例えば、万引きをした人と似ていたために事情聴取を受けた場合にも、検挙と言われます。

そのため、下の項で解説する「逮捕」や「書類送検」より意味が広い言葉だと言うことができるでしょう。

 

ちなみに、検挙されたからと言って必ず逮捕されるというわけではありません。

なぜなら、逮捕になってしまうと、被疑者の身柄をずっと拘束しておくことになるからです。そのため、逮捕は慎重に行われ、どうしても必要な時にしか行われません。

そして、特に逃亡や証拠隠滅の恐れがなく、軽い犯罪だった場合には逮捕が行われない場合も多いでしょう。

 

ちなみに、マスコミなどで一般的に用いられる時には、被疑者が特定されたものの、逮捕はされなかったというケースが多いでしょう。

なぜなら、もし逮捕された場合には、「逮捕」という言葉を用いればいいからです。

「逮捕」をもっと詳しく

逮捕とは刑事事件で特定された被疑者の身柄を強制的に拘束することです。

そのため、逮捕されるとしばらく家に帰ることができません。ただ、逮捕で被疑者の身柄を拘束できるのは最大で72時間です。

ちなみに、逮捕を行うには基本的に裁判官が発行する逮捕令状が必要です。これは、捜査機関が自由に逮捕できる権利を持っていると、それを利用して気に入らない人物を逮捕するようになってしまうかもしれないからです。

そして、このような逮捕の形を通常逮捕と言います。

 

このように、逮捕をするには基本的に逮捕令状が必要ですが、これには2つほど例外があります。それは、現行犯逮捕と緊急逮捕です。

まず、現行犯逮捕とは、犯人がまさに犯罪を行っていたり、行った直後だったりした場合、逮捕令状がなくても逮捕できるというものです。ちなみに、現行犯逮捕は一般人でも行うことができます。

ただ、一般人が現行犯逮捕を行った場合には、犯人の身柄をすみやかに捜査機関へ引き渡す必要があります。

 

また、緊急逮捕では急を要して裁判官の逮捕令状を求めることができない時に、例外的に捜査機関が逮捕理由を告げて逮捕することです。

重大事件の被疑者が別の事件の捜査で自白を行った時などにこの手段が使われます。

ただ、緊急逮捕を行った場合にはなるべくはやく裁判官に逮捕令状を発布してもらう必要があります。

ちなみに、逮捕の種類についての詳細はこちらの記事で解説していますので、詳しく知りたいかたはそちらもご覧ください。

「書類送検」をもっと詳しく

書類送検とは被疑者が逮捕されずに終わった事件の書類や証拠物などを検察官へ送ることです。

つまり、「書類」を「検」事に「送」るのが書類送検なのです。

これも法律用語ではなく、マスコミによってよく使われる言葉です。

 

ちなみに、被疑者が逮捕されていて、検察に身柄を引き渡す時は、身柄付送検と呼ばれます。

そして、身柄付送検は逮捕してから48時間以内に行う必要があります。

 

一方、被疑者が逮捕されても、釈放された場合には身柄付送検は当然行われません。

しかし、事件が起こったら事件の書類や証拠物などは必ず検察官に送らなければなりません。

そのため、このような場合にも書類送検が行われます。

 

ちなみに、たとえ逮捕されても、書類送検が行われただけでは前科はつきません。

なぜなら、日本の司法には「疑わしきは罰せず」という原則があるからです。

被疑者はまだ犯罪を行ったことが疑われているだけなのです。

そのため、起訴されて裁判所で有罪判決を受けて初めて前科がつきます。

まとめ

以上、この記事では、「検挙」と「逮捕」と「書類送検」の違いについて解説しました。

  • 検挙:捜査機関が犯罪の被疑者や違反行為などを特定すること
  • 逮捕:刑事事件で特定された被疑者の身柄を強制的に拘束すること
  • 書類送検:被疑者が逮捕されずに終わった事件の書類や証拠物などを検察官へ送ること

「検挙」と「逮捕」と「書類送検」では指しているものが全然違うんですね。

間違えて使ってしまうと、誤解されてしまうかもしれないので、きちんと正しい意味で使っていきたいですね。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。